【チーズ】を食べよう!栄養素とその働き。日々の食事にとり入れたい理由

北海道食材の豆知識
Ayaka Izawa

Ayaka Izawa

フリーランスで管理栄養士の仕事をしながら、北海道栗山町の井澤農園で販売・営業を行い、地域の産品作りや食育などの地域おこし事業にも関わっています。 自称「農家フェチ」!

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世界中で親しまれているチーズは400種類を超えるといわれ、栄養価に優れた保存食として知られています。チーズ大国のフランスに比べ、年間消費量が1/10にも満たない日本。生乳の生産量日本一の北海道に住む管理栄養士の筆者が、チーズが持つ栄養素やその働きについて詳しく紹介します!これを読んで、よりチーズが身近な食品になると嬉しいです。

チーズ消費大国のフランス。日本は?

チーズとワインの食事

チーズはいつごろ、誰により、どのようにして初めて作られたかは明確な記録が無いため不明ですが、「チーズは人類が作った最も古い加工食品」といわれています。
おそらくですが、チーズ作りの起源は人が山羊や羊を飼い生活していた中で、乳を搾った土器の中で様々な菌が繁殖し、偶然出来上がったものでしょう。

世界の中でチーズの消費量が一番多い国はフランスです。チーズ大国であるフランスでは2000年以上前から同じ製法で作られているチーズもあります。

日本人は平均して1年間にチーズを2.5kg食べます。これでもそこそこ多いかなと思う人はいるかもしれませんが、フランス人はその約10倍を消費します。

フランスではチーズはパンと共に毎日食べる保存食、ひと昔前の日本人にとってのお漬物のような存在なのです。その上で前菜に、ピザに、サラダに、デザートの代わりにもチーズが使われるほど。値段が日本で買うよりも安価な点も、たくさん食べられる理由です。

日本ではチーズはラグジュアリーな「し好品」扱いなところがあります。

チーズは牛乳の栄養素がぎゅっと詰まったもの

牛乳・チーズ・バター,乳製品

「半硬化チーズ」と呼ばれるゴーダチーズやエダムチーズ、チェダーチーズ、そしてそれらを一度溶かしてまた固めたプロセスチーズは生乳の約10分の1の量が固体になりチーズになります。

栄養素的には、乳に含まれるタンパク質の75%、脂肪の90%がチーズに移ります。カルシウムはというと、「ホエー(乳清)」と呼ばれる牛乳をチーズにする際に出る水分の中のタンパク質と結合している分を除く70%程がチーズに残ります。

チーズには牛乳にはない栄養上の良い点もあります。それは、乳糖という乳に含まれている糖分の一種が、製造過程でホエーに移り、チーズにはほとんど含まれないということです。

牛乳を飲むとお腹が緩くなるという体質の方は「乳糖不耐症」といって、乳糖を消化吸収する腸の働きが弱いのですが、乳糖が残っていないチーズなら安心できますね。

牛乳200gの栄養素が水分176g、ミネラル2.2g、乳糖8.4g、タンパク質6.4g、脂肪7g。

これが10分の1のチーズ20gになると、水分8.2g、ミネラル0.4g、乳糖0.2g、たんぱく質4.8g、脂肪6.4gとなります。

ホエーには、水分167.8g、ミネラル1.8g、乳糖8.2g、タンパク質2.6g、脂肪0.6gが移ります。

ナチュラルチーズとプロセスチーズの違い

チーズには大きく分けて「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」があります。
ナチュラルチーズは生乳を殺菌し、凝固させ、固形部分だけを寄せ集めたものを差します。チーズの種類によってはこの後味付けをしたり、熟成をしたりと工程や時間を重ねて商品になります。

プロセスチーズはというと、ナチュラルチーズを砕いて溶かし、殺菌して熱いうちに容器に詰めて冷やしたものを差します。

殺菌されているため熟成や発酵が止まりはしますが、このことから、同じような硬さのナチュラルとチーズとプロセスチーズに栄養価の大きな違いはないことがわかりますね。

栄養素から「チーズは体に良い」といわれる理由を知ろう

様々な種類のチーズ

チーズは補食(栄養素を補う間食やおやつ)として薦められることが多い食品です。栄養素が豊富な上、たんぱく質や脂質がバランスよく含まれており、腹持ちも良いためです。

また、チーズには「骨を強くする」というイメージがあるのではないでしょうか。骨を丈夫に保つ栄養素であるカルシウムの他にも、ビタミンA,B2などのビタミン類も豊富に含んでいます。

チーズが含んでいる栄養素は骨を丈夫にする上、お腹に優しく(低乳糖)、低糖質、低GI。そしてボディメイクやアンチエイジングの強い味方でもあります。

チーズの大まかな栄養素の含有量は先に述べましたが、どのチーズも作る原料の違いや工程の違いで含まれる栄養素の量が違います。チーズ各種類に含まれる栄養素の量は、この後の「チーズの種類と含まれる栄養素の量の違い」で解説します。

◆タンパク質

チーズは「白い肉」ともいわれるほど、多くのタンパク質を含んでいます。タンパク質は筋肉や細胞、皮膚、血液、内臓、髪の毛など体のあらゆる部分を作る材料になります。そのためチーズは体作りをしたい方やアスリート、ダイエット中の方にぴったりの食材と言えるでしょう。

◆脂質

脂質は効率の寄りエネルギー源となります。たんぱく質や炭水化物は11gあたり4kcalの熱量を生み出すのに対し、脂質は1ℊで9kcalのエネルギーとなります。
その他にも、脂溶性のビタミンの吸収率を高めたり、細胞膜の構成成分として必要不可欠なのが脂質です。

◆ミネラル

ミネラル、と一言で言い現わしますが、カリウムや鉄、リン、マグネシウムなどがこれに当たります。

チーズの特筆すべきミネラルはなんといってもカルシウム!カルシウムは骨や歯を丈夫に保つだけでなく、体中の筋肉の収縮や、精神の安定にも必要なミネラルです。
チーズにはリンも多く含まれます。リンはカルシウムと共に骨や歯の発達に使われるほか、心臓や肝臓の機能の維持にもかかわるミネラルです。

◆ビタミン

チーズに含まれるビタミンは、牛が食べていた草や飼料に含まれていたビタミンが元になります。

チーズにはビタミンAやビタミンB2と言ったビタミンが含まれています。
ビタミンAは視力の維持や免疫力の向上に働き、ビタミンB2は脂質の代謝を助けたり、皮膚や髪、爪、粘膜の再生を担います。また、成長期の子どもの正常な発育にも携わるビタミンです。

◆乳酸菌

栄養素ではありませんが、チーズには乳酸菌も含まれています。

プロセスチーズは加熱や殺菌の工程があるため、乳酸菌はほぼ死滅しています。それに対してナチュラルチーズはというと、チーズを発酵させるために転化した乳酸菌や、チーズ工房の中で独自に生きている乳酸菌などが住み着き、その乳酸菌の良い働きがあるために美味しいチーズとなっています。 乳酸菌はチーズを美味しくするほか、体内では腸内環境を整える働きもするため、チーズにとっても人間にとっても有益な菌と言えます。

チーズの種類と含まれる栄養素の量の違い

チーズと一言で言っても、原材料の違いや水分のしぼり方の違い、熟成時間の違いなどによって出来上がるチーズの種類が変わりますし、含まれる栄養素も違ってきます。ここではチーズの種類の解説と、その種類が含むおおよその栄養価について説明します。

①プロセスチーズ

各メーカーや、プロセスチーズにするチーズの原料の配合によって栄養価も変わりますが、おおよその値をご紹介します。

100gあたり339kcal、タンパク質は22.7g、脂質26g、炭水化物1.3g、カルシウムは630㎎含まれます。 塩分量が100gあたり2.8gと少し多いため、食べ過ぎには注意しましょう。

②ゴーダチーズ

100gあたり380kcal、タンパク質は25.8g、脂質29g、炭水化物1.4g、カルシウムは680㎎含まれます。 オランダ生まれのゴーダチーズはしっとりして柔らかいセミハードと呼ばれる熟成タイプのチーズです。熟成が浅いとさっぱりしていて食べやすいチーズですが、熟成が進むとうまみが増してコクが出ます。熟成してもクセが少ないため食べやすく、ナチュラルチーズ初心者におススメのチーズです。

③クリームチーズ

100gあたり346kcal、タンパク質は8.2g、脂質33g、炭水化物2.3g、カルシウムは70㎎含まれます。

クリームチーズは熟成の過程が無いフレッシュタイプのチーズです。
生クリームと牛乳を合わせて作るため、脂質量が多く、タンパク質は少な目。滑らかなスプレッド状なので、パンに塗って食べたりドライフルーツと混ぜ合わせて食べる事もあります。

④モッツアレラ

100gあたり276kcal、タンパク質は18.4g、脂質19.9g、炭水化物4.2g、カルシウムは330㎎含まれます。

モッツアレラはフレッシュタイプと呼ばれるチーズです。熟成させず、牛乳を酵素や乳酸菌で固めて水分を軽く切る程度で出来上がりとなります。比較的水分量が多く、軽い酸味があり爽やかな風味が特徴の食べやすいチーズです。

⑤カマンベール

100gあたり310kcal、タンパク質は19.1g、脂質24.7g、炭水化物0.9g、カルシウムは120㎎含まれます。

塩分量が100gあたり2.0gと若干高め。 カマンベールやブリーチーズは白カビタイプと言い、表面を白カビで覆い熟成させるチーズです。熟成が進むにつれ、表面に赤茶色の斑点ができることもあります。また、熟成度合いが進むとカビに覆われた中のチーズがトロっと柔らかくなり、流れ出るほどに。

⑥カッテージ

100gあたり105kcal、タンパク質は13.3g、脂質4.5g、炭水化物1.9g、カルシウムは55㎎含まれます。

カッテージチーズは脱脂乳を原料に作るため、脂質が控えめ。レモン汁や酢で作ることもできる手軽なフレッシュチーズです。
サラダのトッピングやパンやクラッカーに乗せて食べる事が多いです。

⑦パルメザン

100gあたり475kcal、タンパク質は44g、脂質30.8g、炭水化物1.9g、カルシウムは1300㎎含まれます。
塩分量が100gあたり3.8gと多いため、食べ過ぎには注意です。

パルメザンは「ハードタイプ」のチーズに分類されます。1個20㎏~130㎏もあるチーズで、熟成期間が長く、長期保存が可能なチーズです。
パルメザンチーズやエダムチーズ、エメンタールチーズが代表的です。そのまま食べると旨味の結晶をじゃりじゃり感じ、すりおろして料理に使うことも多いです。

⑧ブルーチーズ

100gあたり349kcal、タンパク質は18.8g、脂質29g、炭水化物1g、カルシウムは590㎎含まれます。
塩分量が100gあたり3.8gと多いため、食べ過ぎには注意しましょう。

青カビで熟成させるブルーチーズは、白カビタイプと違って中から熟成させます。良く熟成したものは風味が強烈で味も濃厚になります。「世界三大ブルーチーズ」という名称で、フランスのロックフォール、イギリスのスティルトン、イタリアのゴルゴンゾーラが有名です。

⑨山羊のチーズ

山羊のチーズも様々な形状があるため、栄養素の量は一概には言えませんが、ヤギの乳で作ったソフトタイプのチーズの栄養価を紹介します。

100gあたり296kcal、タンパク質は20.6g、脂質21.7g、炭水化物2.7g、カルシウムは130㎎含まれます。 山羊のチーズは「シェ―ヴルタイプ」とも呼ばれ、牛乳で作るチーズよりも歴史が古いと言われています。

⑩ウォッシュタイプ

「ウォッシュタイプ」という、通向きの熟成チーズもあります。外皮を塩水で洗いながら菌を付けて熟成させるのですが、においが独特で強いものが多いです。

赤ワインやドライフルーツとの相性が良く、オードブルのアクセントやデザートの代わりに食べる場合もあります。

北海道のチーズを食べよう!

北海道の牧場

北海道は生乳の生産量が日本一なことは有名ですが、美味しい牛乳で作るおいしいチーズもたくさん生産されています。それも、大きい乳業メーカーが作るチーズだけでなく、小さな工房でチーズ職人が一つ一つ手作りするチーズも年々美味しく、様々な種類が開発されているのです。同じ作り方でも、生乳の質の違いや職人の腕次第でチーズの味は変わります。また、乳を搾った季節や熟成期間の違いによっても味が変わります。

お取り寄せでも気軽に全道各地のチーズを味わうことができますが、北海道の広大な土地をドライブしながらお気に入りのチーズ工房を探してみるのも面白いですよ。

まとめ

チーズの種類やその栄養価について解説しました。カルシウムだけでなく、体にうれしい栄養素が豊富なことがわかりましたね。

栄養価が高く長期間保存もできるチーズは冷蔵庫に常備して積極的に食生活にとり入れてほしい食品です。

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