スルメと昆布を醤油ベースのタレに漬け込んで作る北海道の郷土料理といえば「松前漬け」。正月には欠かせない料理のひとつで、お酒のつまみやご飯のお供としても日常的に楽しまれています。この記事では、道産子に愛され続ける名物グルメの作り方はもちろん、昆布やイカの種類や保存方法、栄養面から歴史までを詳しく解説します。
目次
【松前漬け】を作ってみよう!自宅で作れる簡単レシピ
松前漬けの材料はシンプル。スルメ、昆布、にんじん、数の子を切って調味液に付けるだけでできます。材料も作り方も簡単ですが、昆布やスルメを切るのはなかなか大変。昔は子どもたちの仕事として少しずつスルメや昆布を細く切ったとか。お正月を迎える時の一仕事だったようです。
《材料》
- スルメの胴体(干物) 2枚(100g)
- 昆布 30cm(100g)
- にんじん 1/2本(100g)
- 数の子 3~4本(200g)
- 酒 80ml
- 砂糖 大さじ4
- みりん 80ml
- 薄口しょうゆ 100ml
- 水 80ml
《作り方》
- スルメ・昆布は少量の日本酒をまぶして表面をキッチンペーパーでふき、ハサミで細切りにします。にんじんは包丁でせん切りに。長さ4cm、幅3mmを目安に切りましょう。
- 数の子は塩抜きして薄皮をむき、水気を切って食べやすいサイズに切ります。
- 酒・みりん・薄口しょうゆ・水を鍋に入れ、中火にかけて煮切り、冷まします。
- 密閉容器にスルメ・昆布・にんじん・数の子・冷ました3を入れ、冷蔵庫で保存します。
- 1日1回かき混ぜてください。2~3日漬けると味がなじんできます。
◆保存方法のコツ
密閉容器に入れたまま、冷蔵庫で保存しましょう。食べる時には清潔な箸などで取り分けてください。 にんじんを抜くと冷凍も可能なため、たくさん作って冷凍したいときにはにんじんを入れずに作ると良いです。
◆食べ方のアレンジ
松前漬けはご飯に乗せて食べるほか、お酒のおつまみにピッタリ。このほかにも別の食材と合わせて食べる方法もあります。
筆者は「松前漬けご飯」にバターをチョイ足しする食べ方がお気に入り!温かいご飯の上にバターと松前漬けを乗せて食べるだけですが、松前漬けの甘じょっぱさとバターのマイルドなコクがベストマッチします。バターと松前漬けはジャガイモの上に乗せて食べても絶品です。 また、和風パスタのトッピングやトーストに乗せて食べても美味ですよ。
【松前漬け】を作る上で知っておきたいこと
北海道の郷土料理「松前漬け」。始めて作る人にとっては「乾物を調味液に付けるだけで美味しい料理になるの!?」と不思議と不安があると思います。松前漬け作りにおける疑問にお答えします。
①昆布の種類はどれがおすすめ?
昆布の種類は厚めの昆布がおすすめです。「がごめ昆布」と書かれているものを使用すると間違いありません。厚い昆布の方が粘り成分を多く含むため、売り物のような粘り気の強い松前漬けが出来上がります。
②乾燥したスルメではなく、「生のイカ」で作るのはだめ?
「生のイカ」では松前漬けになりません。スルメは一度イカを乾燥させることで、味と旨味を凝縮させることができます。松前漬けのあの後引く味はスルメじゃなければ出来ません。また、生のイカには寄生虫もいるため、保存や衛生的な観点からもスルメを使って作るようにしましょう。
③昆布やスルメが硬いです。切り方のコツは?
昆布やスルメは乾物なため切るのが大変!松前漬け作りで一番大変な工程です。しかし、ここで太さがバラバラになると出来上がりが少し不細工…切れ味の良いハサミで切るか、裁断機を使うと楽ちんです。キッチンバサミでたくさん切ると手にマメができてしまうのですが、それは松前漬け作りの勲章と思いましょう。
④おすすめのチョイ足し食材は?
松前漬けには数の子以外の海鮮が入っている商品もあります。ボイルしたホタテやいくらが入っている商品がある他、数の子抜きでそれに代わる食材も入っていないシンプルなものもあります。油揚げを入れて作る人もいるとか!
ピリ辛が好きな場合、唐辛子の輪切りを少々入れても良いです。
松前漬けのカロリーや栄養について
松前漬けのカロリーは100グラムあたり135kcal。塩分は100gで5g前後です。一回に食べる量は30g程度に抑えると塩分の摂り過ぎを防げます。
松前漬けには昆布によるヨウ素や食物繊維、スルメによるタンパク質やタウリン、にんじんによるβカロテン、数の子による脂質が含まれている他、昆布とスルメには旨味成分であるアミノ酸が豊富に含まれています。
改めて北海道の郷土料理「松前漬け」とは
「松前漬け」は、昆布とするめを数の子やにんじん等と一緒に醤油・酒で漬けた料理です。北海道発祥の人気珍味ですが、最近は道外のスーパーでも見かけるようになり認知度はかなりある郷土料理の一つです。
料理としての歴史、由来や発祥
松前漬けは名前の通り、松前藩(現北海道松前郡松前町)で生まれた料理です。
北海道の道南地方に位置する「松前」では昔から魚がよく獲れ、イカをするめに加工するなど、厳しい冬の季節を乗り越えるための工夫をしていました。
当時北海道(蝦夷地)と西日本(上方)を結ぶ「北前船」での交易もあり、食文化が双方に影響。上方には、北海道の昆布が伝わり和食の基礎「昆布出汁」が生まれ、蝦夷地には醤油が伝わりました。その後、松前の漁師のお母さんたちがするめイカと昆布を醤油に漬けてほったらかした所、「松前漬け」が誕生したといわれています。地元では「醤油漬け」「コブイカ」などの名称でしたが、松前藩の名残から「松前漬け」と呼ばれるようになったそうです。
食べる時期や原材料について
もともと冬の保存食として誕生した松前漬けは冬の定番料理として親しまれています。味付けも家庭や店舗によって異なりますが、塩味のものや山菜が入ったものなど様々な工夫がされており、味の違いを楽しめるのが魅力の一つです。
近年ではイカの漁獲量が減少していることもあり、材料の確保が困難になっています。その影響で価格は高騰していますが、松前産のイカはするめにしても柔らかく旨味が出るそうです。ぜひ本場の「松前漬け」を味わってみたいですね。
まとめ
最近では全国のスーパーや飲食店でも見かけるようになった北海道の郷土料理「松前漬け」。今回ご紹介したレシピをもとにご自宅で作ってみるのはもちろん、具材や製法にこだわった様々な商品の中からお気に入りを見つけてぜひ味わってみてください!