【さくらんぼ】を食べよう!栄養&効能ガイド。意外と知らない種類と特徴。白肉・赤肉・アメリカンチェリーについても詳しく紹介

北海道食材の豆知識
Misato Watanabe

Misato Watanabe

調剤薬局で事務兼管理栄養士として従事していました。その後お菓子メーカーに勤め、現在は苫小牧市で1歳児子育て奮闘しながら、鮮魚店で日々新鮮な魚をお客様にお届けしています!

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6月になるとフルーツ売り場の主役となる鮮やかな赤色の「さくらんぼ」。初夏の味覚の代表格であり、その可愛らしい姿と甘酸っぱい味わいは、一年の中でも特別な期間限定の贈り物です。流通期間が短いことから食べる量は少ないかもしれませんが、葉酸が豊富でアントシアニンといったら注目の機能性成分もこの小さな果実には詰まっています。今回は管理栄養士の筆者が、栄養と効能について詳しく解説。国内で多く栽培される白肉種とアメリカンチェリーに代表される赤肉種との違いについても紹介します。

【さくらんぼ】について詳しく知ろう

果物狩りの代表格ともいえる「さくらんぼ」。北海道でさくらんぼの生産量は全国合計の10%以下ですが、実は栽培面積では山形県に次いで2位となっており、いまや日本を代表する生産地の一つです。まずはどんな果物なのか、産地や旬について知りましょう。

さくらんぼ畑

和名は「桜桃(おうとう)」

バラ科サクラ属である「さくらんぼ」。元々桜の実を指す「桜ん坊」が由来といわれており、正式な和名だと「桜桃(おうとう)」といいます。原産地は西アジアのカスピ海および黒海沿岸地方とされ、現在国内で栽培されているさくらんぼは、欧州系の「甘果桜桃」です。甘果桜桃は生食用として栽培されますが、海外では甘果桜桃の他に、加工・料理用として「酸果桜桃」も栽培されています。さくらんぼが日本で栽培されるようになったのは明治初期のこと。北海道では開拓使によって札幌官園に植えられたのが栽培の始まりとされています。

主な産地と旬の時期

主な産地は山形県でその生産量は国内全体の7割強を占めます。他には北海道、青森県、山梨県、秋田県、福島県が挙げられます。北海道内の主産地は仁木町、余市町、増毛町、深川市です。 旬は5月下旬から7月。さくらんぼは耐寒性があまり強くなく、収穫時期に雨に当たると実割れを生じるため、本州の主要産地では梅雨の季節に入る前に収穫を終えます。北海道は梅雨がないことから、6月に収穫が始まり、7月に最盛期を迎え、地域によっては8月まで収穫されます。この時期は市場出荷されるとともに、産地では直売やさくらんぼ狩りが盛んに行われます。北海道は夏休みにさくらんぼ狩りができる国内では唯一の地域といえるでしょう。

【さくらんぼ】の栄養成分とその効能について

さくらんぼの断面,輪切りしたさくらんぼ

さくらんぼは可食部(タネを除いた量)100gあたり60kcal、タンパク質1g、脂質0.2g、炭水化物を15.2g、うち食物繊維を1.2g含みます。炭水化物(糖分)、葉酸が豊富で、特に葉酸100gあたり38μgと国内の落葉果樹の中では「くり」に次いで多く含む果物です。また、特有の甘みを持つソルビトールや、アントシアニン色素も含まれています。

ここからはさくらんぼに含まれる栄養素とその働きを詳しく紹介します。

◆葉酸

さくらんぼ100gあたり葉酸は38μgと、果物の中でも比較的多く含まれています。葉酸はビタミンB群の一種で、ビタミンB12と協力して赤血球を作ったり、タンパク質やDNAを合成し、体の発育を促します。特に妊婦さんは赤ちゃんの成長に必要な栄養素であるため、成人の摂取量の2倍は摂るよう心がけましょう。

◆ビタミン類

さくらんぼにはビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、βカロテンなどのビタミンがバランスよく含まれています。ビタミンB1は糖質の代謝を高めて疲労回復に働き、ビタミンB2は脂肪の代謝を促して効率よくエネルギーに変え、また皮膚や粘膜の健康維持にも役立ちます。ビタミンCはタンパク質から皮膚を丈夫にするコラーゲンを合成し、美肌作りに必要不可欠な栄養素です。その他にも免疫力を高めたり、鉄の吸収を助ける効果も期待できます。βカロテンは体内でビタミンAと同様に免疫力のアップや粘膜の健康を保つ働きをします。

◆アントシアニン

さくらんぼの果肉にはポリフェノールの一種であるアントシアニンが含まれています。アントシアニンはブルーベリーやぶどうに多く含まれるイメージがありますが、実はさくらんぼにもアントシアニンが含まれています。アントシアニンは強い抗酸化作用があるため、活性酸素の害から細胞を守る働きが備わっています。また、アントシアニンは目の働きを高めて疲れ目や視力を回復する効果が期待でき、目の健康に欠かせない栄養素です。

◆シアニジン

さくらんぼにはアントシアニンの一種であるシアニジンが含まれています。シアニジンはアントシアニンの一種で抗酸化作用、抗炎症作用があり、シアニジンを摂取することで老化予防やメタボリックシンドロームの予防が期待できます。

◆ソルビトール

さくらんぼには糖アルコールの一種であるソルビトールが含まれています。このソルビトールは人工甘味料としてお菓子類などで使われることが多いですが、りんご・梨・プルーンなどといった天然の果物にも含まれているのが特徴です。ソルビトールには便をやわらかくして排便を促す作用や、食物繊維も含まれるため腸内環境を整える効果が期待できます。ただし、ソルビトールは海外では下剤の成分として使用されるほどの作用があるため、過剰摂取すると下痢や腹痛につながる恐れがあります。さくらんぼは食べ過ぎないよう、量はほどほどにしておくのが良いでしょう。

◆メラトニン

さくらんぼに含まれているメラトニンは、脳から分泌される睡眠ホルモンです。メラトニンには体内時計を整え、自然な睡眠を促す作用があります。メラトニンが多く含まれるさくらんぼを摂取することで、不眠や生活リズムの乱れを解消する効果があります。

さくらんぼ(桜桃)の種類とそれぞれの特徴

日本では約30種類ほどのさくらんぼが栽培されていますが、海外にもたくさんの種類があります。主な分類とその中の代表品種を紹介します。

①甘果おうとう(スイーツチェリー)

「甘果おうとう」は先述したように生食用として栽培されている、甘みが強く酸味が少ない品種です。スイーツチェリーとも呼ばれ、日本で栽培されているさくらんぼの殆どが甘果おうとうに属しています。甘果おうとうは同じ品種の花粉だと受粉しないため、2品種以上掛け合わせて生産されます。

《白肉種》

白肉腫の甘果おうとう,桜桃

甘果おうとうのうち、果肉の色が乳白色の品種。日本国内の生産は殆どが「白肉種」です。赤肉種が世界の主流である中、白肉種が主流の日本は世界の中でも珍しい存在といえます。代表的な品種は「佐藤錦」、「紅秀峰」、「高砂」、「ナポレオン」、「レーニア(アメリカンチェリー)」が挙げられます。

《赤肉種》

赤肉種のさくらんぼ,甘果おうとう

甘果おうとうのうち、果肉の色が赤色もしくは暗赤色のものが「赤肉種」です。赤肉種は「ビング」、「ジャボレー」などのアメリカンチェリー、シュワルツェベヌスをはじめとした多くの品種があります。

②酸果おうとう(サワーチェリー)

酸果おうとう,サワーチェリー

「酸果おうとう」は調理用のさくらんぼで、その名の通り酸味が強い品種です。欧米ではジャムやジュースなどのお菓子類、チェリーパイなどには必ずと言っていいほど酸果おうとうを使用します。代表的な品種として「ノーススター」、「モンモレンシー」、「アーリーリッチモンド」、「シャッテンモレロ」などがあります。

③中国おうとう(カラミザクラ)

中国桜桃,カラミザクラ

「中国おうとう」は1本でも鈴なりに実る品種で、家庭栽培や観賞用に適した品種です。しかし、小粒で酸味が強いため、私たちが普段食べているさくらんぼのイメージとは異なるさくらんぼといえるでしょう。

④野生種など

シベリアンチェリー,野生種のさくらんぼ

さくらんぼには自生している野生種も存在します。ワイルドチェリーやサンドチェリー、シベリアンチェリーなどが挙げられます。

アメリカンチェリーとは

アメリカンチェリー

「アメリカンチェリー」とは、アメリカで生産されたさくらんぼの総称です。日本のさくらんぼよりも実が大きく、皮も果実も赤黒い色が特徴です。アメリカンチェリーはカリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州が代表的な産地で、初夏から夏にかけて旬を迎えます。

さくらんぼ・桜桃・チェリー、呼び名で違いはある?

さくらんぼと桜桃に違いはありませんが、さくらんぼは植物学上や学術用語では「桜桃(おうとう)」と記載されています。チェリーというとアメリカンチェリーを思い浮かべる方も多いと思いますが、加工品や輸入品のことをチェリーと呼びます。

【さくらんぼ】の選び方と保存方法

美味しそうなさくらんぼを摘む

美味しいさくらんぼの選び方

表面に艶と光沢があり、傷や褐変がないものを選んでみましょう。実は硬くしまっていて、皮の色が全体的に赤いものにしましょう。また、さくらんぼの軸は青々としているものは新鮮な証なのでおすすめですよ。

保存のコツ

さくらんぼは温度変化に弱いため、購入した時の保存状況に合わせるようにしましょう。常温で売られていることがほとんどのため、基本は冷暗所で常温保存です。通販などで冷蔵のものを購入した際は、冷蔵保存しましょう。さくらんぼは結露や乾燥にも弱いため、保存する際に新聞紙やクッキングペーパーで包み、保存容器に入れて保管します。もともと長期保存にはむかない果物であるため、購入したら出来るだけ早く食べることがおすすめです。

旬は短いさくらんぼは、加工品がおすすめ

さくらんぼジャム

さくらんぼはデリケートで保存が難しく、旬を楽しめる期間が短い果物ですが、せっかく手に入れたなら少しでも長く楽しみたいですよね。
贈り物などで沢山いただき食べきれない時は、ジャムやシロップ漬け、リキュールなどにすると長期間さくらんぼの味を楽しむことができます。ジャムにしたさくらんぼはパンやヨーグルトにかけるだけでなく、冷凍パイシートを使うとチェリーパイも簡単に作れるのでおすすめです。 暑い時期には冷凍保存したさくらんぼを氷がわりに飲み物に浮かべたり、シャーベットにしてもおしゃれですよ。オリーブオイルやトマトと合わせて冷製パスタなど、メインディッシュにも。

まとめ

今回はさくらんぼの持つ栄養素の働きや産地や品種、おすすめの食べ方をお伝えしました。真っ赤な粒にはたくさんの栄養が詰まっていますので、旬の時期に生の果実を楽しむだけでなく、ジャムやシロップ漬けなどに加工して長く美味しく味わってみてはいかがでしょうか。白肉種や赤肉種、海外からもいろんな品種が輸入されていますので、食べ比べしてみるのもおすすめです。

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