【ラム肉】を食べよう!栄養と効能、筋トレやダイエット中にもおすすめの理由

北海道食材の豆知識
Ayaka Izawa

Ayaka Izawa

フリーランスで管理栄養士の仕事をしながら、北海道栗山町の井澤農園で販売・営業を行い、地域の産品作りや食育などの地域おこし事業にも関わっています。 自称「農家フェチ」!

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ラム肉(羊肉)はビタミンB群・鉄といった栄養が豊富で、脂肪燃焼を促進させる「L-カルニチン」も多く含みます。部位によってはヘルシーであり、タンパク質も多いことから筋トレやダイエットなどボディメイクするにはぴったりの食材。そんなラム肉の栄養とその効能、おすすめの食べ方について、道産子で管理栄養士の筆者が詳しく解説します。
これを読めばラム肉を積極的に食べたくなるはずです!

【ラム肉】は道産子にとっては身近なお肉

放牧された羊

「ジンギスカン」と聞くと、北海道を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。北海道でラム肉は、鶏・豚・牛のように当たり前にスーパーに陳列されています。

今では郷土料理としてジンギスカンが広く浸透している北海道ですが、野生の羊がいなかった日本においては比較的歴史の浅い食材となります。
1869年(明治2)に羊毛生産のために繁殖用の羊が輸入が始まり、1918年(大正7)に現在の滝川市と札幌市に種羊場が設置され、1955年(昭和30)頃から食用としての生産・流通が広がっていきました。元々は羊毛を目的として飼育していたため、肉用になるのは老齢の羊ばかり。その肉は硬くて癖があると不評でした。しかし食用を意識した頃からは流通する肉の味も格段に向上し、現在では道産子のみならず道外でも知名度があがってきました。

道内においては十勝・釧路・上川・空知地方で比較的多く飼養され、ブランド化の試みも行われるなど、羊産業の活性化を図っています。現時点では北海道の羊肉生産量は100t前後で推移していますが、それでも羊肉の国内自給率は1%未満で、殆どはオーストラリアやニュージーランドで輸入されたものです。今後、道内での生産量が増えることで地産地消食材となり、北海道の羊肉文化がますます盛り上がることが期待されています。

ラムとマトンについて

「ラム」「マトン」とは、羊またはその肉を指す言葉です。日本で消費される羊肉は、生育期間によってこの2種類に分けられます。生後1年未満の仔羊肉のことをラムと呼び、生後2年以上の羊肉のことをマトンと呼びます。またマトンのうち、肉質がラムに近い生後1年以上2年未満のものを「ホゲット」と呼ぶこともあります。

ラムとマトンを歯の本数で区別する事もあります。永久歯が0本で乳歯のみの仔羊肉をラム、永久歯が2本以上の羊肉がマトンです。

肉の特徴としては、一般的にラムは肉質が柔らかくクセがないのが特徴です。見た目もマトンに比べ淡い色合いをしています。生後間もない仔羊肉は、ミルクのようなにおいがするとされ、高級食材として使用されています。

一方マトンはラムに比べると肉が引き締まってコクと旨味があり、赤みが強いのが特徴です。羊肉特有のにおいもラムより強めなので、気になる方はスパイスを使ったり、タレに漬けてから煮込んだりするなどして調理するのがおすすめです。

【ラム肉】の栄養成分と効果について詳しく知ろう

生のラム肉,ラムチョップ

ラムの「ロース肉(皮下脂肪無し)」の場合は100gあたり128kcal、タンパク質22.3g、脂質5.2g、炭水化物0g。鉄は1.9㎎含みます。

羊肉はヘルシーでカロリーが低いと言われることもありますが、部位によってカロリーが違います。気になる方はもも肉が比較的カロリーが低くおすすめです。ラム肉はタンパク質、ビタミンB群、L-カルニチン、鉄などを豊富に含みます。それぞれの様々な働きを詳しくお伝えします。

①タンパク質

ラムのロース肉で皮下脂肪無しの場合、100g中にタンパク質は22.3g。もも肉はさらにタンパク質が豊富です。和牛に比べるとおおよそ2倍の量が含まれています。タンパク質は筋肉や皮膚、血液、内臓、髪の毛など体のあらゆる部分を作る材料になっています。そのためラム肉は筋トレで身体作りをしたい方やアスリート、ダイエット中の方にぴったりの食材と言えるでしょう。

②ビタミンB群

羊肉100g中にビタミンB1は0.15mg、ビタミンB2は0.25mg、ビタミンB6は0.36mgです。ビタミンB1は糖質の代謝を高め、疲労回復に働きます。ビタミンB2は脂肪の代謝を促し、効率よくエネルギーにかえる働きがあり、また皮膚や粘膜の健康維持にも役立っています。ビタミンB6はタンパク質の代謝を高め、筋肉や血液などをつくるときのサポートをしてくれます。

このようにラム肉にはビタミンB群がバランスよく含まれているため、摂取した栄養素がスムーズに代謝し、エネルギーに変換され脂肪の蓄積を防ぐことができます。ラム肉がダイエットの強い味方と言われるのは、下記で説明するL-カルニチンに加えてビタミンB群も大きな効果を発揮しているからなんですね。

③脂肪燃焼!L-カルニチン

ラム肉の大きな特徴として、L-カルニチンが含まれていることがあげられます。L-カルニチンはアミノ酸の一種で、肝臓、腎臓で作られます。L-カルニチンは脂肪細胞と結合し、ミトコンドリア内に運ぶことによって脂肪燃焼を促進させる働きがあるため、ダイエット効果のある成分として注目されています。運動後に摂取することでより脂肪の燃焼をサポートする効果があるそうです。L-カルニチンは赤身の肉や魚介に含まれていますが、その中でもラム肉は特に多く含まれています。

④鉄

ラム肉100g中には1.9mg。鉄は赤血球を作るのに必要なミネラルです。不足すると貧血を起こして、めまいや立ちくらみなど疲れやすくなります。 鉄には2種類あり、赤身の肉、貝類、小魚などに多く含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品や乳製品、卵に多く含まれる「非ヘム鉄」に分けられます。その違いは吸収力で、ヘム鉄は非ヘム鉄に比べ吸収力が約5倍も高いのが特徴です。他にも亜鉛や銅といったミネラル分も豊富です。普段の食生活では不足しがちな成分ですので、ラム肉はミネラル不足の方にはうってつけの食材といえますね。

おすすめの食べ方

火鍋とマトンロール

ラム肉は普段食べ慣れないとどんな料理に合うのか想像しにくいかと思います。

厚切りの肉やラムチョップはステーキや焼き肉のように、焼いて塩コショウやお好きなタレをつけて食べることをおすすめします。香草パン粉焼きにするとハーブの香りがラムの香りと合わさり食べやすく、複雑な風味にお酒が進みます。

冷凍の薄切りラム肉が手に入る場合は薬膳鍋や、ラムしゃぶ(しゃぶしゃぶ)に入れると特有のクセを感じづらくなりますよ。北海道民は冷凍ラム肉をジンギスカンで食べることもあります。

やっぱりジンギスカンがおすすめ!

ジンギスカン

ラム肉の代表的な食べ方はやはりジンギスカン。ジンギスカンは中央部分が盛り上がったジンギスカン鍋で調理します。この鍋の形は「モンゴルの兵隊がヘルメットを用い羊肉を調理してたことを模倣した」など諸説あるのだとか。この鉄板は熱がちょうどよく伝わり、冷めると味が落ちる羊肉にとって最適な保温状態を保てるため、本格的に楽しみたい方におすすめです。とはいえ、ジンギスカン鍋じゃなくてもお手持ちのホットプレートやフライパンなどでももちろんOK。野菜も特に決まりはないので、冷蔵庫にある好きな野菜を沢山入れて焼きましょう。

ジンギスカンには、はじめから下味がついている「味付けジンギスカン」「味のついていないジンギスカン」があります。「味付けジンギスカン」は主に北海道栗山町、滝川市、長沼町などの地域で好まれ、筆者もよく長沼ジンギスカンを事あるごとに家族で食べて舌鼓をうっています。「味のついてないジンギスカン」は専用のタレを付けて食べます。このタレも北海道では家庭に欠かせないもので、ジンギスカンを食べるのに使うのはもちろん、ちょっとした野菜炒めなどでも活躍します。

「ジンギスカン丼」もおすすめです。味付けジンギスカンに片栗粉をまぶしてから揚げにし、ご飯の上に千切りキャベツとマヨネーズをかけ、仕上げに揚げたてのジンギスカンをのせて食べます。作り方はシンプルで簡単ですが、味付けジンギスカンを使うので味がバシッと決まりキャベツとマヨネーズとの相性も抜群です。よかったら皆さんもぜひ作ってみてくださいね。

まとめ

ラム肉の産地や歴史、栄養価とその働きについてお伝えしました。北海道民にとってはジンギスカンを代表として馴染みが深いラム肉。美味しいのはもちろん、普段の食生活に不足しがちな栄養素がバランス良く含まれた食材でもあります。ぜひ食べて、日々の食事に取り入れてみてくださいね。

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