【エビ】を食べよう!栄養とその効能。甘みの秘密や殻まで食べるメリット、北海道で獲れる種類についてご紹介

北海道食材の豆知識
Ayaka Izawa

Ayaka Izawa

フリーランスで管理栄養士の仕事をしながら、北海道栗山町の井澤農園で販売・営業を行い、地域の産品作りや食育などの地域おこし事業にも関わっています。 自称「農家フェチ」!

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寿司や天ぷら、フライにチャーハン、アヒージョ、グラタン・・・、和洋中いろんな料理で楽しめる人気の魚介類「エビ」。プリッとした食感と美味しさだけでなく、その身は高タンパク・低脂質であり、殻には近年注目のアスタキサンチンを含みます。子供から大人までみんな大好きなこの食材について、管理栄養士の筆者が栄養とその効能を詳しく解説。部位ごとの特徴や甘さの秘密、殻まで食べるメリットや北海道でよく獲れるエビについてもご紹介します。

【エビ】について詳しく知ろう

殻をむくのはちょっと面倒ですが、身自体は軟らかくてほんのり甘みがあってとにかく美味しいエビ。まずはどんな魚介類か詳しく知っていきましょう。

エビは世界中で食べられている魚介類。何種類ある?

世界のエビには、クルマエビのように「泳ぐ種類」と、イセエビのように「歩く種類」があります。それらを合わせると2500ほどの種が存在するといわれていますが、日本で食用とされているのは20種ほど。世界は広いですね。エビは鮮度が命の食材であるため、漁獲される地域でしか出回らない希少な種類もあります。

北海道の代表的なエビ①「ホッコクアカエビ」

ホッコクアカエビ,甘海老,南蛮エビ

深い海域で漁獲されるのがこのホッコクアカエビです。市場やスーパー、お寿司屋さんでは「甘エビ」や「ナンバンエビ」と呼ばれています。ホッコクアカエビ、と言われるとピンと来ないかもしれませんが、甘エビと聞けば身近に感じますね。

ホッコクアカエビはエビの甘味成分であるグリシンがクルマエビやテナガエビよりも多く含まれています。新鮮すぎると甘みは薄く感じますが、やや時間がたつと殻の透明感が薄くなるとともに甘みを増していきます。そんなホッコクアカエビは刺身が一番!加熱すると甘さを感じにくくなり、歯ごたえもないため物足りなくなってしまいます。頭はみそ汁の具に適しています。

北海道の代表的なエビ②「トヤマエビ」

トヤマエビ,ボタンエビ

トヤマエビは水深100~400mの層で漁獲されるエビです。通常は「ボタンエビ」と呼ばれますがボタンエビとは違う種類のエビです。外見が良く似ており、ボタンエビもトヤマエビも生食に向いている美味しいエビであるため、市場でも区別されることはまずないそうです。頭に角のような「額角」をもち、体長は17cmほどと大きめのエビです。

トヤマエビは刺身やすしネタのほか、てんぷらや塩焼きにもおすすめです。ホッコクアカエビと同様に、加熱すると甘みが感じられなくなってしまうため生で食べた方がトヤマエビの良さを感じられます。

北海道の代表的なエビ③「ホッカイエビ」

ホッカイエビ,北海シマエビ

ホッカイエビ「ホッカイ(北海)シマエビ」という名前で広く知られ、体長13cmにもなる中型のエビです。生きているときには緑褐色の地肌の黄色か白の縦縞が入っており、茹でると鮮やかな赤に白っぽい縞模様が見えます。北海道では主に太平洋とオホーツク海に生息していますが、漁獲量は産地が限られているため年間100~200トン程度です。

ホッカイエビは生で食べるよりも塩ゆでにしたほうがうまみが増し、よりおいしく食べられます。

エビが赤くなる理由

茹でた海老

エビは加熱すると殻が赤くなりますが、生の状態では緑色や紫、茶褐色などの地味な色をしています。地味な色は海中で天敵から身を守るために大いに役立ちます。

なぜゆでると赤く変化するのかというと、サーモンの色と同じ色素の「アスタキサンチン」が作用しているからです。生のエビの色はアスタキサンチンとタンパク質が結合している物質の色なのですが、加熱することでタンパク質の性質が変わり、アスタキサンチンとばらばらになることでアスタキサンチン本来の赤が出現するのです。

もともとエビは赤い身を持っているのですが、身を守るためにタンパク質を使って暗い色をしているという考え方がしっくりきますね。

エビの甘さの秘密

甘海老の刺身

生のエビの身はねっとりとした甘みが最高!甘エビは名前の通り、濃厚な甘みが特徴ですよね。しかし、獲れたての甘エビは身がプリッとし過ぎていて甘みは少ないのです。エビは獲れたてすぐよりも、半日~1日経過してからの方が甘みを感じるようになっています。

甘エビが甘くなる理由は、時間が経ち身のたんぱく質が適度に分解された結果、トロっと軟らかくなることで甘味成分が舌に感じやすく残りやすくなるためです。 また、エビの甘みは冬の方が甘く感じるという人がいます。理由としては、冬のエビの方がより甘みを感じるアミノ酸を多く含んでいるから。季節による味の違いも楽しんでみるのも良いですよ。

エビから美味しい出汁が出る理由

エビのスープ

エビには旨味を感じるアミノ酸であるグルタミン酸・イノシン酸・アスパラギン酸が含まれています。旨味成分は1種類だけで味わうよりも、複数が混ざり合うことでより美味しく感じることができます。これを旨味の「相乗効果」と呼びます。 エビは1つの素材の中に何種類もの旨味成分を持つことから、美味しい出汁が出る素材であると言えます。

【エビ】が含む栄養素とその効能について

新鮮なむき海老

生の甘エビのカロリーは100gあたり98kcal。タンパク質を19.8g、脂質を1.5g、炭水化物を0.1g含みます。ほかの種類のエビも、だいたいが80~100kcalの間で低脂質・高たんぱく!その他の栄養素はカルシウムを50㎎前後、亜鉛や銅、ビタミンEもそこそこ含んでいます。特筆すべきはアスタキサンチン。色素であるだけでなく、体にうれしい働きをたくさん持っています。それではエビに含まれる栄養素の詳しい働きを見てみましょう。

◆アスタキサンチン

エビの殻の赤さはエサのプランクトンの色素が由来となっています。

その色素であるアスタキサンチンには強力な抗酸化作用があり、細胞の劣化を防ぐ役割があります。抗酸化物質と言えば、ビタミンEやビタミンCも抗酸化作用があるのですが、アスタキサンチンは他の抗酸化物質にはない、「脳にまで届く」抗酸化作用を持ちます。そのため、脳の老化防止や脳血栓・脳梗塞を予防できる抗酸化物質です。アスタキサンチンの強い抗酸化作用はビタミンEの何千倍ともいわれています。
また、アスタキサンチンはビタミンCと一緒に摂取することで、再利用できるという持続型の栄養素です。

エビはアスタキサンチンの大部分を「殻」に含んでいます。トヤマエビの殻は硬くて食べることは難しいかもしれませんが、甘エビの殻は食べられますよ!乾燥させてオーブンやフライパンで乾煎りした後、ミルサー(ミキサーとは別の粉末化させる機械)で粉末状にすることで、天然のふりかけやだしの素として汁物に使えます。

◆キチン質

聞き慣れない言葉だと思いますが、エビには「キチン質」なる成分が含まれています。殻に含まれる硬い性質を持つ物質なのですが、キチン質は血圧の上昇を抑えたり、コレステロール値を正常値に近づける働きを持ちます。
また、消化されない物質なため、食物繊維のように腸内をきれいに保つ働きもありますよ。

アスタキサンチンと同様に、エビの殻を捨てずに食べることで摂取することができます。

◆タウリン

エビは100g中にタウリンを150㎎含みます(トヤマエビの場合)。タウリンは滋養強壮や疲労回復を速める栄養素です。その効果は栄養ドリンクにも配合されているほど。主な役割としては血液中のコレステロールや中性脂肪を減らすこと、血圧を正しく保ち高い血圧を下げること、肝臓の解毒能力を高めることなどが挙げられます。他にもインスリン分泌を促進し糖尿病の予防や治療にも良い点や、視力の衰えを防ぐ点も重要な役割と言えます。

タウリンは、人間の体内でも微量ではありますが作り出すことができる栄養素です。人間には体重のうち0.1%がタウリンの重量であるといわれるほど。心臓や肝臓、脳、筋肉、骨髄などの様々な臓器や組織に分布しており、生命活動に重要な役割をしています。

タウリンは魚介類に多く含まれていますが、水分と一緒に流れ出ていく性質があるので加熱する際は汁までいただきましょう。

◆タンパク質

エビはタンパク質を多く含む食材です。タンパク質は筋肉や体の組織、爪や髪の毛を構成する栄養素です。また、1g4kcalの熱量を持ち、体を動かすエネルギーにもなります。タンパク質が不足するとむくみや筋肉量の低下などが起こります。
魚介類のタンパク質は肉と比べると消化しやすいことが特徴なため、胃もたれをする人や運動前のタンパクチャージにも最適ですよ。

◆亜鉛

生の甘エビには100g中1㎎の亜鉛が含まれています。ほかの種類のエビにも1.5㎎前後の亜鉛が含まれます。肉類に比べるとそれほど多いという訳ではありませんが、肉に比べてエビであれば食欲が無い時にもつるんと食べやすいですね。

亜鉛は細胞の再合成や抗ストレス、免疫力アップに関わる栄養素です。細胞のターンオーバーをスムーズにすることから、味覚を正常に保つ働きや傷の治りを早くする働きもあります。

部位ごとの比較

エビに含まれている栄養素とその働きについてお伝えしました。次は身、殻、エビみそ、卵など部位ごとの栄養価の特徴や食べ方についてお伝えします。

①身

エビのボイル,茹でエビ

エビの「身」にはタンパク質が多く含まれています。エビは種類によって食感が変わるため、刺身などの生食用のエビと、加熱用のエビとで調理方法を分けましょう。 甘エビやボタンエビは、シバエビやクルマエビ、ブラックタイガーは加熱して食べます。

②殻

エビの殻

エビの「殻」にはアスタキサンチンとキチン類が多く含まれています。

生で食べることは難しいですが、オーブンを使ってカラカラになるまで低温で焼き上げると、ミルサーやすり鉢で粉々にしやすくなります。粉々にした後はふりかけやエビ出汁を出すために使用すると殻も食べやすくなります。加熱してから粉々にすることで、香ばしさも楽しめます。

③エビみそ

縦半分に割って焼いたエビ

エビの頭部に茶色っぽい「エビみそ」と呼ばれるペースト状の濃厚な可食部があります。これはエビの脳みそです。刺身用のエビの殻をむいたときに吸い出すと美味しいですよ。生で食べられますが、みそ汁などに入れるとコクが出ます。タウリンも多く含まれています。

ただし、新鮮なエビでなければ美味しくないので要注意!黒く変色している場合は食べるのをあきらめましょう。

③卵

甘海老の刺身と甘エビの卵

エビの「卵」は透明な薄青色をしていてとてもキレイ。もちろん食材として食べることもできます。

プチプチとした食感が楽しいですが、味はそれほど感じられません。加熱すると色が濁るため生で食べないときは捨ててしまっても良いです。こちらも新鮮でなければ美味しくありませんよ。

エビは「殻」まで食べる。そのメリットは?

エビのグリル

エビは殻に「アスタキサンチン」「キチン質」などの特有の栄養素を持っています。これらは先述したように、強い抗酸化作用を持っていたり、体内で食物繊維の代わりとなって腸を調える働きを持ちます。どちらも体にうれしい働き!エビの殻を捨ててしまうとせっかくの健康効果を持つ栄養素を摂取できずに終わってしまいます。そして、エビは「腰が曲がるまで長生きできますように」という願いを込めて縁起物として食べられてきました。健康のため、長寿のためにエビを食べるのであれば、殻まで召し上がっていただきたいです。

殻にはカルシウムが含まれているって本当?

たまに「エビの殻にはカルシウムが含まれている」という情報を耳にすることがあるかもしれません。しかし、先述したように甘エビやボタンエビの殻は「キチン質」という非常に硬い物質でできているため、カルシウムが殻に含まれていても体内で吸収するまでに至らないことが多いです。

今回スポットライトを当てていない干しエビサクラエビといった小さな個体の殻は消化しやすく、殻の割合も多いためカルシウムが豊富です。サクラエビの素干しの場合は100ℊで2000㎎、干しエビの場合は100ℊで7100㎎ものカルシウムを摂取できますよ。エビでカルシウム摂取を望む場合は小さなエビを選んだほうが無難ですが、生のエビの身からも100ℊあたり50㎎前後のカルシウムを摂取することができます。

似ている魚介類との栄養素の比較

魚介類,海鮮鍋

エビ(甘エビ)と、同じく甲殻類のカニ(タラバガニ)、ホタテ(貝柱)、イカ(するめいか)、タコとの栄養素の比較をしてみましょう。

どの食材も高タンパクではありますが、甘エビが100ℊ中19.8ℊとトップ。一番低いタラバガニは13ℊです。脂質も甘エビがトップで1.5ℊです。炭水化物はホタテ(貝柱)のみ3.5ℊとこれでも少ないと言えますが、ほかの魚介類は0.1~0.2ℊです。

カロリーは甘えびが100ℊで98kcalで一番高く、タラバガニの64kcalが最低です。 ほかの栄養素で素材ごとのトップを並べてみると、塩分と亜鉛はカニ、カルシウムはカニとエビが同じくらい、鉄はタコが一番多く含んでいます。

栄養素を効率よく取り入れるおすすめの調理法

エビに含まれている栄養素が良くわかりましたね。その栄養を効率よく摂取するためには、新鮮なエビの場合はなるべく生食することがおすすめです。エビに含まれている栄養素の中には水に溶けやすい性質を持つ水溶性油脂類に溶けやすい脂溶性の両方の栄養素があります。また、熱や光に弱い栄養素も含まれているため、生で食べられるのであれば生で食べることが一番です。

殻やエビみそにも栄養素が含まれています。これらも乾燥させてふりかけにしたり、素揚げして唐揚げにすると食べやすいですよ。

エビを食べる際に注意しておきたい点

エビを食べる

エビには身だけでなく、エビみそや殻にも栄養素がたっぷり含まれていることがわかりましたね。しかし、美味しいエビでも食べる際に注意すべきことがあります。もしかするとエビを食べることで命を落としてしまう人もいるかも…エビを勧める際はアレルギーが無いか注意しましょう。

◆甲殻類アレルギー

甲殻類アレルギーは数ある食物アレルギーの中でも程度が悪いアレルギーです。エビやカニを食べることで蕁麻疹やかゆみのほか、呼吸困難や嘔吐などのさまざまな症状が引き起こされます。「アナフィラキシーショック」という意識レベルの低下や血圧の急低下、場合によっては命の危険もあるアレルギー症状が出る場合もあるほど。

エビ料理を出す際やエビ専門店でご飯を食べる際には、一緒に食べる人たちに甲殻類アレルギーが無いかを事前に調べると安心です。

ただし、エビにアレルギーのある人は半数以上がカニにもアレルギーを持っていますが、エビにアレルギーがあるからカニは必ずしも食べられないというわけではありません。

◆妊婦や子供の場合

妊婦の場合はエビを食べることで何か悪影響があるということはありませんが、食中毒にならないように新鮮なエビを選ぶようにしましょう。

子どもの場合はアレルギーが万が一あったときの症状が強いことからエビを与えていない家庭もあるかもしれません。また、ナマモノ自体を3歳以降や5歳以降と考えている家庭もあります。生のエビを勧める場合は保護者の判断を優先させましょう。

◆コレステロールとプリン体について

コレステロールは様々な食品(特に動物性食品)に多く含まれています。エビにも含まれていますが、エビに含まれている程度の量で血中コレステロール値に影響はないと考えても良いでしょう。エビにはタウリンも含まれており、タウリンは血中コレステロール値を正常値に近づける働きを持ちます。 エビが含むプリン体の量は種類にもよりますが100ℊ中に150㎎~250㎎と少し多め。どんぶりいっぱいにエビだけを大量に食べない限り、プリン体を気にする人も楽しめる食材と言えます。

北海道のエビを食べよう!

道産子管理栄養士がエビの種類から、栄養価や食べる時に注意する点もお伝えしました。
筆者は甘えびを食べる時には殻や頭を残しておいて、オーブンの低温でカラカラになるまで焼き、ミルサーで粉々にして自家製のエビふりかけを作ります。丸ごと食べられて食材の無駄がない上、シーフードカレーや海鮮系のラーメンの出汁として使うとランクアップするのでおすすめです!

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