【いももち】を食べよう!北海道の素朴な郷土料理。その歴史と作り方、美味しいアレンジ方法を紹介

郷土料理
Ayaka Izawa

Ayaka Izawa

フリーランスで管理栄養士の仕事をしながら、北海道栗山町の井澤農園で販売・営業を行い、地域の産品作りや食育などの地域おこし事業にも関わっています。 自称「農家フェチ」!

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北海道の郷土料理として知られる「いももち(いもだんご)」は、生産量が日本一であるじゃがいもを使って作る素朴な味わいの料理です。少ない材料で簡単に作れることから、今なお道産子のおやつとして幅広い世代に人気があります。アレンジ次第ではおかずにもなり、いろんな楽しみ方ができる「いももち」の魅力について、基本の作り方からお肉やチーズを使ったアレンジ、名物グルメとしての歴史まで詳しく紹介します。

作る前に知っておきたい「いももち」。

焼く前のいももち,皿の上のいも団子5個

昔は北海道の各家庭で作られ、おやつとして子供からお年寄りまで食べられてきた「いももち」。現在では地域のお祭りやSA(サービスエリア)のホットスナック、スーパーのお惣菜や冷凍食品として、いつでもどこでも手に入るような食べ物になりました。

道産子が知っている「いももち」の作り方といえば、蒸したじゃがいもに片栗粉を入れてつぶして丸め、再度加熱するというレシピが主流ですが、なんと“じゃがいもだけ”で作る方法もあるのです。

まずは定番のレシピから紹介します。

定番の「いももち」を作ってみよう!

北海道の名物グルメ「いももち」を箸でつまむ

材料はとてもシンプルで、じゃがいもと片栗粉だけを使って作ります。

じゃがいもは皮付近に栄養素を多く含むため、加熱する工程では皮ごと蒸すか茹でることをおすすめします。丸ごと加熱すると火が通るまで時間がかかってしまいますので、時短したい場合は皮を剥いてから蒸したり、電子レンジで軟らかくなるまで加熱するという方法で作ることもできます。

《材料(2人前)》

  • ジャガイモ 大2個(約300g)
  • 片栗粉 (ジャガイモの2割)

《作り方》

  1. じゃがいもを皮ごと茹でるか蒸すかして加熱し、柔らかくなったら皮を剥く。
  2. 熱いうちにマッシャーでつぶし、片栗粉も投入して均一になるようにつぶす。
  3. 冷めないうちに小判状や平たい円状に成型するか、ラップで棒状にしてからお好みの厚さに切る。
  4. バターや油を敷いたフライパンで両面こんがり焼けば完成。ダイレクトに砂糖をかけて食べたり、砂糖醤油で召し上がれ!

たくさん作った場合に役立つ保存方法

いももちは焼く前であれば冷蔵保存ができます。乾燥しないように保存すると冷蔵で3日ほど日持ちします。焼いた後は冷めると片栗粉が固まりモチモチとした食感が少なくなります。再び加熱することでモチモチ感が戻りますが、焼き立てを食べることをおすすめします。冷凍食品のいももちは冷めてもモチモチ感を損なわないような工夫がされているため、冷めても美味しく食べることができます。

もちろん冷凍保存も可能です。焼く前にジップロックに平たく入れて空気を抜き、冷凍すると食べたいときにすぐ焼くことができ、使いやすいです。

ラップで棒状にしたものも冷凍可能ですが、凍ったままだと切りづらいため、半解凍状態で切り分けてから焼くと良いでしょう。
棒状にしたものを凍らせる前に、お好みの厚さにスライスしてからジップロックに入れて冷凍、という手もあります。

じゃがいもだけで作る「いももち」の作り方

じゃがいもだけで作るいももち

北海道民でも知る人が少なくってきた昔ながらの作り方。伝統的な「じゃがいもだけで作るいももち」が存在します。

作り方は超シンプル。蒸かしたじゃがいもをすり鉢に入れ、すりこ木で軽くマッシュ。その後はゴマをするようにじゃがいもをするだけです。
そうするとだんだん粘り気が出てきますので、モチ状になったら濡らした手で丸めて皿に盛ります。
お好みで砂糖醤油などを付けて召し上がれ!

ポイントは、熱々のうちにすりあげること。また、じゃがいもの品種も重要で、「メークイン」のような煮崩れしないタイプではなく、ホクホク感の強い「男爵」や「キタアカリ」の方がモチモチになります。

Q&A(いももち作りのお役立ち情報)

いももちは郷土料理でもありますが、家庭料理でもあります。その家庭ごとに作り方や食べ方が異なるため、いももち作りに役立つポイントをいくつかお伝えします。

①じゃがいもの種類はどれがおすすめ?

カラフルなじゃがいも

片栗粉を入れて作る「いももち」にする場合、じゃがいもの品種は基本的に何でもOK!
ピンクや紫といった色付きのカラフルジャガイモで作ると色鮮やかでかわいいですよ。

②生地の配合のおすすめは? 

生地の配合も各家庭によって様々です。塩を入れる家庭もあれば、片栗粉だけではなくて小麦粉と片栗粉を半量ずつ入れる家庭もあります。
小麦粉を入れることで冷めても硬くなりにくいため、作った後に差し入れやお弁当に入れたいという場合は小麦粉と片栗粉を半々で入れると良いです。

③フライパンやオーブントースター、おすすめの調理器具は?

いももちは加熱してから食べるのですが、加熱方法はなんでもOK!フライパンで両面焼くほか、トースターやグリルで焼き上げても良いです。
揚げたり、ラップをしてレンジでチンしたり、みそ汁の具として火を通すこともありますよ。

アレンジ次第で楽しさ色々

チーズ入りのいももち

いももちはシンプルな食材で作るため、アレンジも無限大!おやつから、おかず、副菜、甘〜いデザートにまで大変身! おすすめの方法をお伝えします

①甘辛いごまダレやみたらし

串団子と同じように、甘辛いごまダレやみたらしあんを付けて食べるとお団子感覚で食べられます。

②肉で巻いておかずに

いももちを豚肉や牛肉の薄切りで巻き、フライパンでしっかり焼いた後は砂糖醤油で甘辛く味付けしたり、焼き肉のタレで味付けし完成!
ご飯にも合うおかずに変身します。

③チーズを中に入れて焼く

中に溶けるチーズを入れて焼くと、とろ―り伸びるチーズと香ばしい香りがたまりません。
チーズを中に入れず、平たく整形したいいももちをピザ生地に見立て、いももちピザにしても良いですよ。

④甘納豆と一緒に

成形するときに甘納豆を混ぜてから成型し、焼きます。甘納豆の甘味で味付け要らず! バターで焦げないようにじっくり焼くのがおすすめです。

⑤揚げる

こんがり揚げて揚げいももちにすると、表面がカリッとして香ばしくなります。
フライドポテト感覚でケチャップを付けて召し上がれ♪

⑥汁物に入れる

いももちを加熱せずに味噌汁に入れて火を通します。適度なとろみがつき、寒い時期にピッタリのお味噌汁に!
お吸い物や豚汁にいももちを入れても良いですよ。

いももちのカロリーや栄養について

きたあたりで作ったいももち

いももちのカロリーは油で焼いたものだと100gあたり172kcalです。
ほとんどが炭水化物ですが、ジャガイモに含まれるビタミンCや鉄、ビタミンB1を含みます。

改めて北海道の郷土料理「いももち」とは

いももち(いも餅)は別名「いもだんご」とも呼ばれています(焼いたものが「もち」、汁に入ったものが「だんご」)。じゃがいもを使用するのがメジャーですが、地域によって芋の種類も変わります。かぼちゃを使用した「かぼちゃもち」というものもあります。

料理としての歴史

まだ稲作の生産技術が発達していない時代に、餅を作る際にもち米の代わりとしてじゃがいもを使用したことが始まりとされています。明治時代では、開拓者の貴重な栄養源として重宝され、戦時中も戦後も食糧難の時によく食べられていました。調理の簡単さからも、庶民の料理として幅広い世代に親しまれるようになりました。

北海道の開拓初期はお米は殆ど穫れなかったものの、正月やお祝い事には餅は欠かせなかったため、代替品としてジャガイモを臼と杵でついたと言われています。

作り方の特徴

北海道のいももちは、2種類あります。先述したじゃがいもだけを杵と臼でついただけのものと、じゃがいもを茹でて潰し、片栗粉を加えて丸く成形したものを焼くもの主流です。
現代では片栗粉を入れたものの方が主流です。

北海道だけじゃない。各地のいももちの特徴

和歌山、鹿児島、佐渡島、高知、岐阜、徳島にも郷土料理としてのいももちがあるようです。各地域のいももちの特徴を以下にまとめてみました。

  • 和歌山県:米の代わりに主食とされてきたさつまいもが使われ、中に甘すぎないあんこが入っていたり、きなこがまぶされている。
  • 鹿児島県:名産のさつまいもをもちに入れて作るのが特徴で、「ねったぼ」とも呼ばれる。
  • 佐渡:さつまいもを蒸して潰して乾燥させており、外はカリっと中は柔らかい。
  • 高知県:さつまいもの干し芋と、もち米、砂糖と塩で作られるスイーツ感覚の食べ物。
  • 岐阜県:里芋と米を一緒にすりつぶし焼き、生姜醤油でつけて食べる。
  • 徳島県:和歌山県と似ていて、さつまいもをもちに混ぜて、あんこをくるんできなこをまぶしている。

まとめ

北海道の郷土料理「いももち」のおすすめレシピから伝統的な作り方、アレンジ方法や歴史について紹介しました。この記事を読んで、作ってみたい食べてみたい料理として興味を持っていただけたら幸いです。北海道の美味しいじゃがいもを使って、沢山作っておなかいっぱい食べてみてくださいね。

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