かぼちゃは野菜の中でも栄養価が高く、緑黄色野菜の仲間です。ビタミン類やカリウム、β-カロテンが豊富な上、種に含まれる油にはうれしい健康効果がギュギュっと詰まっています。
今回は、かぼちゃのカロリーの他、含まれる栄養素やその働きについて管理栄養士が解説します。
目次
かぼちゃの種類について
「かぼちゃ」は大きく分けて2種類に分けられます。「日本かぼちゃ(和かぼちゃ)」と「西洋かぼちゃ」です。
日本かぼちゃはさっぱりとした甘みとねっとり軟らかい肉質、皮は若干硬めです。出汁を利かせた薄味の煮汁で含め煮にしたり、グリルや素揚げで食べると美味です。
実は日本人が日ごろ親しんで食べているかぼちゃは「西洋かぼちゃ」です。西洋かぼちゃはホクホクとした食感と濃厚な甘みが特徴です。煮物やサラダ、コロッケ、ポタージュなどによく使われます。
また、最近出てきた新顔野菜として「そうめんかぼちゃ」があります。硬めに茹でたかぼちゃを水の中でほぐすと繊維状に実がほぐれ、酢のものやサラダとして食べるかぼちゃです。そうめんかぼちゃも西洋かぼちゃの仲間と言われていますが、栄養価はまったく違います。
かぼちゃの栄養価
日本かぼちゃと西洋かぼちゃ、そうめんかぼちゃで栄養価が異なります。栄養価が高い順は「西洋かぼちゃ>日本かぼちゃ>そうめんかぼちゃ」です。
日本かぼちゃは100gあたり49kcal、タンパク質1.6g、脂質は0.1g、炭水化物は10.9g、食物繊維は2.8gです。糖質は「炭水化物ー食物繊維」で求めるため、8.1gです。
あっさりした味でホクホクとしたでんぷん質が少ないことから、糖質は少なめ。また、βカロテンも少ないため日本かぼちゃは厳密にいうと緑黄色野菜ではありません。
西洋かぼちゃは100gあたり91kcal、タンパク質1.9g、脂質は0.3g、炭水化物は20.6g、食物繊維は3.5gです。糖質は17.1gです。野菜にしては高カロリーで糖質も高いのですが、白飯は100g168kcal、糖質約37gを含むため、白米と比べるとヘルシーな食品ですね。
また、白飯よりも栄養素を豊富に含んでいるため、エネルギー源としてお勧めの野菜です。
サラダ感覚で食べるそうめんかぼちゃは100gあたり24kcal、タンパク質0.7g、脂質は0.1g、炭水化物は6.1g、食物繊維は1.5g、糖質は4.6gです。そうめんかぼちゃは日本かぼちゃよりもビタミン、ミネラル共に低い野菜です。
栄養価が高い「西洋かぼちゃ」に多く含まれる栄養素を紹介します。
栄養素①免疫力を高める《β-カロテン》
西洋かぼちゃ100g中に4000μgのβ-カロテンが含まれています。β-カロテンは体内でビタミンAと同様に免疫力のアップや粘膜の健康を保つ働きをします(西洋かぼちゃの場合。日本かぼちゃの場合はβ-カロテン含有量は730μg)。
β-カロテンが100gあたり600μg以上含まれる野菜を特に「緑黄色野菜」と分類し、栄養価が高い野菜といえるので、かぼちゃは緑黄色野菜の中でも上位の栄養価です。
ビタミンA自体はレバーやバター、ウナギなどに多く含まれますが、ビタミンAの過剰摂取は体に不調をもたらすこともあります。その点、β-カロテンは摂りすぎても過剰症はありません。
栄養素②傷や炎症の回復を早める《ビタミンC》
かぼちゃはビタミンCも含んでいます。西洋かぼちゃ100gあたり43㎎も含んでおり、みかん(100g中35㎎)よりも多いのです。
ビタミンCには抗酸化作用、免疫機能を高める働き、傷や炎症の治りを早める働き、ストレスから体を守る働きがあります。
ビタミンCは熱に弱い特徴を持ちますが、じゃがいもやかぼちゃに含まれるデンプンはビタミンCを保護する働きを持ちます。
栄養素③体の老化を防ぐ《ビタミンE》
西洋かぼちゃは100g中に5.1㎎のビタミンEを含んでいます。
ビタミンEは抗酸化作用や血行促進作用がある栄養素です。抗酸化作用により体内の老化を防ぐことができ、血行促進作用によって冷えや関節痛、肩こりなどを予防することができます。
成人の場合、1日に6.5㎎前後摂取することを勧められているので、かぼちゃを100g食べれば8割がた補うことができます。
かぼちゃの実だけでなく、種にもビタミンEが豊富です。
栄養素④体のむくみをとる《カリウム》
西洋かぼちゃ100g中に450㎎のカリウムを含みます。カリウムは食事から摂取した過剰な塩分を体外に排出する働きを持ちます。塩分を摂りすぎると体が余計な水分を溜めてしまい、顔や足がむくみやすくなり、血圧も高くなりがちです。
むくみや高血圧で悩んでいる人はカリウムが多い野菜を摂取することをおすすめします。
捨てるのはもったいない!かぼちゃの皮
かぼちゃの「皮」にはオレンジ色の中身よりもβ-カロテンを多く含みます。また、食物繊維も多いため、サラダやスイーツづくりで中身を使った後の皮は捨てずに食べてしまいましょう。
レンジや蒸し器である程度火を通した後、大学芋のように炒めてから甘ダレをからめたり、きんぴらのような味付けにすると食べやすいです。
もちろん、皮ごとスイーツやサラダ、煮物に使用してしまえばその手間もありません。
捨てるのはもったいない!かぼちゃの種
かぼちゃの「種」も食べられます。かぼちゃの種にはビタミンE、食物繊維、リノール酸(オメガ6脂肪酸)、α-リノレン酸(オメガ3脂肪酸)などの不飽和脂肪酸も多く含みます。
硬めの皮に包まれているため、その皮を剥かなければ食べられないのですが、体に良い栄養素を多く含むかぼちゃの種を捨ててしまうのはもったいないですね。
食べ方は、かぼちゃの種をフライパンで乾煎りするだけ。ほんのり焦げるまで中火で乾煎りした後、皮ごとそのまま召し上がってもかまいませんし、皮が硬くて気になる場合はキッチンバサミで軽く切れ目を入れて剝ぐと緑色の可食部が出てきます。 他にも、2-3日干しして素揚げすると皮も気にならずにスナック感覚で食べられます。
捨てるのはもったいない!かぼちゃのわた
かぼちゃの種と身をつなぐ役割をしているのが、「ワタ」です。かぼちゃのワタには実よりも多い食物繊維が含まれます。
かぼちゃのワタは実と一緒に煮て食べることができますが、口当たりが悪く、ねっとりとした食感を好まない人もいるかもしれません。
皮や実と一緒にワタもポタージュにしたり、かき揚げや天ぷらにすると食べやすいですよ。レンジで加熱後、スムージーに入れるとほんのりかぼちゃの甘みが加わります。
まとめ
かぼちゃの種類やそれぞれの栄養価、栄養素の働きをお伝えしました。かぼちゃの皮や種、ワタまでも栄養素がたっぷり含まれることが分かりましたね。 なるべく無駄にせず、にかぼちゃを丸ごと食べるように意識してみてください!