高級フルーツとして夏のギフトやお中元にもよく使われるメロン。洋菓子やスムージー、シャーベットとして食べる機会も多く、手ごろな価格のものは普段のデザートや暑い日の水分補給にもピッタリ!そんなメロンが含む栄養素とその働きについて、管理栄養士の筆者が詳しく説明します。赤肉メロンと緑肉メロン(青肉メロン)の栄養価の違いやおすすめの食べ方もご紹介!
目次
【メロン】について詳しく知ろう!
「メロン」の原産地はアフリカ大陸です。栽培の歴史は古く、古代エジプトや古代ギリシャ時代にはすでに食べられていました。中国でも紀元前13世紀ごろから栽培されていた形跡があり、日本では「マクワウリ(真桑瓜)」などの中国系のメロンの先祖が弥生時代から伝来しています。
現代の日本でメジャーになっている皮がしっかりしていてネットがあるメロンはヨーロッパ系メロンです。明治中期に伝わってきました。
赤肉が好き?緑肉が好き?
メロンには多くの品種がありますが、メロンは果肉の色により「赤肉系」「緑肉系」「白肉系」に分けられます。さらにネットの有無により「ネット系」と「ノーネット系」に分けられます。
北海道で育てられている品種は9割以上が赤肉のネット系で、次に緑肉のネット系が多く作られています。赤肉メロンは1つが大きな果物で、味も良く、高級なイメージが強いことからお中元にもよく使われます。
ネットメロンは赤肉と緑肉では切る前の見た目は同じですが、味や含まれる栄養素の量が違います。それについても説明します。
長く愛される「プリンスメロン」。ノーネット系の代表品種。
プリンスメロンは1961年に「サカタのタネ」という老舗種メーカーが開発した安価なメロンの先駆者です。高級メロンとマクワウリしかなかった時代に一般庶民にも美味しいメロンが食べられるようになったきっかけがプリンスメロンの登場です。プリンスメロンはノーネット系で、香りは少なめですがしっかり甘くておいしいメロンです。長い年月栽培され続けているということは、根強いファンも多く居るということです。
果肉の色による味の違い
赤肉メロンは「ルピアレッド」「夕張キング」が有名です。「夕張キング」はJA夕張(夕張市を管轄する農協)で出荷され、「夕張メロン」として流通しています。赤肉メロンは糖度が高く、とろけるような肉質と芳香な香りを特徴とする品種が多いです。赤肉メロンは食べごろを逃すとすぐに味が劣ってしまいます。
緑肉メロンも甘みは強いですが赤肉よりも日持ちがするものが多く、食べごろの期間も長いのが特徴です。後味がさっぱりしていて赤肉よりも香りにクセが無く、量を多く食べられます。
白肉メロンは「ホームランメロン」という品種が有名で、名前の通り皮も実も真っ白なメロンです。ホームランメロンは肉質が硬めで日持ちがするのが特徴で、甘味が爽やか!
果肉の色による栄養価の違い
赤肉、緑肉共に100gあたり42kcal、たんぱく質含有量は1ℊ、炭水化物は10.4g、食物繊維は0.5g。糖質量は9.9g含みます。違う点は赤肉メロンは緑肉メロンに比べて、β-カロテンを10倍以上も多く含むということ。緑肉は100g中に350μg含むのに対し、赤肉は3600μg!栄養価を重視するのであれば、赤肉を選びましょう。
白肉メロンの栄養価は探すことができなかったので割愛しますが、青肉メロンと変わらないと考えても良いと思います。
メロンの栄養価とその働きについて
赤肉、緑肉共に100gあたり42kcal、たんぱく質含有量は1ℊ、炭水化物は10.4g、食物繊維は0.5g。糖質量は9.9g含みます。秀でた栄養素は赤肉メロンに多い「β-カロテン」くらいで特にありませんが、タンパク質分解酵素である「ククミシン」や「シトルリン」などの成分も含みます。それぞれの成分がどのような働きを持つか解説します。
①ククミシン
ククミシンはメロン特有のタンパク質分解酵素です。メロンの学名「cucumis melo」が由来です。メロンの品種によってククミシンを含んでいないものもありますが、ネット系のメロンのほとんどにはククミシンが含まれています。
タンパク質を分解するということで、肉や魚を食べると胃もたれがする…という人は一緒にメロンを食べると胃もたれが軽減されますよ。
メロンを食べるとのどがイガイガしたり、口の周りがかゆくなることがある人がいると思いますが、それはククミシンによるタンパク質の分解によるものです。ククミシンはアレルゲンとなることも報告されているため、「メロンを食べると体に異変が出る」という人はメロンアレルギーと言えます。
②シトルリン
シトルリンはウリ科の野菜や果物に含まれるアミノ酸です。メロンの他にスイカやキュウリなどにも含まれています。シトルリンは血管の機能を改善したり、強くする働きがある栄養素です。
シトルリンが血管の機能を向上させることで動脈硬化の予防に繋がったり、持久力の向上、冷え性の改善、むくみの改善、アンチエイジング、記憶力や集中力の改善にも役立つと言われています。 100g中にメロンは50㎎、スイカは180㎎、キュウリは5~10㎎、ゴーヤに2~16㎎含まれています。
③カリウム
メロン100g中にカリウムを350㎎含みます。カリウムは生野菜や果物に多く含まれる栄養素です。体内の過剰な塩分を体外に排出する際に役立ち、むくみを改善したりやこむら返りを予防する働きをします。
カリウムは水溶性であるため、水にさらしたり茹でると半減してしまうのですが、生で食べられるメロンのような果物はカリウム摂取にピッタリ!夏場、足がつりやすい…という人はカリウム摂取にメロンをおすすめします。
④β-カロテン
β-カロテン(ベータカロテン)は免疫力のアップや粘膜の健康を保つ働きをします。
β-カロテンが100gあたり600μg以上含まれる野菜を特に「緑黄色野菜」と分類し、栄養価が高い野菜といえます。青肉メロンが100g中350μgの含有量ですが、赤肉メロンは3600㎍と桁違い。果物ですが、しっかり緑黄色野菜の一員です。
メロンの美味しい食べ方
メロンの栄養素をお伝えしましたが、これらの栄養素を無駄なく摂取できる美味しい食べ方を紹介します。
筆者がおすすめするのは「カプレーゼ」!モッツァレラチーズとメロンを合わせて塩とオリーブオイルをかけるだけですが、高級料理店の前菜を食べているような気持ちになれます。メロンのククミシンがチーズのたんぱく質を分解してくれるため、消化にも良い一品です。これに生ハムを添えても良し。
甘味が少ないメロンは一口大にカットして冷凍した後、ガムシロップと一緒にフードプロセッサーで攪拌し、シャーベットにすると美味しく食べることができます。
メロンの保存方法
スーパーに並ぶメロンは殆どが食べごろになる前のものです。メロンは収穫後に追熟することにより、肉質が柔らかくなって香りが増します。食べる前までは冷暗所で保存して置き、香りが出てメロンのお尻が少し軟らかくなったころ合いを見計らって、食べる2~3時間前に冷蔵庫で冷やしてから食べることをおすすめします。
ちょんまげが枯れあがっているメロンは追熟のし過ぎな場合があります。追熟しすぎると発酵してしまい、甘さがアルコール分に変化することも。甘みが半減して美味しくなくなる他、苦味が出たりのどがイガイガする原因にもなります。
メロンのツルは飾り?
T字型についているメロンのツルを「ちょんまげ」と呼ぶことをご存知でしょうか。これは日本のメロンにだけ付いている飾りのツルで、大正時代から高級メロンの証としてわざと残されているものだと言われています。ただし、ツルが取れやすい品種や輸送の関係でちょんまげを取ったメロンもあり、その存在は直接美味しさにはかかわりません。
北海道のメロンを食べよう!
メロンは全国的に広く栽培されている果物ですが、北海道は茨城県に次ぐ主力産地です。国内の出荷量の15%ほどは北海道産です。道内の主要産地は共和町、夕張市、富良野市です。
道外のメロンは緑肉が主流ですが、道産メロンは赤肉が主流です。
北海道における主な栽培時期は4~10月で大半がハウス栽培です。植え付け時期をずらすことで収穫時期は6~10月までと長期にわたりますが、7月の出荷量が最も多くなります。
産地によってブランド化されており、一番有名なのが「夕張メロン」。そのほかにも「富良野メロン」、「らいでんメロン」と地域を代表する特産品となっています。ブランドメロンは栽培方法や等級、糖度もしっかり測られているため品質のお墨付き。贈答用にはブランドメロンを選ぶとハズレがありません。
まとめ
メロンの歴史から赤肉、緑肉の味や栄養価の違い、追熟の見極め方をお伝えしました。あなたは赤肉派?緑肉派?生産者によっても栽培方法や収穫時期の見極めが違います。メロン好きな人であれば、品種や生産者による味の違いも比べてみるとよりメロンを楽しめますよ。