北海道の郷土料理として有名な「ルイベ」。アイヌ語が起源とされ、凍らせて薄切りにした鮭やマスを溶ける前に食べる料理です。その歴史・由来はもちろん、おすすめの食べ方から自宅で簡単に作る方法までご紹介。口に入れると最初はシャリシャリ、徐々に溶けてトロリとした食感はやみつきになり、鮭だけでなく色んな魚介類に応用できます。ぜひチェックしてください!
目次
北海道の郷土料理「ルイベ」とは?
ルイベとは、-20℃以下で冷凍した鮭やマスを解凍せず刺身として食べる北海道の郷土料理です。「ルイベ」はアイヌ語の「ル・イペ」(ル=溶ける、イペ=食べ物)が語源とされます。
凍った身をスライスして食べるということで、特定の部位を指すわけではありません。捨てるところがない魚ともいわれる鮭には鼻近くの部位に「氷頭(ひず)」と呼ばれる軟骨があります。
通の中にはこの部分のみをルイベにして食べるという人もいるほどです。
料理としての歴史
元々アイヌの人々が厳しい冬を乗り越えるため、晩秋から初冬にかけて捕獲した鮭を雪に埋めて保存食として食べていたことが始まりだといわれています。近年はメディア等のPRによって全国的に知られるようになり、冷凍技術の発達した今では1年を通して食べることができます。
素朴な疑問。凍ったまま食べるの?溶かした方が良くない?
基本的には解凍せずそのままいただきます。生の刺身と違った「シャリシャリ」という食感や口溶け、さらには凍らせたときに余計な脂と臭みが落ち、より美味しく味わえます。
また、「生の鮭を凍らせてから食べる」というルイベの調理法には理にかなったものです。魚には寄生虫が住んでいるものも多く、鮭にも寄生虫がいる確率が高いため、養殖して育てるサーモンを除き、普段は鮭は生では食べません。
アニサキスは人間が体内に取り込むと激しい腹痛を引き起こしますが、アニサキスは低温に弱く、-20℃冷凍させることで死滅するので食品衛生上のリスクを減らすことができます。
生鮭を凍らせてから刺身にすることで、安全に魚を食べることができるという訳なのです。
道産子おすすめ!「ルイベ」の食べ方を紹介!
ルイベは半解凍くらいの状態にしたものを、包丁で薄切りにして皿に盛ります。
そのまま食べる時には刺身と同じようにわさび醤油につけて食べたり、レモンを添えたり、大根おろしなどと共に食べます。
料理に使う際はスモークサーモンのような使い方をイメージすると、汎用性が高いです。サラダや和え物、パスタなどに使用します。
また、ごはんにピッタリな「ルイベ漬」にする食べ方もおすすめです。ルイベ漬とは甘辛い醤油だれにルイベとイクラを漬けた料理。そのままお酒のお供にも、熱々のご飯にかけても絶品です。
自宅で「ルイベ」を作っちゃおう!
ルイベの作り方は簡単。生鮭の切り身やフィレの皮をはぎ、凍らせ、食べる時にスライスするだけです。注意点としては温度と時間。寄生虫を死滅させるためには十分に冷凍する必要があり「-20℃で24時間」冷凍させることで安心して食べられます。 ルイベ漬は100g程度のルイベを1㎝の角切りにし、醤油、みりん、酒(各大さじ2)を煮立てて作ったタレの粗熱を取ってから、ルイベといくらの醤油漬けとともに漬けるだけ。いくらは筋子の状態で生で手に入れば、粒を外して生のままルイベと漬けても良いです。
お土産にもおすすめ
現在、ルイベは北海道内の飲食店や居酒屋等で提供されていますが、お土産用としても人気で道の駅や空港でも販売されています。さらに道外でも通販や物産展で簡単に手に入るようになりました。販売元で有名なのが佐藤水産の「ルイベ漬」です。テレビでも紹介され、店頭販売を始め通販でも人気の商品となっています。さらに千歳市のふるさと納税の返礼品にもなっています。今すぐ購入したい方は、公式ホームページや通販サイトを見てみてください。
ルイベとして食べられる魚介類
ルイベで使う魚は鮭類が主流ですが、他にも応用できます。現在ルイベにされている海産物の一部をご紹介します。
まずは、“コマイ”。コマイは小型の鱈の一種で北海道民にはお馴染みの定番珍味になる魚です。寄生虫が多いため生で食べるには危険が伴います。しかしルイベにすることで安心して刺身で食べられます。
次に“タラ”。冬の代名詞でもあり鍋など様々な料理に使われますが、ルイベにすると口の中でとろける食感になります。
最後に“イカ”。内臓を使った「イカゴロルイベ」は北海道の居酒屋で提供されることも多く、日本酒に合う最高のおつまみです。
まとめ
北海道が誇る絶品魚料理のルイベ。その歴史や食べ方などについてたっぷりご紹介しました。今ではネット通販でその加工品が簡単に手に入ります。口の中で溶ける食感と味をぜひお試しください!