玄米と白米のイメージと言えば、一般的に「栄養素に優れた玄米」と「食べやすさ・美味しさの白米」でしょうか。主食の米は玄米派か、白米派かのどちらかに分かれることが多いですが、それぞれの違いを正しく理解することで日替わりやおかずに合わせて玄米を食べるか白米にするかを選ぶ楽しさがわかるはず。 ただし、ヘルシーな玄米は白米よりも食べるのに手間がかかり美味しくないイメージがあるのも否めません。そんな玄米を美味しく食べられるちょっとしたコツもご紹介します。
目次
そもそも玄米とは?
米は稲から収穫できます。稲は果実である籾(もみ)の中に玄米を持ちます。カサカサした食べられないお米の殻が籾だとすると、籾を取り除いたものが玄米。玄米を精米器である程度削ることで皮と胚芽が取れ、真っ白な「白米」ができあがります。
白米を作る時に削った皮と胚芽を「糠(ぬか)」と言いますが、この糠の部分には白米よりも多くの栄養素が含まれています。後に詳しく説明します。
玄米と白米のカロリーの違い
玄米は白米よりもカロリーが低いと思われていることが多いですが、実はそんなこともありません。
炊く前の米のままのカロリーを比較すると、玄米は100gあたり353kcal、白米は358kcalとほぼカロリーに差はありません。
炊いた後の飯の状態で100gあたりのカロリーを比較すると、玄米は165kcal、白米は168kcal。炊いても玄米と白米のカロリーの差はほとんどないと言っても良いでしょう。
ただし、糖質量が多い食品は血糖値が上昇しやすいかしにくいかを表す「GI値(グリセミック・インデックス値)」で太りやすい、太りにくいという指標となります。血糖値が上がると糖をエネルギーに変換したり、貯蔵するためにインスリンが分泌されます。インスリンは糖質から脂肪を作り出し体に定着させる働きもあるため、GI値が高い食品は太りやすいと言えます。
GI値は玄米が55、白米が81と玄米の方が低いため、玄米の方が白米よりも太りにくく、栄養素も豊富に含まれていることからダイエット時の栄養補給におすすめだと言えます。
玄米と白米の栄養価の違い
栄養価の違いはすぐに食べられる状態である「飯」の場合の比較のみお伝えします。
玄米は100gあたりタンパク質2.8g、脂質1g、炭水化物35.6g、食物繊維は1.4gであることから、「炭水化物―食物繊維」で求められる糖質量は34.2gです。
白米はというと、タンパク質2.5g、脂質0.3g、炭水化物37.1g、食物繊維は0.3gであることから、「炭水化物―食物繊維」で求められる糖質量は36.8gです。
糖質量にもこれといった差はありませんね。
その他の栄養素も比較してみましょう。わかりやすく比較するため、()の中が白米の栄養素の量です。
カリウム95㎎(29㎎)、カルシウム7㎎(3㎎)、マグネシウム49㎎(7㎎)、リン130g(34㎎)、鉄0.6㎎(0.1g)、ビタミンE 0.5㎎(0mg )、ビタミンB1 0.16㎎(0.02㎎)、ナイアシン2.9㎎(0.2㎎)、ビタミンB6 0.21㎎(0.02㎎)、葉酸10㎍(3㎍)となり、玄米の方が白米よりもずっと栄養価が高いことが分かりますね。栄養素によっては10倍以上含有量に差があるものもあります。
玄米を美味しく食べるコツ
先述した栄養素を含む量の違いから、玄米を主食にしたほうがよりたくさんの栄養素を摂取できるということが分かりましたね。
しかし、玄米を主食にするには炊き方が難しそうだったり、食感がパサパサしていそうなイメージだったり、味に慣れずにすぐに飽きてしまいそうという人も多いはず。
管理栄養士の筆者が、玄米食初心者でも挑戦しやすいような玄米の食べ方&炊き方を紹介します。
まずは玄米を炊く下準備として、玄米の研ぎ方と水に浸す時間がポイントです。玄米は白米と違って硬いため、研ぎ方も白米よりもしっかり目に行いましょう。水の濁りがなくなるまで研ぐことで、美味しく炊けます。
浸水時間も白米よりグンと長めに取ることが大切です。半日以上水に浸すことがポイントですが、暑い日は冷蔵庫の中やなるべく涼しい日陰で浸水してください。
また、塩を1合につき1つまみ入れて炊くことで、より玄米の皮がはじけやすくなり柔らかく炊くことができます。また、玄米独特の雑味も和らげる働きもします。
もちろん、玄米独特の食感と味が好きな方は塩を入れなくても良いです。
①圧力鍋で炊く
玄米は圧力鍋で炊くことで、皮が破れやすく食べやすい触感に仕上がります。また、浸水時間も短めでも食べやすい玄米となります。
炊き方は、圧力鍋に研いだ玄米と分量の水(玄米1合に対して250ml)を入れ、30分~1時間浸水させます。塩を1合につき一つまみ入れ、強火にかけて圧力を掛けます。圧が完全にかかったら弱火にして20分加圧し、火を止め15分ほど蒸らせば完成。
多めに炊き、温かいうちにラップで包んで冷めてから冷凍することで、美味しい玄米をいつでも食べることができます。
②炊飯器の玄米モードで炊く
炊飯器を持っている人は、あらかじめ備わっているモードを確認してみてください。「玄米モード」という炊飯コースがあれば、玄米をセットした後「玄米モード」で炊けば簡単に美味しく玄米を炊くことができます。圧力鍋よりもずっと簡単ですね。
炊飯器で炊く場合も、お好みで塩を入れてみてください。
③玄米を白米にブレンドして食べやすく!
いきなり玄米100%のご飯に挑戦するにはハードルが高いため、まずは白米に何割か混ぜて食べてみることをおすすめします。まずは1割からスタートし、少しずつ割合を増やしていくと玄米の味や食感に慣れることができますよ。
ただし、ブレンドする場合は浸水までは白米と玄米をそれぞれ分けて行います。塩もお好みで入れてみてください。
④ぶづき米を選ぶ
米は精米割合を選べる「ぶづき米」というものもあります。主に、3分づき、5分づき、7分づきが選べるようになっていますが、玄米から白米に近づくにつれて分づきの割合が増えていきます。3分づきの方が玄米に近く、皮も硬めですが玄米特有の栄養素が多く残っていることになります。
初めてぶづき米を食べる際には7分づきから始め、だんだん玄米に近づかせていくと食べやすいですよ。ぶづき米も白米とブレンドすることでより食べやすくなります。
浸水時間は玄米程要らないものの、3分づきで5時間程度、5分づきで3時間、7分づきで2時間は浸水しておくと食べやすいです。
炊くときの水の分量は精米度合いが低いもの(3分づき)の方が多めになります。3分づきで米の乾燥重量の1.2~1.5倍の量の水を入れて炊きましょう。
⑤品種や栽培方法を選ぶ
品種によって、炊いたときの味や食感が違います。
玄米はどうしても白米よりパサついてしまうのですが、モチモチとした食感を少しでも多く求める場合は北海道米であれば「ゆめぴりか」や「あやひめ」という品種がおすすめです。
また、玄米は白米では食べない米の外側も一緒に食べる事になるため、農薬の使用量も気になるもの。減農薬栽培や農薬不使用の玄米を選ぶとより安心・安全です。
まとめ
玄米と白米のカロリーや栄養価の違いから、玄米の美味しい食べ方、選び方を紹介しました。
今まで白米しか食べたことが無い人は、玄米食に挑戦するにあたっては少しずつ玄米の割合や分づきの度数を変えていくことがおすすめです。また、無理のないようにたまには白米を食べたり、外食では白米を選ぶようにすると良いですよ。