【タコ】を食べよう!豊富な栄養素とその効能。高タンパク・低カロリー・低糖質な食材の魅力

北海道食材の豆知識
Ayaka Izawa

Ayaka Izawa

フリーランスで管理栄養士の仕事をしながら、北海道栗山町の井澤農園で販売・営業を行い、地域の産品作りや食育などの地域おこし事業にも関わっています。 自称「農家フェチ」!

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日本人は大好きだけど世界的に見ると食べる国は少数派の「たこ」。タウリンや亜鉛などを豊富に含み、高タンパク・低カロリー・低糖質なためボディーメイクや減量中にもピッタリの食材です。今回は管理栄養士の筆者がタコに含まれる栄養成分とその働きについてを詳しく解説。ミズダコ・マダコといった呼び方や種類の違い、頭(胴体)と足で食感が異なる理由、珍味としての卵などお役立ち情報も色々とご紹介します。

【たこ】について詳しく知ろう

海の中で泳ぐタコ

たこは日本ではよく食べられている魚介類で、刺身・タコ焼き・おでん・唐揚げなど家庭料理としてはもちろん、外食や居酒屋メニューとしてもモリモリ食べるお馴染みの食材です。しかし、日本のように日常的に食べる国は少数派で、欧米諸国では「悪魔の魚」と呼ばれるほどの嫌われもの。世界でもタコを食べる国と言えばメキシコ、スペイン、イタリア、ギリシャ、アジア圏では韓国やタイくらいだと言われています。

北海道におけるタコ漁業の歴史は明治中期頃からで、特に渡島地方や檜山地方、後志地方で盛んに行われていました。道南では明治末期から陶器の「かめ」を使ったタコ漁から、逃げないように工夫された「たこ箱」が使われ出し、留萌やオホーツク、日高などの各地に広がっていきました。
北海道で獲れるのは「ミズダコ」が主流で、オスとメスで身の質が違うといった特徴があります。北海道では身が柔らかいオスを「ミズダコ」、メスを「マダコ」と呼んで区別することが多く見かけられます。腕を広げると大きなもので全長3mにもなります。

【たこ】に含まれるカロリーや栄養成分とその働き

タコの刺身

たこの栄養価を紹介します。

生のミズダコのカロリーは100gあたり66kcal。タンパク質を13.4g、脂質を0.9g、炭水化物を0.1g含みます。
生のマダコのカロリーは100gあたり76kcal。タンパク質を16.4g、脂質を0.7g、炭水化物を0.1g含みます。
他にはカリウムが290㎎、カルシウムを16㎎含む食材です。

タコはスーパーで年中気軽に手に入るうえ、下ごしらえなどの手間いらずで切ったらすぐに食べられる魚介類です。 含まれる栄養素とその働きを知って、普段の食卓に並べてみましょう。

①タウリン

タコ100g中にタウリンを520㎎含みます。

タウリンは、人間の体内でも微量ではありますが作り出すことができる栄養素です。人間には体重のうち0.1%がタウリンの重量であるといわれるほど。心臓や肝臓、脳、筋肉、骨髄などの様々な臓器や組織に分布しており、生命活動に重要な役割をしています。

タウリンは魚介類に多く含まれていますが、水分と一緒に流れ出ていく性質があるので加熱する際は汁までいただきましょう。ゆでだこの場合は茹で汁にタウリンが出て行ってしまい、身に残っているタウリンが減少していることも。タウリンを多く摂取したいときは生ダコを食べることをおすすめします。

タウリンは滋養強壮や疲労回復を速める栄養素です。その効果は栄養ドリンクにも配合されているほど。主な役割としては血液中のコレステロールや中性脂肪を減らすこと、血圧を正しく保ち高い血圧を下げること、肝臓の解毒能力を高めることなどが挙げられます。他にもインスリン分泌を促進し糖尿病の予防や治療にも良い点や、視力の衰えを防ぐ点も重要な役割と言えます。

②塩分

タコは醤油や塩をつけなくても塩分が多い食材です。

生のタコ100g中に0.7~1.1gもの塩分が含まれます。これはタウリンが多く含まれている食材特有の栄養価なのですが、タコを大量に食べると塩分過多でむくんでしまったり、高血圧になることも。

塩分の摂りすぎは健康寿命を縮めることに繋がります。塩分の摂りすぎにならないようにタコを食べる際は味付けを薄めにするか、刺身には醤油を付けないなど工夫をしてみてください。

③タンパク質

タンパク質は筋肉や体の組織、爪や髪の毛を構成する栄養素です。また、1g4kcalの熱量を持ち、体を動かすエネルギーにもなります。タンパク質が不足するとむくみや筋肉量の低下などが起こります。
魚介類のタンパク質は肉と比べると消化しやすいことが特徴なため、胃もたれをする人や運動前のタンパクチャージにも最適です。

④亜鉛

タコには100g中1.6㎎の亜鉛が含まれています。特筆するほど多いという訳ではありませんが、亜鉛は魚介類や肉類に多く、細胞の再合成や抗ストレス、免疫力アップに関わる栄養素です。細胞のターンオーバーをスムーズにすることから、味覚を正常に保つ働きや傷の治りを早くする働きもあります。

部位ごとの比較

たこに含まれている栄養素とその働きについてお伝えしました。次は部位ごとの栄養価の特徴や食べ方についてお伝えします。

◆頭と足に含まれる栄養素の違い

茹で蛸丸ごと

タコの頭と足の栄養価の違いはほとんどないと言っても良いでしょう。ただし、食感の違いに気づいている人もいるのではないでしょうか。

茹でたタコは足よりも頭の方が噛み切りやすいです。これは、タコの筋肉の作りの違いによります。頭は横に規則正しく繊維が走っていますが、足は複雑な繊維の作りになっています。歯に自信がない人や軟らかいものが好きな人にはタコの足よりも頭をおすすめします。

◆皮にはどんな栄養素が含まれている?

新鮮な生のタコ

タコの皮は赤いイメージですが、生のタコは薄い赤褐色です。鮭の赤色はアスタキサンチンという抗酸化作用が強い栄養素なのですが、タコの色素についてはまだまだ謎が多く解明されていません。身と同じようにたんぱく質やタウリンが豊富ということは間違いないでしょう。

◆タコの卵は珍味!

タコの卵は「タコマンマ」と呼ばれることもあります。その卵は細長い粒状になっており、それが連なっている見た目が米粒(飯)に見えることからそう呼ばれています。 新鮮なタコマンマは醤油を付けて刺身で食べる他、出汁醤油に漬けて食べることも。タコの産卵時期は冬なので、北海道では冬の珍味として有名です。プチっとした食感にとろりと濃厚な中身は通好みの味。新鮮な卵しか食べることができないため、タコマンマを食べる事は産地の特権とも言えますね。

◆タコスミは食べられる?

タコスミは食べられます。なんと、イカスミよりも2~10倍のアミノ酸を含むため、おいしさはイカスミに勝るとか!しかし、なかなか「タコスミ」を使った料理を耳にすることが無いですよね。それは、タコスミを確保することが難しい点に理由があります。
タコのスミはイカよりも蓄えが少ない上、イカのように独立したスミ袋が無く、炭だけを取り出すことが困難なのです。希少なタコスミ、いつか食べてみたいですね。

調理によって栄養価は変わる?

タコを茹でる

タコ(マダコ)は茹でると100gあたり99kcal、タンパク質は21.7g、脂質は0.7g、炭水化物は0.1gになります。生のマダコのカロリーは100gあたり76kcal。タンパク質を16.4g、脂質を0.7g、炭水化物を0.1gだったので、カロリーとタンパク質が増えているように見えますが、茹でることで水分が抜けて栄養素が凝縮したと言えます。

このほかの水溶性のビタミンは若干減るものもありますが、ほとんどの栄養素が凝縮されるため、加熱しても栄養素は少なくならないと考えて大丈夫です。

イカとのカロリー・栄養素の比較

新鮮なイカの刺身

イカは生の場合、100gあたり85kcal、タンパク質は17.6g、脂質は1.0g、炭水化物は0.4gです。生のマダコのカロリーは100gあたり76kcal。タンパク質を16.4g、脂質を0.7g、炭水化物を0.1g含みます。他の栄養素はそれほど違いはありませんが、タウリンの含有量は350㎎とタコ(520㎎)よりも少なめです。

よく食べるタコの種類の紹介

みずだこ,ミズダコ

ここまで「マダコ」と「ミズダコ」が出てきましたが、身が柔らかいオスを「ミズダコ」、メスを「マダコ」と呼ぶと先述しました。タコの雄雌の見分け方は足と呼ばれる腕部を見ればわかります。オスは8本のうち1本だけが短く、精子をメスの胴体に運ぶ役目を持ちます。

ミズダコ、マダコの他にもイイダコ、ヤナギダコが良く食べられます。

「イイダコ」は歯ごたえが良い小さなタコです。卵が小さく、米粒のように見えることからイイダコと呼ばれるようになったと言われています。暖かい海に生息するため、北海道では水揚げされません。

「ヤナギダコ」は北海道周辺、主に太平洋沿岸で漁獲されるタコです。歯ごたえがあるため主に煮ダコや酢だこに加工されて出回っています。

美味しく食べるためのポイント

煮ても生でも美味しいタコですが、食べる時の注意点をお伝えします。
生で食べる場合は新鮮なものを選びましょう。吸盤を塩もみしてしっかり洗い、ヌメリと汚れを取ってから調理すると安心です。
先述した通り塩分が多い魚介類であるため、味付けは薄めを心がけるようにしてください。コレステロールやプリン体はそこまで多くなく、コレステロール値を正常に近づける働きを持つタウリンを豊富に含むため、毎日食べても安心な食材です。

北海道のたこを食べよう!

タコを吊るして干し上げる

北海道を囲む海の全域で漁獲できるたこ。最北にある稚内市での漁獲量が全道トップで、次いで根室市、函館市、留萌振興局の増毛町と続きます。

北海道では「タコの飯寿司(いずし)」が郷土料理として有名。飯寿司は本来、鮭やホッケと野菜類を麹と塩で層状に漬け込んだ北海道の保存食です。冬に薄切りにしたタコと麹と野菜を層になるように漬け、1~2週間寝かせて食べます。頻繁に食べられているものではありませんが、昔からある郷土の味です。

酢だこ

飯寿司の他には真っ赤に着色された「酢だこ」も北海道の郷土料理と言われています。甘くて酸っぱくて真っ赤なインパクト抜群の保存食です。主にお正月に食べられる縁起物ですが、北海道のスーパーでは年中置いてある商品です。

飯寿司も酢だこも好みが分かれる食品なのですが、食べる機会があればぜひ挑戦してみてください。

まとめ

道産子管理栄養士がたこの栄養価から北海道の郷土料理を紹介しました。たこと一言で言っても、部位ごとに味わいが違いますよ。タコマンマは是非一度は召し上がっていただきたい珍味です。飯寿司や酢だこも北海道ならではの味ですよ。

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