北海道のおすすめチーズブランド10工房と美味しいチーズ20種類をご紹介!

北海道食材の豆知識
Ayaka Izawa

Ayaka Izawa

フリーランスで管理栄養士の仕事をしながら、北海道栗山町の井澤農園で販売・営業を行い、地域の産品作りや食育などの地域おこし事業にも関わっています。 自称「農家フェチ」!

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北海道には100以上のチーズ工房があります。ヨーロッパの本場で修行を重ねた生産者がいたり、牧場を経営して乳牛を育て、新鮮な生乳を使う工房があったり。各地で作られるたくさんの種類の中には世界的なコンテストで入賞した、いわゆる「本場のお墨付き」チーズもありますよ。
今回は北海道の数あるチーズ工房の中からおすすめの工房とそのチーズを紹介します。

◆さらべつチーズ工房

さらべつチーズ工房(北海道河西郡更別村字更別北1-95)はJR帯広駅から車で約50分、十勝帯広空港から車で15分の更別村にあるチーズ工房です。人口3000人余りの村で、広大な日高山脈が一望できる十勝平野の真ん中に位置します。もともとは大根農家だった創業者、野矢敏章さんが2006年ごろ「自分でこんなおいしいものが作れるとは」と村で開催されたチーズ講習会で感化されたことからチーズ作りの道が始まりました。今では息子の譲司さんが二代目となり、チーズ作りを続けています。

《酪佳(らくか)》

  • さらべつチーズ工房の「酪佳(らくか)」、ゴーダチーズとワイン

『酪佳(らくか)』はじっくり12ヶ月以上熟成させたゴーダチーズで、鰹節のようなダイレクトな旨味を感じられます。クセは無く、ねっとり濃厚な口当たりと、ハードタイプらしい旨味が特徴。塩分は100gあたり2.13g。舌に感じる塩分も旨味と相まって強く感じるため、少量ずつを切り分けてお酒と合わせて食べたり、すりおろしてパスタやリゾットと絡める食べ方がおすすめです。長期熟成チーズが好きな人はきっと気に入るはず。とても美味しいですよ。

《きまぐれブルー》

  • さらべつチーズ工房の「きまぐれブルー」チーズとワインとくるみ

『きまぐれブルー』という面白い名前とチーズに入りこんだ青カビの美しさが特徴的。ブルーチーズに使われる青かび菌は工房によって準備方法が様々あります。培養された青かび菌を購入することもありますが、さらべつチーズ工房の『きまぐれブルー』に使用している青かびは、乳・卵不使用のパンで自家培養したものだそうです。チーズに使うミルクも、カビも工房の近郊で用意できてしまう、まさしく風土の味のブルーチーズと言えます。
ねっとりとまろやかに舌にまとわりつく食感で、においは控えめ。舌にほんの少しだけピリッとする独特の刺激がありますが、その刺激が後を引いてブルーチーズ好きにはたまらないうまさ!バターの代わりにパンに少量付けて食べたり、クラッカーに乗せてスパークリングワインや白ワインと共にいただきましょう♪

北海道のチーズやワインによく合うクラッカーNOKKE

◆共働学舎新得農場

共働学舎新得農場(北海道上川郡新得町字新得9番地1)は主に酪農や乳製品の生産、野菜や米、蕎麦を育てる農場です。搾乳した新鮮なミルクは機械を使わずに高低差を利用した自然流下で工房まで運ぶほか、半地下の熟成庫は保湿性が高くて結露しにくい札幌軟石を採用しています。このようにして自然に寄り添った環境で作られたチーズはヨーロッパや国内外の大会で数々の賞を受賞しており、共働学舎新得農場は昨今ではチーズの生産で有名になっています。アイデアだけでなく、技術も一級なため共働学舎新得農場から独立したチーズ職人も多く居ます。

《さくら》

  • 共働学舎新得農場のチーズ「桜」とほうじ茶

『さくら』は酵母熟成したソフトタイプのチーズで、上には桜の塩漬けがちょこんと乗り、下には桜の葉の塩漬けが敷かれています。ほのかな酸味と優しい甘味に桜の香りがふわっとただよう、春にピッタリの味わいです。ワインとの相性も抜群ですし、ハチミツやジャムを添えて和菓子のように楽しむのもおすすめ。緑茶にもよく合いますよ。

◆ニセコチーズ工房

「ニセコチーズ工房」(北海道虻田郡ニセコ町字近藤425番地6)は2005年からチーズを作り続ける工房です。チーズ作りにあこがれた先代の近藤孝志さんが「食のものづくりをしたい」という思いを持ち、フランスで修業をした後に北海道ニセコ町で工房をオープンさせました。現在は息子の裕志さんが後を継ぎ、日本のみならず世界のチーズ品評会でも多くの賞を獲得するほどのチーズ職人となっています。国内外のチーズ専門家からお墨付きを受けている工房です。

《雪花(sekka)パパイヤ&パイナップル》

  • ニセコチーズ工房の雪花,チーズと日本酒

スイーツチーズの先駆けとして知られる「ニセコチーズ工房」さんの大人気商品『雪花 (sekka)パパイヤ&パイナップル』。キラキラしたドライフルーツ(ラム酒漬けのパイナップルとパパイヤ)をまとったまるで宝石のようなチーズです。クリームチーズの濃厚なミルクの風味と酸味に南国フルーツのトロピカルな甘さが合わさり、まるでレアチーズケーキのような味で食べ過ぎ必至!びっくりするほど美味しくて、一人でぺろっといけちゃいます!

《二世古 粉雪【konayuki】スパイス×ミックスフルーツ

  • ニセコチーズ工房のデザートチーズ「粉雪(konayuki)スパイス×フルーツ」とワイン

『二世古 粉雪【konayuki】スパイス×ミックスフルーツ』は酵母で発酵したチーズ。ニセコに降る「パウダースノー」とチーズの周りに生える酵母のイメージを重ねて付けられた名前です。チーズそのままのタイプと、フルーツや洋酒と組み合わせたタイプ(2種類)があり、こちらは「スパイス×ミックスフルーツ」バージョン。
レーズン、クランベリー、りんご、オレンジ、パイナップル、レモンの6種のフルーツとシナモン、アニス、カルダモンという3種のスパイスが使われています。
まろやかでほのかな酸味を感じるチーズに、ドライフルーツの甘さと洋酒の香りが合わさった大人のチーズケーキ!ホットワインのような風味を思い出させる味わいで、大変美味です。ワインのほか、紅茶にもよく合いますよ。

《二世古 空【ku:】》

  • ニセコチーズ工房のブルーチーズ「二世古 空【Ku:】」

『二世古 空【ku:】』は2016年JAPAN CHEESE AWARDにて最優秀部門賞、金賞を獲得したブルーチーズです。青カビチーズの独特の風味は控え目ながら、濃厚な旨味と優しい香りが特徴。ひとくち目に鰹節や鮭節を思わせるような濃厚でダイレクトな旨味を感じることができますよ。苦みも穏やかで、外国産のブルーチーズにある「ピリッ」とした舌への刺激もありません。
そのまま食べてゆっくり口の中でブルーチーズの風味を味わうほか、食べやすい大きさに切ってはちみつをかけて食べると病みつきになる美味しさです。

◆しあわせチーズ工房

しあわせチーズ工房(北海道足寄郡足寄町茂喜登牛141-4)は北海道十勝管内の酪農や畑作が盛んな土地である足寄町にあります。チーズ職人の本間さんは高校生のころから職人になることを目指し、地元長野県の農業大学校を卒業後に北海道へ移住し、牧場へ出向いてはチーズを作りながら道内を旅していたそうです。数ある牧場の中、足寄町で出会った「ありがとう牧場」の吉川さんの酪農の姿勢に共感し、2013年に同地で工房をオープンさせました。たくさんの人に「ありがとう」と「しあわせを」をコンセプトに作るチーズは、優しくマイルドな風味が特徴です。
搾りたての温かい生乳を昔ながらの銅釜で製造し、半地下の熟成庫で保管したチーズはまさに風土の味。一口食べればその原料を育む生産者の思いを引き継いで作る、こだわりの詰まったチーズであることを感じられるはずです。

《幸(sachi)》

北海道のナチュラルチーズに挑戦してみたい方に、最初の一品としておすすめしたいのがこちら。『幸(sachi)』は、初心者から愛好家、小さな子供からお年寄りまでその美味しさに感動するのではないかと思えるチーズです。Japan Cheese Awards 2020でグランプリを受賞しています。
同じ足寄町にある「ありがとう牧場」の生乳から作る長期熟成タイプで、牛を完全放牧できる5〜11月の期間に搾った生乳のみを使うというこだわりよう。優しいけれど舌に響く旨味とミルクの甘味、キャラメルの様な香ばしさが特徴です。塩味がマイルドで、そのままパクパク食べられます。薄くスライスしたり、少し厚めの拍子木切りや角切りにして味わうのもおすすめです♪

《茂喜登牛(もきとうし)》

  • しあわせチーズ工房のウォッシュタイプチーズ「茂喜登牛(もきとうし)」とドライフルーツとパン

『茂喜登牛(もきとうし)』はチーズの側面にエゾ松の皮をまとわせ、塩水で洗いながら熟成させたウォッシュタイプのチーズです。もっちりとろ~んとした柔らかさと優しいミルクの甘味に、ほのかに香るエゾ松の香りが特徴。
そのまま食べても美味しいのですが、グラタンのチーズに使ってみたり、塩気のあるベーコンや厚切りハムのステーキの上に乗せて余熱で溶かして食べるのもおすすめ。ミルキーな味わいがたまりませんよ。他のウォッシュタイプのチーズと比べても香りがマイルドですので、一度食べたら好きになると思います。

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◆冨田ファーム

冨田ファーム(北海道紋別郡興部町字宇津99-8)は80ヘクタール(東京ドーム約17個分)の広大な大地に約180頭の牛を飼い、毎日約2000ℓの牛乳を生産する大きな牧場です。牧場では化学肥料を一切使用せず、牛が出す糞尿も堆肥に変えてまた牧草地に戻すという「循環農法」を行っています。牛乳には安心、安全の証である「有機JAS」の認証も取得しています。
放牧も行いますが、牛舎もあります。牛がつながれている牛舎ではなく「フリーストールパーラー」という牛たちが自由に行き来できる構造になっています。そんな環境の中でストレスが少なく育った牛から搾るミルクで作るチーズは素材の味が活きています。チーズは数々のコンテストで入賞経験があるため、食べる前から期待できますよ。

《ジャパンブルーおこっぺ》

  • 冨田ファームのブルーチーズ「ジャパンブルーおこっぺ」

『ジャパンブルーおこっぺ』は味も見た目もインパクト大のチーズです。ブルーチーズと言えば白っぽいチーズに青緑色のカビがまばらに入っているイメージだと思いますが、『ジャパンブルーおこっぺ』はオレンジ色をしています。この色の理由は「ミモレット」にも使われる色素が入っているから。ナッツのようなマイルドなコクとミルクの風味がとても豊かで、色と風味が相重なり「ウニ」を思わせるような濃厚なチーズです。
工房おすすめの食べ方は “温かいご飯に乗せて食べる”こと!ご飯の温かさでチーズがより滑らかでとろける食感になるため病みつきになります。海苔で巻くとまさにウニ!手巻き寿司の具として用意しても意外性と美味しさで話題になります。もちろんそのまま食べたり、パスタソースにしても美味しいです。ご飯に合うブルーチーズ、気になった方はぜひ味わってみてください。

《おこっぺ山のチーズ》

  • 冨田ファームの「おこっぺ山のチーズ」とドライフルーツのパンとワイン

『おこっぺ山のチーズ』は熟成する過程で塩水やアルコールなどの液体をチーズの表面にまとわせながら作るウォッシュチーズです。濃厚なミルクの甘みと風味を楽しむことができます。
チーズは常温に戻した状態と、冷蔵庫から出したてとでは感じる味や香り、食感も変わります。 冷たいまま食べるとモチモチ、カットして常温に戻してから食べるととてもクリーミ―。ウォッシュタイプ独特の香りも控えめのため、クリームチーズのように使うのもおすすめ。甘みの強いドライフルーツとの相性がバッチリです。

《カムイ・スイ(和製エメンタール)》

  • 冨田ファームのチーズ「カムイ・スイ」とサンドイッチ

『カムイ・スイ』は、アイヌ語で「神の穴」という意味。商品名に「和製エメンタール」とありますが、スイスで”チーズの王様“と呼ばれるエメンタール(Emmental)チーズを目指して作られています。塩分が控えめで風味も優しく、そのままでもたくさん食べられるような美味しくクセのないチーズです。サンドイッチにするのであれば白いパンや風味の少ないパンと合わせたほうがチーズの味を楽しめます。
チーズフォンデュとして溶かすとより香りが立ち、素材とのマッチングも楽しめますよ。合せるお酒はすっきりとした辛口の白ワインがおすすめです。
※「Emmental」はチーズフォンデュに使われるチーズとしても有名な、漫画にもよく出てくるポツポツと穴の開いたチーズのこと。

◆のぼりべつ酪農館

登別は温泉が有名ですが、実は品質の良い牧草が育つことから生乳の質も良く、酪農に適した地域です。のぼりべつ酪農館(北海道登別市札内町73-3)は「生乳品質日本一」を目指して日々、地元で生産される生乳を加工する「地域密着型乳業メーカー」です。最近は「クラフト●●」としてビールやコーヒーが流行ですが、こちらはまさに「クラフトミルク」と言えるでしょう。北海道の乳業メーカーは大きい会社が流通の大半を占めており、せっかく質の良い生乳を作っていても数百件の酪農家が生産したミルクがすべて同じ工場で混ぜ合わされて製品になってしまいます。「北海道」というくくりではなく、「登別」の生乳を地産地消するうえでは地域に根差した乳業メーカーがなくては実現できないということから、登別地域の生乳にこだわって乳製品の生産をしています。
工場は廃校になった学校を再利用して作られており、どこか懐かしい雰囲気。チーズ、乳製品好きにはたまらない場所で、牛乳だけでなく飲むフロマージュやプリン、ソフトクリームも絶品です!

《ニュービアンカ》

  • のぼりべつ酪農館の白カビタイプチーズ「ニュービアンカ」

『ニュービアンカ』は牛乳の風味や旨味を感じながら、白カビの芳醇な香りを楽しめるチーズです。「ビアンカ」はイタリア語で白を意味します。脂肪の調整をしていないため、カマンベールチーズよりもクリーミーで濃厚な味わい。白カビをまとった表皮も少し厚めで食べ応えがあり、ミルクの旨味が凝縮されている味がします。
白カビ好きであれば、どんな人でも満足できるチーズではないでしょうか。優しい味でありながら牛乳の味わいをしっかり感じることができますよ。

《ア・ラ・ルーシュ》

  • のぼりべつ酪農館の白カビタイプチーズ「A la louche(ア・ラ・ルーシュ)」

『ア・ラ・ルーシュ』は熟成した香りが豊かな白カビタイプのチーズで、熟成の変化が楽しめます。
「ルーシュ」はフランス語で「お玉」を意味します。一つ一つお玉ですくいあげて型に入れることから名前を付けられました。
濃厚なミルクの風味が特徴的で、賞味期限の1週間手前くらいまで冷蔵庫でじっくり熟成させることで、香りが深くなりチーズの内部がねっとりとします。はちみつや黒コショウとの相性が良く、食後のデザート感覚で白ワインと共にチーズを楽しんだり、甘くて濃いアイスワインと合わせても良いと思います。

《ピエール・カレ》

  • のぼりべつ酪農館のウォッシュタイプチーズ「ピエール・カレ」

『ピエール・カレ』は四角い形をしたウォッシュタイプのチーズです。ウオッシュ系は独特の匂いがあって、これが苦手な方もいるかもしれませんが、そんな方にこそ食べてみてほしいチーズです。海外のウォッシュチーズに比べると1/5程度の匂いで、とても穏やかに感じます。外皮はふかふかした食感。中身は程よい熟成でとろっとクリーミー。カマンベールが好きな人はぜひ食べてみてほしいチーズです。

◆チーズ工房チカプ

チーズ工房チカプ(北海道根室市川口54-3)は森の中にたたずむ素敵な工房です。中標津空港から車で約1時間ほどの距離にあり、そこでは製造しているチーズを購入できるほか、濃厚な味わいで評判のチーズが練り込まれたソフトクリームも食べることができます。チーズ作りには同じ根室市にある「横峯牧場」の生乳が使われています。チカプの奥様のお姉さまご夫婦が営む牧場で、放牧中心の健康な牛のミルクです。
工房の名前「チカプ」はアイヌ語で「鳥」という意味。根室市はラムサール条約に認定された湿地があるなど、自然豊かなエリアであり、野鳥の楽園であることからそう名付けられました。商品の中には鳥の名前(シマエナガ/シマフクロウ/アカゲラ)が付けられているものがあり、パッケージにもそれぞれのイラストが描かれています。そのセンスに心揺さぶられる人も多数!味も一級品ですが、オシャレなものが好きな方へのプレゼントにもおすすめです。

《シッポのオイル漬け》

  • チーズ工房チカプのシッポのオイル漬け,バゲット,サラダ

『シッポのオイル漬け』は塩気のあるチーズのオイル漬けです。商品名にある「シッポ」はアイヌ語で「塩」を意味します。塩味の強いギリシャのフェタチーズを参考に作られており、サイコロ状にカットして、オリーブオイルとハーブと一緒に瓶詰めされています。
チーズにはギュッと締まりがあり、噛むとホロホロと崩れるタイプ。そのままつまんで食べるというよりは、料理用におすすめです。玉ねぎやトマト、キュウリを使ったサラダの上にかけてお好みで酢や塩を足してみたり、トマトソースのパスタやアンチョビ・オリーブが入ったパスタのトッピングとしても使えます。バゲットに乗せて食べても美味しいですよ。

《シマエナガ》

  • とろける白カビチーズ,チーズ工房チカプのシマエナガ

『シマエナガ』はカマンベールチーズのような周りが白カビで覆われたチーズです。白カビの層の下にはトロトロのチーズの層、中心部はねっとりクリーミーな固形のチーズがあって、いろいろな食感を楽しめます。ミルキーなやさしい味わいでクセもなく、クラッカーに塗ってジャムと共に食べるとスイーツのようです。

◆白糠酪恵舎

白糠酪恵舎(北海道白糠郡白糠町茶路東1線116番地11)は。酪農村の恵みである搾りたての美味しい生乳を地元で活かしたい、という願いを込めて名付けられたチーズ工房です。生乳の扱いに細心の注意を払うことでミルクの風味を最大限に引き出すように加工しています。
本来、本場イタリアのチーズは郷土料理という立ち位置です。酪恵舎も地域の郷土料理となるチーズを作り出したいという思いから、イタリアで製法を学び、その技術と日本人の精神で日本人が美味しいと感じるチーズを追求しています。 その種類も多種多様!20種類ほどのチーズの取り扱いがあります。

《ロビオーラ》

  • 白糠酪恵舎のウォッシュチーズ「ロビオーラ」

『ロビオーラ』はクセが少なくさっぱりとしたウォッシュタイプのチーズです。「ロビオーラ」という名前は、熟成が進むにつれて表面が赤くなるため、イタリア語の「ロビオーリ=赤くなる」から付けられています。表皮からはグラッパのほんのり甘いような香りがし、食べてみてもグラッパの風味が感じられます。
濃厚なミルクの舌触りと、鼻に抜けるウォッシュの香りは魚介類の磯の香りとの相性が良いです。海苔でそのまま巻いて日本酒と合わせてみても良し、シーフードグラタンのアクセントにロビオーラをちぎって乗せて焼いても美味です。熱を加えると溶けやすく、クリームソースのパスタに少量溶かすとと奥深い味わいを楽しめますよ。

《タンタカ》

  • 白糠酪恵舎のチーズ「タンタカ」とサラダとワイン

『タンタカ』は18か月以上熟成させたハードタイプのチーズで、旨味が強く、料理に少し加えるだけで味をまとめてくれます。お酒のつまみにもぴったりで、そのまま食べる時には薄めに切ると食べやすく、少し温めて食べるとチーズ本来の味、香り、旨味が増しますよ。
リゾットやグラタン、パスタなどのコク出しとして細かく切ったり、すりおろして使うのもおすすめ。旨味と塩味を強く感じるチーズなので、じゃがいもやさつまいも、かぼちゃ、そら豆、にんじんなどのほんのり甘みのある野菜ともよく合います。

◆NEEDS

NEEDS(北海道中川郡幕別町新和162-111)は100年以上の歴史を刻む新田牧場に隣接したチーズ工房で、菅田将暉さんの主演映画「糸」の舞台にもなったことがある工房です。
牧場に隣接しているため、新鮮な生乳を使ったチーズが多数作られています。「いつものテーブルにチーズを」をコンセプトに、老若男女の様々なシーンに合うチーズ作りを心がけています。例年12月から2月いっぱいは冬季休業期間で、その他の期間は日曜定休で営業時間は10時~17時で営業していますよ。「とかち帯広空港」からは車で20分、JR帯広駅からは車で40分ほどかかる場所にありますが、幕別町には温泉や宿泊施設もありますし、レジャーやお買い物が楽しめる場所も多々あるため旅行にもピッタリです!

《クリームチーズ》

  • NEEDSのクリームチーズ,クラッカー,ジャム,白ワイン,パン

セパレーターを使わずにひと晩静置した生乳の“上澄み”をすくって作るという、なめらかでピュアな極上の『クリームチーズ』です。保存料無添加で作られており、ミルクの風味が最大限に活きています。酸味はほんのり感じる程度で、ミルクの脂肪分もしっかり感じられ、まるでバターとチーズとヨーグルトの間のような食感と味です。
まずはそのままを味わってみてください。いつも食べている大量生産品のクリームチーズとの違いに驚くはずです!ドライフルーツやナッツがギッシリ入ったハード系のパンとも相性が良いですよ。

◆広内エゾリスの谷チーズ社

広内エゾリスの谷チーズ社(北海道上川郡新得町字新得西3線42番地10)は、共働学舎新得農場で工場長を務めていた寺尾智也さんが独立して始めた工房です。「地域の酪農家と連携し、草作り、土づくりをして牛を育て、チーズ作りをしていく」というビジョンを仲間たちと共にし、2020年に開業しました。放牧酪農家2軒で生産される生乳をチーズへと加工しています。ナチュラルな風味を活かしたチーズは万人受けする味わいです。
フランスのローヌアルプス地方で牛や山羊のチーズ農家やチーズ製造所などで研修を受けた寺尾さん。約十種類のチーズを生産しており、中にはとても珍しいフリーズドライのチーズもあります。現在直売所は併設されていないのですが、直売所兼パン工房を作るのが目標とのこと!応援したくなりますね。商品にはエゾリスのイラストが描かれており、プレゼントにしても喜ばれそうなかわいらしいパッケージです。

《コバン》

  • 広内エゾリスの谷チーズ社の「コバン」とドライフルーツのパンとコーヒー

『コバン』は「共働学舎新得農場」から引き継いで手掛けている、とっても美味しい白カビチーズです。柔らかくも適度な弾力のある外皮の白カビ部分、そしてねっとりとした中身の一体感。優しい風味と少なめの塩加減で、次から次へと食べてしまいそうになるほどの美味しさです。とろっとした熟成タイプではなく、モチモチとした食感が楽しめますよ。
シンプルで誰にでも好まれる味ですから、どんな料理にも食べ方にもマッチしそう。ワインとの相性はもちろん、おやつとしてコーヒーや紅茶に合わせてみてはいかがでしょうか。

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北海道のチーズが美味しい理由

チーズの盛り合わせ

北海道は全国一の「生乳」の生産地であることは言わずもがな。なんと国内生産量のうち半分を北海道が占めています。このことから、生乳を原材料とした乳製品も多く生産されています。まずは北海道のチーズが美味しい理由をお伝えします!

そもそも・・・「チーズ」とは

原材料に乳酸菌と凝乳酵素を加えて固めたものを正式には「ナチュラルチーズ」と呼び、製法や使用する乳酸菌の違いなどで世界中には400種類ものチーズが存在すると言われています。ナチュラルチーズを溶かしてまた固めたものは「プロセスチーズ」といい、呼び分けます。
同じ名前のチーズでも、生乳の違い、乳酸菌や工房の常在菌の違い、熟成期間の違い、重量の違いなどで味や見た目も変わります。日々、それと向き合っている職人でも、毎日同じチーズを作ることは難しいと聞きます。

チーズの《味》を決める大きな要因

北海道の牧場で放牧された乳牛,ホルスタイン

さまざまな要因でチーズの味が決まるのですが、原料となる生乳の違いだけでも幾多に分かれます。生乳の違いをざっと挙げてみると、乳牛の品種の違い、育て方の違い、餌の違い、季節の違いなど。組み合わせると何百通りも違いが出来上がります。
まずは「乳牛」と聞くと白と黒の模様がある牛を思い浮かべると思うのですが、それは「ホルスタイン」という品種の牛です。日本の乳牛の99%を占め、乳を出す量が年間7,000〜10,000kgと多い牛です。
そのほかにも「ジャージー」という小型の茶色い牛は年間4,000kgの乳しか出しませんが、乳脂肪率が高くてコクがあります。
また、「ブラウンスイス」という目の大きな茶色い牛は年間乳量は4,800kg。濃厚な乳はチーズに適していると言われています。

北海道のチーズ工房も使用する乳は主にホルスタインのものですが、「ジャージー牛だけ」や「ブラウンスイスだけ」の乳を使用する工房も出てきていますよ。

上記までは生乳を出す牛の品種の違いを述べましたが、飼育される環境や餌によっても乳の品質が変わります。牛を放牧(牛舎以外に運動するスペースがある飼育方法)するとストレスが軽減し、病気をしにくく、安定した乳量と品質の生乳を確保することができます。
また、季節によっても品質が変わります。よく言われる違いは夏の生乳は青草を食べることで味はさっぱりめ、風味が良く、チーズにすると色が黄色くなるということ。冬の生乳はその逆で、栄養が凝縮された干草を多く食べることから乳脂肪分が高く濃厚な味わいで、チーズにすると色がクリーム色になります。チーズ工房によっては、季節によって作るチーズを変えるところもあるほどです。

北海道のチーズ職人は腕が良い!

チーズ職人

乳の品質や味以上に出来上がったチーズの味を左右するもの、それは職人です。どんなに良い生乳を使っても、整った工房で作業しても、最終的に美味しいチーズができるかどうかはチーズ職人の腕にかかっています。

道内にはチーズ工房や工場が約140件あります。皆さんご存知の乳業メーカー大手の工場もあり、そこで作られる商品はいつも同じ味が低価格で楽しめる普段の食卓に欠かせない存在ですよね。一方で、小さなチーズ工房では職人が一つ一つ丁寧に手作りしています。大手メーカーが作るチーズとはまた違った面白さと美味しさがあり、伝統的な製法を用いたチーズだけでなく、地域性を活かした個性的なチーズも多く生み出されています。

北海道のチーズ職人たちは「より美味しいチーズを作ろう」という向上心が高く、勉強熱心。北海道のチーズがこれだけ美味しくなったのも頷ける情熱のかけようですよ。

チーズはカルシウムとタンパク質の補給源としておすすめ!

チーズはその栄養価の高さから「補食(栄養素を補う間食やおやつ)」として薦められることが多い食品です。
チーズは「白い肉」ともいわれるほど多くのタンパク質を含んでいます。タンパク質は筋肉や細胞、皮膚、血液、内臓、髪の毛など体のあらゆる部分を作る材料になります。また、カルシウムやビタミンA・B2などのビタミン類も補給することができます。
チーズが含んでいる栄養素は骨を丈夫にする上、お腹に優しく(低乳糖)、低糖質、低GI。ぜひ毎日の食事にプラスアルファで取り入れて欲しい食品です。

まとめ

北海道に100以上ある工房とそのチーズの中から、ほんの一部ではありますが紹介してきました。酪農が盛んな地で、日々美味しいチーズ作りに挑戦している職人たちがいて、新しい商品もどんどん生まれています。ワインのお供としてだけでなく、料理にもぜひ北海道産のチーズを選んでいただけると嬉しいです。ネット通販で購入したり、旅行で工房を訪れてみたり、こだわって作られたその味をぜひ楽しんでみてください。

北海道のチーズやワインによく合うクラッカーNOKKE

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