牛乳にはカルシウムをはじめ、様々な栄養素がバランスよく含まれています。「準完全栄養食品」と呼ばれるほど栄養豊富な牛乳を飲むことで、得られるメリットや、飲むタイミングでどのような役割を担うかについてを、生乳の生産量日本一の北海道に住む管理栄養士が詳しく解説。ヨーグルトや豆乳との栄養価の比較も行います。
これを読めば牛乳を毎日飲みたくなるはずです!
目次
牛乳は何故おすすめ
給食にも毎回登場した牛乳。牛乳は大人から子供まで、老若男女にお勧めしたい食品です。
牛乳は「準完全栄養食品」と呼ばれるほど、栄養価が高い食品です。
1つの食品で様々な栄養素をバランスよく摂取できる食品を「完全栄養食」と呼びます。準完全栄養食品とは、完全栄養食まではいかないけれど、「ほぼ」バランスよく栄養素を摂取できる食品のことを差します。他には玄米、卵、さつまいも、納豆などが準完全栄養食と言われています。
牛乳に含まれる栄養素とその働き、効果について知ろう
牛乳は給食にも毎食登場するほど、子どもの成長や発達に必要な栄養素が豊富に含まれています。子どもだけでなく、成人にもうれしい栄養素がたっぷり!牛乳に含まれている栄養素とその働きについて説明します。
①カルシウム、リン
牛乳100gあたりにカルシウムは110㎎含まれます。
「牛乳に含まれる栄養素は?」と聞くと真っ先に思い浮かぶのがカルシウム。カルシウムは骨や歯を丈夫に保つだけでなく、体中の筋肉の収縮や、精神の安定にも必要なミネラルです。
牛乳にはリンも多く含まれます。100g中93㎎含まれており、リンはカルシウムと共に骨や歯の発達に使われるほか、心臓や肝臓の機能の維持にもかかわるミネラルです。
②タンパク質
牛乳は100g中にたんぱく質を3.3g含みます。
タンパク質は筋肉や細胞、皮膚、血液、内臓、髪の毛など体のあらゆる部分を作る材料になります。
体づくりには、筋肉を作るためのタンパク質の摂取と運動の両方が必要不可欠です。牛乳には「必須アミノ酸」という体内で合成することができないアミノ酸がバランスよく含まれています。必須アミノ酸は筋肉のタンパク質分解を抑制し、さらに筋肉の合成を促進する働きがあり、筋肉作りにおいて欠かせない存在です。
食が細くてタンパク質の摂取量が気になる方や、夏バテ気味で固形食が食べられない方は水分として牛乳を飲むことで栄養素を摂取することができます。
③ビタミンB2
牛乳にはビタミンB2が100g中0.15g含まれています。ビタミンB2は脂質の代謝を助けたり、皮膚や髪、爪、粘膜の再生を担います。その働きから、ビタミンB2は成長期の子どもの正常な発育にも携わる「発育ビタミン」とも呼ばれています。
厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日当たり成人で1.2~1.6㎎のビタミンB2摂取が推奨されています。
牛乳を飲むタイミングや適量は?
厚生労働省と農林水産省が作成している「食事バランスガイド」では、牛乳は1日200ml程度が適量とされています。厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日当たり成人で650~800㎎のカルシウム摂取が推奨されているため、牛乳200mlで1日に必要なカルシウムの1/3~1/4が摂取できる計算になります。
また、牛乳を飲む時間帯によって、効果が異なることが分かってきました。
牛乳を朝や昼に飲む場合、タンパク質や脂質、炭水化物がエネルギーと変わるため、1日の活力源となります。
また、牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)は、腸内で乳酸菌のエサになり、善玉菌を増やす働きがあります。お通じが気になる方は、朝に牛乳を飲む習慣をつけたら良いかも知れません。
夜に飲む場合はタンパク質やカルシウムが身体を作るために働いてくれます。骨や筋肉は夜寝ている間につくられるためです。
また、牛乳に含まれるアミノ酸の一種トリプトファンには、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の原料になるため、安眠効果も期待されています。寝る前にホットミルクをゆっくり飲むことで、体づくりや安眠、リラックスにつながりますよ。
豆乳やヨーグルトと栄養価を比較
牛乳は100gあたり67kcal、タンパク質は3.3ℊ、脂質は3.8ℊ、炭水化物は4.8ℊ。気になるカルシウム含有量は110㎎です。
対して、豆乳は100gあたり46kcal、タンパク質は3.6ℊ、脂質は2ℊ、炭水化物は3.1ℊ。カルシウム含有量は15㎎です。低カロリーではありますが、カルシウムの量は牛乳に軍配が上がります。調整豆乳にはカルシウムが添加されているものもありますが、甘味料や香料なども添加されている場合が多いです。
ヨーグルト(無糖)は100gあたり62kcal、タンパク質は3.6ℊ、脂質は3.0ℊ、炭水化物は4.9ℊ。カルシウム含有量は120㎎です。ヨーグルトは牛乳を乳酸菌で発酵させた食品であるため、乳酸菌の腸内環境を整える働きも同時に期待することができます。
牛乳の脂質が気になる人は、低脂肪乳や無脂肪乳を選択すると脂質の含有量を1/3以下に抑えることもできます。
北海道の牛乳を飲もう!
北海道は生乳の生産量日本一であることは今後も揺るがないでしょう。その陰には乳牛を飼育する生産者や、生乳を運ぶ業者、生乳を飲料乳に加工する加工業者などが多数存在しています。
北海道の産業を支えるためにも、健康のためにも、牛乳や乳製品を積極的に毎日の食生活にとり入れることは大切だと言えます。
牛乳は体質的に合わないという人が日本人に多くいます。「乳糖不耐症」という牛乳に含まれる糖を腸で分解する働きが弱いためです。乳糖不耐症だと思われる人はチーズやバターに加工されると乳糖がほぼ含まれなくなるため、お腹にも優しく乳製品を摂取することができますよ。
まとめ
牛乳の栄養価や各栄養素が持つ効果・働きについて解説しました。カルシウムだけでなく、体にうれしい栄養素が豊富なことがわかりましたね。
栄養価が高く気軽に摂取できる牛乳や乳製品は北海道の宝!ぜひ毎日摂取してほしい食品です。