冷蔵から冷凍まで、とうもろこしの保存方法を知ろう!

北海道食材の豆知識
Ayaka Izawa

Ayaka Izawa

フリーランスで管理栄養士の仕事をしながら、北海道栗山町の井澤農園で販売・営業を行い、地域の産品作りや食育などの地域おこし事業にも関わっています。 自称「農家フェチ」!

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夏が旬の北海道産とうもろこし。短い旬の中で堪能しようととうもろこしをたくさん買っても、鮮度の良いうちに消費ができずもったいなく感じることも。 実は、とうもろこしは冷凍することで長期保存もできる素晴らしい食材なのです。今回はとうもろこしの美味しさの秘密から、品種での味の違い、冷蔵庫での保存方法や冷凍方法を紹介します。

北海道産のとうもろこしが収穫できる時期

北海道のとうもろこし畑、青空とスイートコーン

北海道のとうもろこしの旬は7月~9月と夏から秋のはじめの季節ですが、農家ごとに収穫時期が違います。これは、ビニールハウスの中で栽培する「ハウス栽培」と屋外の畑で栽培している「露地栽培」かの違いや、種をまいた時期、品種による生育期間によっても違います。

ハウス栽培と露地栽培の違いではどちらがおいしいのか気になりますよね。ハウス栽培では水分量を毎日調整することができるので収穫間際に水を与えないことでとうもろこしの味を凝縮することができ、風などのストレスがないため粒の皮が薄く柔らかく育つといわれています。また、露地栽培よりも毎年の条件を揃えやすいことから、安定して美味しく形の良いとうもろこしを仕上げることが可能です。7月前後の北海道産とうもろこしはハウス栽培がほとんどです。

対して露地栽培は収穫時期が8月以降。8月下旬にもなると北海道の昼夜の温度差が激しくなるので、寒暖差が甘いとうもろこしを育てます。しかし、台風や干ばつの影響を受けやすいことから、年によって収穫量や品質にばらつきが出ます。

ハウス栽培も露地栽培もそれぞれ利点があるので「どちらがおいしい」とは一概に言えないですが、それぞれ食べ比べてみるのも面白いですね。

とうもろこしの味のピークは収穫後すぐ!

とうもろこしを収穫する

とうもろこしは鮮度が落ちる速度が早い野菜として有名です。

「朝もぎとうもろこし」が美味しいと評判ですが、その理由はとうもろこしが生きているから。とうもろこしは他の植物と同じように、光合成をすることで成長します。日中は太陽の光を浴び、蓄えた養分や糖分を使用することで光合成を行うのです。夜はというと、日中光合成で作った成分を糖として蓄え、翌日の光合成へと備える期間となります。よって、とうもろこしは日が昇る前の早朝に収穫する際が美味しさのピークとなるのです。

実際、収穫したその瞬間から鮮度は下がり続けてしまうのですが、とうもろこしが糖を使わないように暗くて涼しい場所に保管することで美味しさを保つことができます。

とうもろこしを冷蔵庫で保存する方法

とうもろこしを冷蔵庫で保存、容器の中にいっぱいのスイートコーンの粒

とうもろこしは生のまま保存する場合は上記の理由から常温と日光は避け、冷蔵庫の野菜室に立てて保存することが望ましいです。スーパーで購入する際に皮やひげをすべて剥いてしまいたいという人もいると思いますが、皮は鮮度保持の役目も果たしてくれるので調理の直前まで皮付きのまま保存することをおすすめします。

乾燥を嫌うので、ビニール袋や市販されている「野菜を長持ちさせる専用の保存袋」に入れてあげるとより良いですよ。立てて保存する理由は、植物は木や土に成っている状態が一番ストレスなく保存ができるからです。しかし、いくら冷蔵庫の中で冷やしているからと言って、ともろこしは生きているので呼吸を続けます。植物として生きるためにエネルギーを使い続けてしまうことから、日が経つごとに甘みが薄くなってしまうので長期保存には向きません。購入後は2~3日中に調理することをおすすめします。

生のままだと日持ちはしませんが、茹でて粗熱を取った後、ラップをして冷蔵庫に入れれば4-5日は美味しく食べられます。しかも、とうもろこしには「果糖」という果物に含まれている糖が多く、冷えたほうが常温の約1.5倍は甘く感じることができますよ。

とうもろこしの冷凍方法

とうもろこしを冷凍保存、冷凍野菜

とうもろこしは冷凍保存をするとぐんと長持ちします。方法は茹でたとうもろこしを芯から外して冷凍するだけ。

とうもろこしの皮を最後の1~2枚だけ残して実が皮で覆われるようにし、とうもろこしが浸る程の水と、塩(水の量の2%程度)を入れた鍋に入れて中火で加熱。沸騰後は弱火~中火で6分程茹でましょう。水から茹でることでふっくらジューシーに茹で上がります。

粒感をより楽しみたい方は沸騰したお湯に入れて4~5分茹でると良いです。茹で上がってすぐ食べる場合は皮を外してお好みで塩を振り、冷ましてから食べる場合は皮のまま粗熱を取りましょう。

芯から実を外す作業は手で1つずつ外すほか、包丁で削いだり、とうもろこしの実を外す専用の便利グッズもを使いましょう。

粗熱が取れた状態で保存袋に入れて平らにし冷凍すると1か月以上は美味しく食べられますよ。食べるときは冷凍のまま料理に使用できます。

実を外すのが少々手間だと感じる人には、芯のまま輪切りにして冷凍する方法をおすすめします。加熱し粗熱を取ったとうもろこしを厚さ2~3㎝の輪切りにした後、一つずつラップで包んで保存袋に重ならないように入れて口を閉め、冷凍しましょう。輪切りの冷凍とうもろこしはラップをはがした後、冷凍のままフライパンで焼きとうもろこしにしたり、冷凍のままおでんに入れて温めると良いです。若干、粒の食感が柔らかくなりますが味はしっかり残っています。

冷凍したとうもろこしは4か月以上日持ちします。

ずぼらでもOK!大量冷凍保存にはレンチン保存はいかが?

とうもろこしの粒を包丁で削ぐ、スイートコーンの粒

記事の筆者は管理栄養士、兼、農家の嫁でもあります。夫が営む井澤農園でもとうもろこしを作付けしているのですが、とうもろこしのシーズン終わりには大量の規格外品が残ります。皮が枯れて見た目が悪いもの、ところどころ粒が抜けているもの、細くて小さめの物、一部に虫がついたり鳥が食べてしまい販売できないようなものなどが100本単位で残るのですが、私はそれをひたすら冷凍して次の夏まで持たせます。

数本ならばとうもろこしを茹でて手で粒を外して冷凍できますが、数百本となると時間がかかりすぎてしまうので私は別の方法で大量に冷凍しています。

生のとうもろこしの皮を剥き、包丁をとうもろこしの芯に沿うように水平に当て、根元の方から先の方へ包丁で削ぐように粒を切り落とします。手で丁寧にほぐすよりも芯に実が少し残ってしまいますが、芯もスープやご飯を炊くときに入れて出汁もとるようにします。

削ぎ落した実は耐熱ボウルに入れ、ラップをふんわりとかけて600wで5分程加熱して保存袋へ(2本分の実の場合の加熱時間)。粗熱が取れたら空気を抜きながら袋の口を締めてなるべく平らにしてから冷凍します。

あまり声を大にしてお勧めする冷凍方法ではありませんが、鮮度の良い美味しいとうもろこしであればこれで充分美味しく保存できます。井澤農園ではほぼ1年間冷凍したとうもろこしを美味しく食べられています。

冷凍とうもろこしの食べ方

とうもろこしチャーハン

冷凍したとうもろこしは解凍して使うこともできますが、冷凍のまま加熱して使うことも可能です。

サラダやラーメンのトッピング、かき揚げなどに使う場合は冷蔵庫や常温、レンジで解凍してから使用。コツはありません!

ピラフやスープ、カレー、シチューに入れる場合は冷凍のまま入れて加熱してしまいます。

とうもろこしは水分が多い野菜に比べ、デンプンが含まれているので解凍後の食材の変化も少なく、味や食感も変わりにくいと感じます。

冷凍とうもろこしは本当に使い勝手が良いので、とうもろこし好きやお子さんの多い家庭では夏の間に大量に冷凍保存しておくことをおすすめします!

まとめ

白色と黄色のスイートコーン、北海道産のとうもろこし2本

とうもろこしの収穫時期から、品種の紹介、冷蔵と冷凍での保存方法をお伝えしました。 とうもろこしの味は品種によって差があります。とうもろこしがお好きであれば、いろいろな品種を食べ比べてみてご自分にピッタリの品種を探してみてはいかがでしょうか!

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