【キャベツ】を食べよう!栄養と効能、胃腸に優しい成分「キャベジン」を含む野菜。捨てがちな芯やケールなど近縁種の特徴について

北海道食材の豆知識
Ayaka Izawa

Ayaka Izawa

フリーランスで管理栄養士の仕事をしながら、北海道栗山町の井澤農園で販売・営業を行い、地域の産品作りや食育などの地域おこし事業にも関わっています。 自称「農家フェチ」!

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甘みがあってアクがなく生で食べても美味しい「キャベツ」。季節に関係なく安定供給されていることから、自宅でも外食でも口にする機会が多く、和洋中を問わず幅広い調理法で大活躍する食材です。そんなキャベツはビタミンCやカルシウムを豊富に含み、胃腸にやさしいビタミンU(キャベジン)も含むすぐれもの野菜として知られています。今回は管理栄養士の筆者が栄養素とその働きについて詳しく解説。捨てがちな芯やケール・ブロッコリーといったキャベツの変種の栄養的な特徴についてもご紹介します。

【キャベツ】について詳しく知ろう

収穫前のキャベツ

野菜の年間購入数量ランキング1位の「キャベツ」は、日本人にとって大変身近な野菜のひとつです。北海道ではちゃんちゃん焼きや石狩鍋、ニシン漬けにも使いますし、他の都道府県でもキャベツを使用した郷土料理が多数存在します。まずはどんな野菜であるかについて詳しく知りましょう。

【キャベツ】とは

キャベツはアブラナ科アブラナ属の白菜やカブなどと同じ仲間の野菜です。原産地は西ヨーロッパの沿岸の暖かい地域です。栽培に関してはなんと紀元前2000年ごろから始まったと言われており、古代ギリシャ・ローマ時代にはすでに胃腸の調子を整える健康食品という位置づけで食べられていました。現在、主流となっている“結球”する姿のキャベツは13世紀にヨーロッパで誕生後、アメリカで品種改良され、日本へは開拓使などにより明治初期ごろに導入されました。1904年には岩手県で「南部甘藍(かんらん)」という名前で育成されるなどし、どんどん各地に定着していきました。

主な産地と旬の時期

日本列島では、キャベツは産地を移動しながら周年で栽培されています。キャベツの日本国内での生産量トップは愛知県です。続いて群馬県、千葉県と続き、北海道は全国第8位前後をキープしています。
北海道は作付け面積などは多くすることができるものの、冬季は雪で覆われるために作付けができず、なかなか生産量は増加しません。しかしながら、北海道には伝統野菜「札幌大球(さっぽろたいきゅう)」という1個が約10kgにもなる大型のキャベツがあるなど、身近な野菜ではあります。

キャベツの旬の時期は6月から10月とされ、夏に多く出回ります。しかし、旬にもいろいろあって3月から5月頃に流通する「春キャベツ」は巻きが緩くて葉も柔らかく、サラダにぴったりの美味しいキャベツです。生食するのであればこの時期のものがおすすめです。そして、北海道には収穫後に雪中貯蔵して12月から翌3月にかけて出荷する甘みが増した「越冬キャベツ」があり、道北エリアの和寒町の特産品として全国的に知られています。

バラエティに富むキャベツの仲間について

キャベツの仲間,キャベツ,カリフラワー,コールラビ,芽キャベツ,ブロッコリー

キャベツの仲間はたくさんあります。結球しない葉を食べるケール、葉腋(中心部の太い茎)に小さく結球する芽キャベツ、茎がカブのように丸く大きく成長するコールラビ、花蕾を食するブロッコリーカリフラワーなど多種多様。
これらは見た目がそれぞれ異なるものの、キャベツを食べ慣れている日本人にはどれも美味しく感じるはずです。コールラビはブロッコリーの茎のような味がして面白いですよ。
食用ではなく、花として流通する葉ボタンもキャベツの仲間です。

【キャベツ】の栄養成分とその効能

新鮮なキャベツの断面

キャベツは100gあたり23kcal、水分が92.7g、炭水化物は5.2g、葉酸が78μg、ビタミンcは41mg含みます。 ダイエットのために毎日食べているという人も少なくないであろう野菜のキャベツ。そこに含まれている栄養素には効果的な成分が入っているのでしょうか。詳しく解説します。

◆ビタミンC

キャベツ100g中にビタミンCは41mg含まれています。ビタミンCは免疫力の向上や、抗酸化パワーを発揮し細胞や栄養素の酸化を防ぐ働きを持ちます。但し、熱に弱く水に流れ出やすい栄養素であるため、生食をお勧めします。
キャベツのビタミンCは外側の葉の緑色が濃い部分に多く含まれているため、外側の葉は生のままサラダで食べ、中心部は煮物や炒め物に使うなどと使い分けができると良いですね。

◆カルシウム

キャベツは100g中に43mgのカルシウムを含みます。牛乳の約1/3ですが、キャベツは煮るとモリモリ食べられるため、野菜でカルシウムを摂取したい人はキャベツを多く食べると良いですね。 カルシウムは骨や歯の健康を保つ働きや、筋肉の収縮の際に働く栄養素です。夕食で牛乳が出る幼少期には不足は少ないのですが、大人になると不足しがちになるため、さまざまな食材から積極的に摂りましょう。

◆ビタミンU(キャベジン)

胃腸に優しい成分がこの「ビタミンU」です。厳密にいうとビタミンではなく「ビタミン用作用物質」という、ビタミンのように働く違う成分なのですが、胃粘膜修復成分として医薬品としても活躍しています。
胃もたれや胸焼けを軽減させる働きも持つため、キャベツの千切りと揚げ物の相性は栄養学的にもおすすめできます。ビタミンUはビタミンCと同様に水に溶け出やすい栄養素で熱にも弱いため、摂取したい場合は生で食べましょう。

捨てがちな「芯」にも栄養が

キャベツの芯を包丁で切る

キャベツの芯にも栄養素が含まれており、ビタミン類が多く含まれています。結球している葉の約2倍のカリウムとカルシウムが含まれているという研究結果が出ているほどです。

その味には甘みがあるため汁物や味噌汁に入れて柔らかく煮て食べると良いですよ。「そう言われても芯を食べることに抵抗がある・・・」という人は、細かく切ってキーマカレーやミートソースに入れてみてはいかがでしょうか。

キャベツの“仲間”の特筆すべき栄養

先ほど述べたように、キャベツには仲間達がたくさんいます。それぞれの栄養的な特徴をチェックしてみましょう。

《ケール》

ケール

ケールは青汁に必ずと言っていいほど含まれている野菜です。古くから存在する野菜で、キャベツの原種と言われています。ビタミンCとβカロテン、カルシウムが豊富な野菜です。若干苦味があり、葉がゴワゴワしているため生で食べにくいイメージがありますね。

《芽キャベツ》

芽キャベツ

キャベツ類の中ではビタミンCが最も多いのが芽キャベツです。ビタミンCと並んで葉酸も多いので女性におすすめの野菜と言えます。
芽キャベツは歯の付け根にできる脇芽を食べる野菜です。一口サイズで食べやすく、調理もしやすいため、和洋中を問わずさまざまな料理に使用されます。ほろ苦さもアクセントです。

《ブロッコリー》

ブロッコリー

ブロッコリーはキャベツと姿形が違いますが、キャベツの野生種から生まれた雑種を品種改良した野菜です。βカロテンや強い抗酸化力を持つスルフォラファンという栄養成分を持つ健康野菜です。ブロッコリーは北海道で広く栽培されており、収穫量もトップです。

《カリフラワー》

カリフラワー

カリフラワーはブロッコリーの突然変異種です。ブロッコリーよりも先に日本に伝来したため、西洋野菜の代表格として年配の方に好まれることが多い野菜です。カリフラワーの仲間の「ロマネスコ」をご存知でしょうか。螺旋状の円錐型の花蕾が美しく、味も美味!ぜひ一度召し上がっていただきたい野菜です。

《紫キャベツ》

紫キャベツ

紫キャベツの鮮やかな色味はアントシアニンというポリフェノールによるものです。苦味が強めのキャベツですが、サラダや酢の物にするとアクセントとなり美味しいですよ。加熱すると色が褪色してしまうので生色、または酢を使った料理に使いましょう。

キャベツの栄養を効果的に摂取できるおすすめの食べ方

キャベツは生でも加熱しても美味しい野菜ですが、栄養素を無駄なく摂取することを考えるのであれば、熱に弱い栄養素のことを考えて生食することをお勧めします。但し、他の食べ方も少し気をつければより効率的な栄養摂取へつながりますよ。参考にしてみてください。

①生食

野菜に含まれるビタミン類は熱や光に弱いことが多いです。また、ビタミンCは水溶性のビタミンなので、切ったキャベツを水さらしするとせっかくの栄養素が流れ出てしまうことに。
キャベツはなるべくそのまま生食することでビタミン類の損失を防ぐことができます。

②煮汁ごと

キャベツは生食すると量が食べられない為、なるべく野菜をたくさん摂取したい!というときには煮込み料理にすることをお勧めします。煮込むと煮汁に栄養素が流れ出るため、食べるときには煮汁ごといただきましょう。煮込み料理にすると、肉類や魚類などのタンパク質と一緒に調理し食べることもできるため、結果的にバランスの良い食事になります。

③芯ごと

キャベツを食べるのであれば、芯は捨てずに食べるようにしましょう!先述したように、キャベツは芯にも栄養素がしっかり含まれています。新鮮なキャベツの芯であれば、スティック野菜のように棒状に切って食べても美味しいですよ。

とんかつとキャベツの千切りは理にかなっている

とんかつとキャベツの千切り

キャベツの一番好きな食べ方を聞くと「千切りキャベツ」と答える人もいるくらい、メジャーで美味しい食べ方ですよね。キャベツの千切りといえば、よく「とんかつ」などの揚げ物の横に添えてあることが多いと思いますが、キャベツと揚げ物のコンビネーションは栄養学的に理にかなっている組み合わせです。先述したビタミンUが胃もたれや胸焼けを軽減させる働きも持つため、揚げ物を食べても胃への負担を減らすことができます。また、キャベツに含まれる食物繊維は脂の吸収も抑えてくれるため、ヘルシーに揚げ物を楽しむことができるというわけです。

春キャベツと冬キャベツの特徴

春キャベツと冬キャベツ

キャベツは日本列島の中で年中収穫できる野菜だとお伝えしましたが、品種や見た目・味の特徴は季節によって変わります。春に収穫できる「春キャベツ」と冬に収穫できる「冬キャベツ」は食べ比べると全く違いますよ!それぞれの特徴を紹介します。

《春キャベツ》

春キャベツはキャベツの葉の「巻き」が緩くて葉の枚数も少なめになります。内部まで黄緑色をしている為ビタミン類は冬キャベツよりも多そうです。瑞々しくて軟らかいため、付け合わせやサラダに向いています。

《冬キャベツ》

11月〜3月に収穫できる冬キャベツは「寒玉キャベツ」とも呼ばれます。葉がしっかりとしまっており、甘みが強いキャベツです。煮物にしても煮崩れせず、甘みが出ることから煮込み料理などに向いていますよ。

美味しいキャベツの選び方

キャベツを選ぶ女性

スーパーで1玉丸ごとのキャベツを購入する際はヒビが入っていないかよく見ましょう。キャベツは結球して葉がかたく締まると収穫を迎えます。この収穫に適した時期を過ぎると割れてしまう野菜です。割れるとそこから水分が逃げてしまい鮮度が落ちやすくなってしまうため、ひび割れていないキャベツを選ぶようにしましょう。

たまに冬キャベツの表面の葉が紫色みがかかっているものがあります。これは寒さに当たったことで起きるキャベツの生理現象です。味には関係なく、加熱すると色が抜けるため気にしなくて大丈夫です。

キャベツの保存方法

キャベツを丸ごと購入すると鮮度が良いまま食べ切れるか不安を覚える方もいるかもしれませんが、比較的貯蔵性の高い野菜なのでご安心を。夏以外の涼しい時期であれば、丸のまま新聞紙にくるんで芯を下にし、冷暗所に貯蔵することで10日ほど持ちます。芯に3本三角形になるように爪楊枝を刺したり、芯をくり抜いて濡れたキッチンペーパーを詰める方法もありますが、そんなに労力をかけなくても日持ちします。どうしても食べきれないという時は、食べやすい大きさにカットしてラップに包んで冷凍保存すると2週間ほど美味しく召し上がれます。凍ったまま汁物や炒め物に使うと良いですよ。

カットすると切り口から傷んでくるため、ポリ袋などに入れて野菜室で保存しましょう。カットキャベツは消費期限内に食べ切ることを心がけましょう。

まとめ

日本人の食卓には欠かせない野菜「キャベツ」の栄養やブロッコリーなど近縁種についてもご紹介しました。北海道ではちゃんちゃん焼きやニシン漬けといった郷土料理でたっぷり使われたり、「札幌大球」という巨大キャベツを使った漬物は冬の貴重なビタミン源になったりしてきました。野菜類の中ではサイズが大きく価格も手頃、日持ちもよいため購入頻度は多めですよね。キャベジンやビタミンC、そしてカルシウムなど含まれる栄養素とその働きを知ったことで、日々の食事にもっとキャベツを取り入れたくなったのではないでしょうか。みなさん、モリモリ食べましょう!

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