【大豆】を食べよう!優れた栄養と効能を詳しく紹介。枝豆・もやし・納豆との比較も。

北海道食材の豆知識
Ayaka Izawa

Ayaka Izawa

フリーランスで管理栄養士の仕事をしながら、北海道栗山町の井澤農園で販売・営業を行い、地域の産品作りや食育などの地域おこし事業にも関わっています。 自称「農家フェチ」!

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たんぱく質を豊富に含むことで「畑の肉」と呼ばれ、がん予防に効果があると考えられている「デザイナーフーズ」ピラミッドの上位に位置する大豆。タンパク質や食物繊維に大豆イソフラボンなど、身体に嬉しい栄養素とその働きについて、管理栄養士が詳しく解説します。そのほか、大豆もやしや納豆との比較、皮や茹で汁を使って栄養を残さず摂り入れるコツについてもご紹介。

大豆とは

大豆と大豆の殻

古くから日本の食生活に深く結びついてきた食材の一つである大豆。大豆は中国が原産地とされ、5000年前にはすでに栽培されていたようです。日本には2000年前には伝わり、煮豆や炒り豆を主とした食べ方をしていましたが、味噌や醤油として利用され始めるのは奈良時代からです。国内で広く栽培されるようになるのは鎌倉時代以降で、北海道においては明治中期ごろに十勝での栽培が定着しました。

大豆は良質で豊富なたんぱく質を含み、日本やアジア諸国では醤油、味噌、納豆、豆腐、豆乳などをはじめとする様々な加工食品に使われてきました。一方、世界の生産量の大半を占める地域では油糧原料として使われてきました。近年になり、欧米でも大豆が持つ栄養素の健康効果が認識され、豆腐をはじめ大豆食品の人気が少しずつ高まってきています。

「畑の肉」と呼ばれる理由

大豆畑を背景に両手で大豆を握る

「畑の肉」とも呼ばれる大豆は、肉や魚に匹敵するほどたんぱく質に富んだ食品です。豆ご飯のように米に豆を混ぜて作ったご飯はもちろん、おかずとして豆料理を添えた食事は米の栄養素で不足するたんぱく質を補うため、美味しいだけでなく栄養的にも理にかなった食べ方であるといえます。

近年話題のデザイナーフーズ

大豆は最新の栄養学でも注目されています。アメリカで発表されたがん予防に効果があると考えられる食品を「デザイナーフーズ」と呼び、約40種類の食品をピラミッド型あに3つのグループに分け、一番上のグループ8種類が最もがん予防の効果が高い食品とされています。大豆は一番上のグループに属しています。残りの7種類はにんにく、キャベツ、生姜、にんじん、セロリ、甘草、バースニップ。大豆も含め私達にとって身近な食品が多いのです。

日本国内の収穫量No.1。北海道の産地と旬

北海道の羊蹄山と大豆畑

北海道の大豆は、1961(昭和36)年の大豆の輸入自由化にともない作付が急速に減少し、1994(平成6)年には約7,000haに落ち込みましたが、大豆作の奨励が図られ少しずつ増加に転じ、2016(平成28)年の作付面積は4万200haとなっています。

大豆は北海道の収穫量が全国1位であり、次いで、宮城県、佐賀県などで多く生産されています。道内では、音更町、長沼町、岩見沢市などで多く生産されています。

北海道における栽培時期は5〜10月で、旬は11〜12月です。北海道産大豆は品質の評価が高く、納豆や煮豆のほか醤油、豆腐、味噌など幅広く使われています。近年の健康志向から需要が高まってはいますが、外国からの輸入に大きく依存している現状にあります。

大豆の優れた栄養について詳しく知ろう

大豆関連製品,大豆・醤油・味噌・豆腐・納豆・豆乳

蒸し大豆は100gあたり186kcal、タンパク質16.6g、脂質9.8g、糖質3.2g、食物繊維10.6gです。
特筆すべき栄養素はやはりタンパク質。魚や肉に負けない良質のタンパク質が豊富に含まれています。タンパク質以外にもイソフラボン、ビタミン、レシチンなど、小さな豆の中にたくさんの栄養素が含まれている大豆。栄養素の特徴について詳しくみていきましょう。

①たんぱく質

蒸し大豆100gあたり16.6gものタンパク質を含んでいます。タンパク質は臓器や筋肉、皮膚、髪、血液など体のあらゆる部分をつくるうえで欠かせない成分です。上記でも述べたように「畑の肉」と呼ばれるほど大豆にはタンパク質が豊富です。また、肉などのタンパク質に比べて低カロリーのため、肉と同量のタンパク質を大豆から摂取しても脂質を過剰に摂る心配がないのが嬉しいですね。

さらにタンパク質の栄養価を評価する「アミノ酸スコア」では、100に近いほど栄養学的に優れた食品とされますが、大豆のアミノ酸スコアは肉や牛乳、鶏卵と同じく最高値の100。体内での生成が難しい必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。あわせて、大豆のタンパク質は消化吸収率も良いことがわかっています。

②イソフラボン

健康番組などでよく耳にするのがこのイソフラボンではないでしょうか。
ポリフェノールの一種であり、無色〜淡黄色の色素成分であるイソフラボンは大豆の胚芽部分に多く含まれ、女性ホルモンの一つ、エストロゲンに似た作用があります。更年期障害や骨粗鬆症の予防に効果的とされるので女性には欠かせないですね。

③ビタミンB群

大豆はビタミンも豊富。ビタミンB1は疲労回復、糖質の代謝に働く作用があります。ビタミンB2は脂質の代謝、肌や粘膜の健康維持に役立ちます。ビタミンB群は水溶性ビタミンで水に溶けやすい性質を持つため、納豆などそのままで食べられる食材を選ぶといいですね。

④食物繊維

食物繊維は腸内環境を整え、便秘の改善に役立ちます。また血糖値の上昇を抑制する効果や、血中コレステロール値を下げる効果も期待されています。ただし、おから部分を取り除いてしまう豆乳や豆腐には食物繊維は殆ど含まれていません。茹で大豆や納豆、おから、きなこなど大豆をまるごと食べることができるものを選びましょう。

⑤鉄

鉄は赤血球を作るのに必要なミネラルです。不足すると貧血を起こして、めまいや立ちくらみなど疲れやすくなります。
鉄には2種類あり、赤身の肉、貝類、小魚などに多く含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品や乳製品、卵に多く含まれる「非ヘム鉄」に分けられます。その違いは吸収力で、ヘム鉄に比べて非ヘム鉄は吸収力が低いですが、ビタミンCと一緒に摂取すると高くなります。大豆に含まれる鉄分は非ヘム鉄なので、ビタミンCが含まれる食材と一緒に食べることを意識しましょう。

⑥その他の機能性成分

大豆にはイソフラボン以外にも注目したい栄養素がたくさん。細胞の構成にかかわり、総コレステロールを低下させる「大豆レシチン」や、抗酸化作用や免疫力向上などに役立つ「大豆サポニン」、乳酸菌のエサとなり善玉菌を増やす「オリゴ糖」など、大豆には健康を支える成分が豊富に含まれており、ダイエットやボディメイク中の方の強い味方です。

皮や茹で汁にも栄養が!

大豆を茹でる

大豆を茹でた時、茹で汁を捨ててしまうことが多いのではないでしょうか。茹で汁には水溶性の栄養素であるビタミンB群、食物繊維、イソフラボン、大豆サポニンなどが多く含まれています(大豆を洗ったり茹でた時に出てくる泡の正体は大豆サポニンです)。茹で汁はオリゴ糖が溶け出しほんのり甘い味です。味噌汁やスープ、カレーやシチューなどで使う水の代用や、お米を茹で汁で炊くなど、ぜひ捨てずに利用してみてください。

「皮」にも食物繊維がたっぷり含まれています。大豆を丸ごととれば、多様な栄養成分を逃さずに摂取することができるので、ぜひ残さず食べてみてくださいね。

枝豆との違いは?

茹でた枝豆

枝豆は未熟な大豆の種子で、アジア特有の食べ物です。かつて枝付きで売られていたことから「枝豆」と呼ばれるようになったとのことです。大豆と比較するとたんぱく質は少ないですが、ビタミン類が多く含まれています。また、アルコールの分解を助けるアミノ酸の一種「メチオニン」が豊富で、メチオニンは二日酔い対策によいとされています。

ほぼ大豆と同じ?「大豆もやし」や「納豆」との違い

スーパーで見かける一般的なもやしは「緑豆もやし」といい、大豆ではありません。緑豆という豆から芽が出て成長したものです。「大豆もやし」は名前の通り大豆からできたもやしで、豆がついたまま食べるのが特徴です。ナムルや炒め物で食べる機会が多いのではないのでしょうか。大豆を種子としているため、大豆の持つタンパク質、イソフラボン、大豆サポニンなどの機能成分をもちつつ、発芽することによって豆の時にはなかったビタミンCが生成されたり、ビタミンB群が豆の時よりも増加するなどメリットが沢山あります。

「納豆」は大豆を納豆菌によって発酵させて作る食品です。大豆を納豆菌で発酵させることによってナットウキナーゼという酵素が生まれます。ナットウキナーゼには脳梗塞や心筋梗塞の原因となる血栓を予防する効果があります。ほかにも発酵することでビタミンKが他の大豆製品に比べ多く含まれています。ビタミンKは血液の凝固や丈夫な骨にするために必要不可欠なビタミン。ただし、血液抗凝固剤を飲んでいる人は納豆が薬の効きを悪くしてしまうため注意が必要です。

まとめ

大豆の旬や産地、栄養素とその働きについてお伝えしました。

これまで述べてきたように、小さな粒に沢山の栄養素が詰まった魅力的な食品「大豆」。世界的にも注目されている一方で、現代の日本では豆類の摂取量が減っていることが指摘されています。豆腐・豆乳・醤油・納豆・味噌・きなこ・おからなど、日常生活で見ない日はないと言えるくらい私達の生活で身近な大豆。毎日何らかのかたちで大豆を意識して取り入れて、私達の食と健康をより豊かにしていきましょう。

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