【山わさび】を食べよう!強烈に辛くてうまい薬味の栄養と効能、美味しい食べ方

北海道食材の豆知識
Ayaka Izawa

Ayaka Izawa

フリーランスで管理栄養士の仕事をしながら、北海道栗山町の井澤農園で販売・営業を行い、地域の産品作りや食育などの地域おこし事業にも関わっています。 自称「農家フェチ」!

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山わさびの国内における生産量のほぼ100%を占める北海道。北海道ではご飯のおともとして人気の「醤油漬け」や、刺身や肉料理の「薬味」として普段の食卓に上がる身近な食材です。今回は道産子で管理栄養士の筆者が、辛くて美味しい山わさびの魅力を詳しく紹介します。

山わさびとは?

掘り立ての山わさび

「わさび」と言われて思い浮かべるのは、お寿司や刺身のそばに添えられてる緑色のものですよね。しかし、北海道で採れるわさびは「山わさび」といい、色が白いのです。ステーキやローストビーフなど肉料理に添えられている白い薬味がまさにそれですね。

山わさびはアブラナ科セイヨウワサビ属の多年草です。もともとヨーロッパ原産の植物であり「ホースラディッシュ」と呼ばれていますが、日本では山わさび、西洋わさびといいます。生命力がとても強い植物であるため、お家の庭の端に植えて放っておくだけですくすく育ちます。日本では大半が北海道産ですが、世界生産量の80%はアメリカ産とされています。

「山わさび」と「本わさび」との違いについて

本生わさび

「山わさび」と「本わさび」は何が違うのでしょうか。栽培方法から、見た目や味の違い、栄養素について比べてみます。

栽培方法の違い

山わさびは上記で述べた通りヨーロッパ原産であるのに対し、本わさびは長野県や静岡県、島根県など日本が原産です。渓流や湧水など、水が綺麗な場所で栽培され、収穫にも3年程の時間を要します。山わさびはその名前の通り山や畑で栽培されます。約1年で収穫できる大きさに成長するため、本わさびと比べて収穫量が多く、安価であることが特徴です。

見た目や味の違い

本わさびは緑色の見た目をしており、すりおろしても鮮やかな緑色です。山わさびは見た目が白っぽいのが特徴。味にも違いがあり、本わさびは爽やかな香りや風味、山わさびに比べマイルドな辛味を楽しめます。山わさびは本わさびの約1.5倍辛いと言われ、鼻にグワっとくる辛さが際立ちます。食べる時はもちろん、すりおろす時も強烈な辛みが襲い涙を流しながらすりおろすこともあります(笑)

栄養素の違い

辛味成分であるアリルイソチオシアネートは本わさび、山わさびどちらにも含まれる共通の栄養素です。殺菌・抗菌作用、消化促進の効果があります。
また、6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(6-MSITC)という成分は本わさびにしか含まれていない成分です。抗酸化作用、花粉症予防、がん予防など様々な効果があります。

普段食べている「チューブわさび」。どっちが入ってるの?

チューブから出てくるわさび

薬味の定番であるわさび。冷蔵庫にチューブタイプを常備してあるというご家庭も多いのではないでしょうか。このチューブわさびのほとんどは、山わさびが原料となっています。これは山わさびが栽培しやすく、収穫量が多いという利点があるためです。そのため、本わさびと書かれていないものはほぼ山わさびで、着色料を使用してわさび風の色に仕上げられています。わさび協会の自主基準によると、本わさび含有量が50%以上のものであると「本わさび」と表示できる決まりとなっています。

本わさびを食べていると思っていても、チューブタイプの場合は山わさびを食べていることがほとんどだということです。

北海道が主要産地である理由

掘り立ての新鮮な山わさび

山わさびは明治時代に食用として伝来し、現在北海道が主要産地となっています。原産地であるヨーロッパの冷涼な気候に似ている北海道が栽培には適しています。収穫時期は12月から3月にかけて行っており、それより暖かい地域での栽培や、北海道でも夏の暑い時期だと辛さがぼけてしまうのだとか。

山わさびの栄養とその効能

すりおろした山わさび

ビタミンやミネラルが豊富に含まれている山わさびですが、辛味が強いため一度に食べられる量は限られています。

山わさびの最大の特徴といえる辛味成分はアリルイソチオシアネートです。実は採ってきた山わさびをそのまま食べても、辛さを感じることはできません。すりおろすことで山わさびの細胞が破壊され、細胞中に一緒に存在する「シニグリン」という辛みのもとがこの細胞内の酵素「ミロシナーゼ」と反応することによって、辛味成分のアリルイソチオシアネートが生成されるのです。これは大根おろしにも同じことがいえます(大根自体は辛くないですが、すりおろすことで辛くなりますよね)。このアリルイソチオシアネートには、以下のような効果があるのでご紹介いたします。

◆殺菌

山わさびの辛味成分であるアリルイソチオシアネートには、本わさびと同様に殺菌・抗菌作用があります。食中毒など菌の増殖を抑えたり、生魚などの臭いを消臭する効果があり、寿司や刺身にわさびが添えられるのは理にかなっています。

◆消化促進

山わさびの辛味には唾液や胃などの消化液の分泌を活発にする効果があります。これにより食欲が増すのはもちろん、消化器の運動を盛んにして消化吸収を促進し胃腸の負担を和らげます。

山わさびの美味しい食べ方

山わさびの特徴や栄養素やその働きについて学んだところで、気になるのはその食べ方!
道産子管理栄養士直伝の山わさびのおすすめの食べ方を紹介します。

①まずはそのまま!

山わさびをすりおろす

生の山わさびを購入し、まずはすりおろしたものをそのまま食べて山わさびの味わいそのものを楽しみましょう。ただしすりおろす際は、新鮮なものほど辛さが沁みますのでゴーグルは必須です。また換気扇を回したり、窓を開けて作業するなど対策をとりましょう。風味を損なわないためにも皮付きのまますりおろすのが良いでしょう。

すりおわり食べる準備ができたら醤油を数滴垂らしてもよし、味噌で和えても。ご飯にのせたり、納豆に混ぜたり、冷奴にのせたり、肉料理や魚料理に添えたりなど可能性は無限大です。すりおろしてから少し日が経って辛さが抜けたものも風味を楽しめて美味しいですが、辛味は気化性なので密閉できる容器での保存をおすすめします。

長期保存の鉄板!山わさびの醤油漬け

山わさびの醤油漬けをご飯にかける

山わさびといえば醤油漬け。スーパーでもよく見かけますよね。お好みの量で漬けてみましょう。醤油だけで漬けても美味しいですが、甘みが欲しい方はみりんを一緒に入れるのもおすすめです。漬けた山わさびは清潔な瓶に入れて丸1日ほど置けば、味が染みて食べれるようになります。すぐに食べない分はタッパーなどに移して冷凍保存すると長く山わさびを楽しめますよ。

醤油漬けはそのままご飯にのせるのも良いですが、肉料理のタレとして使ってみたり、スープの隠し味、野菜炒め、天ぷらなどのおかずにも合います。

③「商品」を買って楽しもう!

山わさびは長期保存に向いているため、瓶詰め商品なども多数販売されております。定番は醤油漬けですが、北海道では味噌漬けにする食べ方も多く、最近は味噌漬けの商品もよく目にします。

醤油漬けなど瓶詰め商品以外だと山わさびのドレッシングもよく見かけますね。フレンチやチーズなどと合わさった商品が多く、ツンとした山わさびの辛さとマッチします。野菜サラダはもちろん、ステーキやトンカツ、アボカド、ゆで卵、生のサーモンなど色々なお料理にお使いいただけます。

一風変わったお土産として話題になること間違いないのは、Webメディアで一躍有名となった北海道のローカルコンビニであるセコマことセイコーマートの「山わさび焼きそば」や「山わさび塩ラーメン」。山わさびの刺激が売りのこの商品をみんなで食べてみてはいかがでしょうか?

最後に

北海道の春の味といえば、やっぱり「山わさび」。辛さが強烈だけどスッキリもする、食べたらやみつきになる食品です。スーパーなどで見かけたらぜひ一度購入してみてくださいね。

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