【白菜】を食べよう!栄養素と効能、95%が水分の淡色野菜は低カロリーでとってもヘルシー

北海道食材の豆知識
Ayaka Izawa

Ayaka Izawa

フリーランスで管理栄養士の仕事をしながら、北海道栗山町の井澤農園で販売・営業を行い、地域の産品作りや食育などの地域おこし事業にも関わっています。 自称「農家フェチ」!

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淡白な味で和洋中問わずどんな料理にも脇役として大活躍する「白菜」。栄養がない野菜と言われますが、ビタミン類やカルシウムなどを含むヘルシーな食材です。今回は管理栄養士の筆者が栄養素とその働きについて詳しく解説。旨みと甘みの秘密、栄養を効果的に摂取する食べ方、美味しい白菜の選び方や保存方法についてもご紹介します。

【白菜】について詳しく知ろう

白菜の畑

寒くなると需要が増す「白菜」。食材としては強烈な自己主張がないため、様々な料理の名脇役とも言える野菜ではないでしょうか。鍋をはじめとした汁物、炒め物、煮物、サラダ、キムチ・漬物・・・、生のまま食べようと熱しようとも控えめだけど存在感がある!まずは白菜がどんな野菜なのかをお伝えします。

【白菜】とは

白菜はアブラナ科アブラナ属の植物です。仲間にはキャベツ、水菜、小松菜などが挙げられます。原産地は北〜東ヨーロッパからトルコ高原、地中海沿岸地域など諸説ありますが、普段食べているような栽培種はシルクロードを経由して伝わった中国の華北が生まれとされています。原産地としてヨーロッパ地方が挙げられますが、現代で白菜を食用としているのは日本や中国、朝鮮半島などの東アジア限定となっています。日本への伝来は中国から1875年(明治8年)に伝えられたとされていますが、結球ハクサイの導入は日清・日露戦争後の1905年以降であり、その後に愛知県、長崎県など各地へ栽培が広まりました。

主な産地と旬の時期

白菜の旬は秋の終わりから冬にかけての10月〜2月ごろです。この時期を過ぎてもスーパーでは購入することができ、産地や品種や作型を変えることで5月には春白菜、8月には夏白菜が出回ります。今では一年中、美味しい白菜を食べられるようになりました。

白菜の主な産地は茨城県と長野県。続いて鹿児島県、北海道は全国4位の出荷量です。ただし、北海道は全国出荷量の3%となっています。これは、需要が増える冬の間は北海道では雪が降るため、白菜の栽培に適さないことが理由です。

約95%が水分。白菜には《栄養》がないって本当?

みずみずしい白菜

白菜は全体の95%が水分と野菜類の中でも比較的多い水分含有率です。但し、きゅうりも95%、ピーマンやキャベツも93%前後が水分です。
含まれる栄養については次項で述べますが、それほどたくさんの栄養素が含まれているわけではありません。

【白菜】の栄養成分とその効能

半分にカットした新鮮な白菜

それでは白菜に含まれる栄養素とその働きについて詳しく述べていきます。

白菜は100gあたり14kcal、炭水化物は3.2g、食物繊維は1.3g。糖質量は「炭水化物―食物繊維」で求められるため、100g中に糖質を1.9g含みます。ナトリウムは6mg、カリウムは220mg、マグネシウムは10mg、カルシウム43mg、鉄0.3mgです。 白菜に含まれる栄養素を下記でご紹介します。

◆カルシウム

白菜は100g中にカルシウムを43mg含みます。カルシウムといえば乳製品のイメージが強いことから、野菜にカルシウムが入っていることを意外に感じる人もいるかもしれません。しかし、カルシウムはさつまいもやキャベツ、小松菜などにも含まれており、野菜から摂取することも可能なミネラルです。

但し、野菜に含まれるカルシウムは乳製品や小魚に含まれるカルシウムよりも吸収率が悪いため、補給源としては効率が悪い食材でもあります。野菜からのカルシウムの吸収を促進するためにはビタミンC、ビタミンDマグネシウムを含む食品と一緒に食べると吸収率が高まりますよ。

◆ビタミンC

白菜は100g中にビタミンCを19mg含みます。ビタミンCは免疫力の向上や、体内の酸化物質を還元する働きがあります(抗酸化作用)。白菜に含まれるビタミンCの量は野菜類の中でもそれほど多いというわけではありませんが、ビタミンCは熱に弱いため、生でも柔らかくて食べやすい白菜からは摂取しやすいですよ。

◆食物繊維

白菜100g中に1.3gの食物繊維を含みます。食物繊維は便のカサを増やして便秘の解消を促したり、糖や脂質の吸収を阻害して血糖値やコレステロール値、中性脂肪を上げにくくする働きがあります。食物繊維は現代の日本人の食生活において不足しがちなため、積極的な摂取が薦められています。

◆アミノ酸

白菜には旨味成分であるグルタミン酸、アスパラギン酸、甘みを表すアラニン、セリンなどのアミノ酸が含まれているため、鍋物や煮物にしたときに煮汁に旨味や甘味が滲み出るという特徴があります。鍋の主役にはなりにくい白菜ですが、鍋の旨みや深みを出すために一役買っているのですね。

栄養を効果的に摂取。調理する際のポイント

ここまでで、白菜に含まれる栄養素とその働きについて述べました。しかし、食べ方や調理法によってはせっかくの栄養素を捨ててしまうことになる場合も有ります。効率よく丸ごと摂取できるよう、おすすめの調理法や食べ方を学びましょう。

①水に溶け出す栄養がある。汁ものがおすすめ。

白菜の栄養素を効率的に摂取するには、鍋物や煮物にしたときには汁ごといただくことがポイントです。これは、旨味成分であるグルタミン酸、アスパラギン酸、甘みを表すアラニン、セリンなどが水に溶けやすい性質を持つからです。
白菜は漬物やサラダにも使われることが多い野菜ですが、漬物にすると水分を出して絞るという作業があることも。その際に絞り出した汁には栄養素や旨味成分が含まれるため、白菜の水分を絞るときにはスープの出汁として使うように保存しておくと良いです。

②単体では栄養が多くない。他の食材を合わせよう。

先ほど述べましたが、白菜は全体の95%が水分!栄養素も特別多く含んでいるとは言えないため、白菜単体では必要な栄養を充足させることは難しいです。そんなときには他の食材と組み合わせることで栄養満点の料理を作ることができます。

おすすめの食べ方

白菜は大きな野菜です。単身や少人数の家庭で丸ごと1個を買って食べるということは少ないかもしれません。しかし、カット白菜よりも丸ごと1個買った方が安いですし、食物繊維が豊富な白菜は現代人にこそたくさん食べていただきたい野菜です。 丸ごと1個の白菜もいろいろな料理に使えばペロリと食べられます。料理研究家のおすすめの料理を紹介します。

①鍋料理

白菜と豚バラ肉のミルフィーユ鍋

白菜はこれといった味の主張が薄い野菜です。白菜そのものは淡白な味わいのため、寄せ鍋や石狩鍋などどんな鍋にも合いますが、パンチのあるベーコンや豚肉・ウインナーとの相性も良いです。有名な白菜を使った鍋といえば、豚バラ肉とのミルフィーユ鍋でしょうか。ロール白菜やポトフ、トマト鍋などの洋風鍋にも合います。 隠し味にオイスターソースを入れるとより味に深みが増すのでお試しあれ!

②炒め物(八宝菜)

八宝菜

白菜の栽培種が中国で確立されたということからもわかるように、白菜は中華料理にもぴったりの野菜です。八宝菜やあんかけ焼きそば、卵炒めなどに多く使われます。炒め物やあんかけ料理にする際は肉や卵、緑黄色野菜やキノコなどいろいろな食材を合わせることができるため、栄養バランスも整えることができます。白菜はその中で主張することはないけれどあると安心する、いわば全体をまとめる「仲人役」のような立ち位置ですね。

③漬物や「干し白菜」もおすすめ

白菜のキムチ,赤唐辛子漬け

白菜は生のままも食べられます。千切りにしてサラダにしたり、漬物にしたり。キムチも美味しいですよね。 丸ごと1個購入するときにネックになるのは保存場所でしょうか。冷蔵庫に入れると長持ちしますが、冷蔵庫に入りきらない分は「干し白菜」にすることをお勧めします。栄養価が凝縮し、旨味成分が増大します。干し白菜の作り方は白菜を適度な大きさに切り、ザルやキッチンペーパーの上で干すだけ!冬であれば半日〜1日で水分がちょうどよく抜けるため、味噌汁や鍋物に使うと出汁が出てより美味しくなります。ロール白菜やミルフィーユ鍋にも、1枚のまま半日から1日干した白菜を使うと美味しさがグレードアップしますよ。

白菜の上手な選び方

実際、美味しい白菜を選ぶためにはどこに気をつけたら良いかをお伝えします。白菜を買うのはスーパーで、という方が多いはず!選ぶ際に気をつけるポイントはこちらです。

◆丸ごと購入の場合

スーパーの白菜売り場

丸ごと白菜を買う際は、まずは白菜の頂点がしっかり硬いものを選びましょう。中の葉がしっかり成長しているため、ぎっしり葉が詰まった白菜を選ぶことができます。
一番外側の葉は緑色が濃く傷んでいないものを選ぶと栄養素もしっかり含んでいます。たまに表面の葉が茶色くなっている白菜を見かけたことがある人もいるのではないでしょうか。あれは白菜が紅葉しているため、「枯れかけ」とも言えるので鮮度は落ちやすいです。
付け根の切り口はみずみずしくて変色していないものが新鮮です。切り口が溶けかかっているような白菜は腐敗が始まっているため避けましょう。

《丸ごと白菜を保存するコツ》

白菜は植物的な性質上、5度以下で成長が止まります。なるべく寒い場所で保管することで、白菜の鮮度を保つことができます
その上で水分が多い野菜なため、切ってしまうと傷みが早く進みます。なるべく外側の葉っぱから剥がすようにして使うと鮮度が保たれますよ。夏場はビニール袋に入れ、必ず野菜室で保存しましょう。1週間ほどで食べ切るのが理想です。 寒い時期であれば、一玉ずつ新聞紙で巻き、なるべく寒くて凍らないくらいの冷暗所で立てて保存すると1〜2ヶ月は美味しく食べることができます。横置きすると白菜の葉が自重でつぶれやすいので大量に保存する場合は立てて保管しましょう。北海道の農家は11月に収穫した白菜を1〜2月まで食べ続けていますよ。温かくなってくると傷みが早いため、冬の終わりには食べ切ることをお勧めします。

◆カット済みを購入の場合

スーパーで売られているカット白菜

カット白菜を買うのであれば、葉と葉の間に隙間ができていないもの、切り口が萎びていないものを選ぶようにしましょう。また、断面が盛り上がっている白菜はカットされてから時間が経っているため、大ぶりに見えても避けた方が無難です。
白菜は時間が経つと切り口が黄色く変色します。すぐ食べ切るのなら買っても良いですが、変色がないものの方が日持ちします。但し、白菜の中心部の葉が黄色い品種も存在します。見るからに新鮮で、切り口の葉が自然できれいな薄黄色の場合は白菜の品種的な特徴だと理解して購入しましょう。

《カット済み白菜を保存するコツ》

カット白菜の場合は2〜3日で使い切るようにしましょう。ポリ袋に入れて冷蔵庫で保管し、サラダに汁物に鍋物にとたくさん消費するメニューでモリモリ白菜を食べてください。

白菜の黒い斑点について

白菜

スーパーに並んでいる白菜の中に黒い斑点を発見したことがある人もいるのではないでしょうか。イメージ的に、なんとなく黒い斑点は食べたくないと思いますよね。

実はこの黒い斑点、白菜に含まれる「ポリフェノール」という色素で食べても体に影響はありません。なぜ黒い斑点ができるのかというと、化学的にもはっきりと原因がわかってはいないのですが、寒さや害虫や肥料バランスの影響で何らかのストレスが白菜にかかり、黒い斑点が出現すると言われています。農家はこういった植物の「なんだかよくわからない事象」を「生理障害」と呼び、玉ねぎでは根っこが茶色く変色してしまったり、葉っぱが縮れてしまったりといった現象も「生理障害」と呼んでいます。
植物の生態には人間に解明されていないことがまだまだ沢山あるのです。

まとめ

白菜の栄養素とその働き、おすすめの調理法や選び方のコツについてお伝えしました。北海道では岩見沢市がトップの収穫量ですが、雪が降る前後に収穫を終えて長い冬期間は白菜を栽培していません。そのため、北海道産の白菜が出回る時期も量もそれほど多くはないのですが、秋の終わりの寒暖差が激しい北海道産の白菜は甘味があって美味しいですよ。
肌寒い時期に食べたい白菜料理、ぜひ丸ごと1玉買いをして白菜マシマシでご賞味ください。

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