玉ねぎは和・洋・中どんな料理にも使える家庭料理に欠かせない万能野菜です。日持ちする野菜でもあり、常備していることが多いからこそ、正しい保存方法でいつでも美味しく味わいたいものです。
今回は北海道の玉ねぎ農家の嫁でもある管理栄養士の筆者が、保存に適した温度や期間の目安、芽が出た場合の対処法などについて詳しく解説します。北海道を代表する4品種の特徴やおすすめの調理法についてもご紹介しますよ。
北海道産玉ねぎの特徴と保存方法について
北海道産の玉ねぎは通常大変日持ちする野菜です。野菜はよく「新鮮さ」を求められますが、北海道産の玉ねぎは8月〜9月に収穫された後、春までずっと保存されながらスーパーに並んでいるのです。
保管に適した場所は、風通しが良くて日があたらない涼しい場所です。温度に関しては寒ければ寒いほど長持ちしますし、マイナス2度までは凍りません。また、玉ねぎは凍っても日中の緩やかな温度変化によってじんわり解凍されるのであれば、また元の状態に戻ることができる面白い野菜です。
5kgや10kgなど段ボール箱入りの玉ねぎをまとめて購入した場合は、その箱に入れたまま保存して大丈夫。ただ、春まで保管する場合は北海道並みの気温を保つ必要があるので、本州の冬の気温なら2〜3月くらいまで保存できれば良いほうではないでしょうか。心配な場合は冷蔵庫で保管しましょう。ただし、冷蔵庫で保管するとしなびやすいので、よほどのことではない限り冷蔵庫に入れないで良いでしょう。
暖かくなると玉ねぎの根からは芽が出始めます。玉ねぎを切った時に中心が黄色く変色したり、てっぺんから緑色の芽が出てくるのです。
スーパーで買う玉ねぎの保存方法
スーパーに売られている玉ねぎは、裸のままだったり、ビニール袋に入っていたり、専用の玉ねぎネットで包まれていたりと様々です。常温保存できる野菜は、玉ねぎに限らずビニール袋に入れて保管する場合が多いかもしれませんが、注意点があります。
①「穴あき袋」の場合はそのまま保存しても大丈夫
スーパーであらかじめ袋に入っている玉ねぎを買う場合は、その袋には大体数か所、穴が開いているはずです。この穴は野菜が呼吸できるように開いているものであり、野菜専用の袋でもあります。この袋であればそのまま保管しても大丈夫です。
②「穴がない」ポリ袋での保存はNG
はだか売りの玉ねぎを穴の開いていないポリ袋に入れてそのまま保管することはNGです。玉ねぎが呼吸できずに腐る可能性があり、温度変化があると蒸れてカビの原因になったり、鮮度が落ちてしまいます。
家庭では麻の袋や紙袋、段ボールに入れて保管するようにしましょう。
玉ねぎの日持ちの目安。どの状態まで食べられる?
「玉ねぎの日持ち」と聞いて、あの茶色い玉ねぎがどのような状態になったらもう食べられないのかを知らない方も多いのではないでしょうか。
菌によって腐敗すると食べられない(保存の良し悪しとは無関係)
まず、玉ねぎは菌によって腐敗してしまいます。これは保管方法には関係なく、生育途中や輸送中にキズが付いたりして腐敗菌が悪さをして腐ってしまうのです。腐った玉ねぎはそれはそれはひどいにおい!触った感じでも柔らかくなるため、すぐに腐敗はわかります。ほとんどが選別中に取り除かれるものですが、箱買いするとまれに1~2玉入っていることもあります。
芽が出ても食べられる。ただし早めに。
玉ねぎの貯蔵性は主に「芽の出にくさ」で判断されています。とんがった頭の先から緑色の芽を出した玉ねぎを見たことはありますか?芽が出てしばらくすると茎が伸び、花をつけ、種を残します。芽が出たばかりであれば芽も食べられますし、芽が出た後の玉ねぎもしなびていなければ食べられるのですが、芽が出て時間が経ってしまうと葉(芽)も硬くなり、玉の部分も乾燥していきます。つまり、芽が出てきたら早めに食べてしまわないといけません。
玉ねぎがしなびてきたら芽が出始める合図でもあるため、早めに食べ切るようにしましょう。一度にたくさん食べきれないという場合は、炒めて粗熱を取り、使いやすい量にラップで小分けして冷凍すると2か月ほどおいしく食べられます。
玉ねぎの品種と保存期間の関係
玉ねぎはどんな料理にもピッタリの万能選手ですが、スライスしてサラダで食べたいときに辛すぎて困ったことはありませんか?水でさらしてもなかなか辛味が抜けなかった、という経験をお持ちの方も少なくないはず。
実は、玉ねぎの辛さは品種によって強いもの、弱いものがあるのです。見た目はほぼ同じであっても、ジャガイモと同じように調理特性や生育特性などが違う品種が多く存在します。
つまり、オニオンスライスとして食べたいときには辛味の少ない品種を選べば間違いないということです。
ただし、品種によって保存期間も変わってきます。ここでは北海道で栽培されている玉ねぎの品種の中から代表的な4品種の味の違いと日持ちのしやすさを紹介します。
◆冬の間に食べ切って!《オホーツク222》
「オホーツク222(おほーつくにーにーに)」は、北海道の玉ねぎの中でも定番の品種です。早出し(8月上旬から出荷)用の品種で、次に紹介する「北もみじ2000」よりは貯蔵性に劣りますが、12月ごろまでは出回る品種です。日の当たらない涼しく風通しの良い場所で、段ボールに入れておけば芽が出ずに長く食べられます。
みずみずしく辛味が少ないのが特徴で、サラダやマリネにぴったりです。
◆うまく保存すると5月まで食べられる。《北もみじ2000》
「北もみじ2000(きたもみじにせん)」は遅出し(10月下旬から出荷)用の玉ねぎです。とにかく貯蔵性が良く、寒い場所に置いておけば冬を越すまで芽が出にくい玉ねぎです。
北もみじ2000は収穫してから2か月ほど貯蔵した後に出荷されるため、貯蔵中に余計な水分が抜けるので味が凝縮されています。
辛味が強いためサラダには向きませんが、カレーやオニオングラタンスープなど玉ねぎの甘さを活かす料理におすすめです。
◆年内消費がおすすめ。《レッドアイⅡ》
紫玉ねぎの品種です。「Ⅱ(ツー)」という通り、「レッドアイ」という品種の改良版です。他の紫玉ねぎよりも貯蔵性が良く、味は紫玉ねぎ特有の苦みが若干ありますが甘みが強くておいしい玉ねぎです。
赤色の遺伝子は突然変異なこともあり、皮実が少ないため玉ねぎの性質的にも劣勢な遺伝子が多い紫玉ねぎ。保存期間はそれほど短くはないですが、年内に食べ切ってしまいましょう。
◆北海道の新玉ねぎ。《雪景色》
「雪景色」はなかなかスーパーでは出回らない品種です。皮も中身も真っ白で、「白玉ねぎ」とも呼ばれます。本州の新玉ねぎのような特徴で、水にさらさなくても辛味を感じにくく、肉厚でシャキシャキとした柔らかめの歯ごたえを楽しめるサラダ用の玉ねぎです。さわやかな風味とみずみずしさ、さっぱりとした甘さにファンも多く、玉ねぎ農家もその年の収穫を楽しみにしている品種です。 ただ、長持ちしないのがほかの北海道産の玉ねぎの品種と違う点です。雪景色に関しては、芽が出るかどうかよりも、腐敗がしやすく乾燥もしやすいため、貯蔵向きの品種ではありません。保管方法に関しても新玉ねぎと同じようになるべく冷蔵庫での保管が好ましく、購入後は1~2週間で食べ切ることをおすすめします。
まとめ
玉ねぎの保存方法や品種によって保存期間に差が出ることをお伝えしました。辛味が少ない玉ねぎが好きな方は、8月~9月に出回る玉ねぎを購入し、冬の間に食べ切ると良いです。家の床下や屋外倉庫などの寒い場所に保存できるのであれば、越冬可能な11月以降に出回る玉ねぎをまとめ買いし、低温を保つことで春まで食べることができますよ。
まとめて買うと割安になることが多いため、玉ねぎが好きな人は箱買いして上手に長期保存しながら消費しましょう。