かつて鰊漁が盛んであった北海道には、その鮮魚や加工品を使って作る郷土料理がいくつもあります。「ニシン漬け」や「ニシン蕎麦」、「飯寿司(いずし)」や「三平汁」、そして今回ご紹介する『切り込み』です。どの料理も漁師町を中心に始まり、北海道各地の家庭で親しまれるようになりました。保存方法や調理法に先人の知恵が生かされた昔ながらの一品ですよ。
そもそも【切り込み】とは
「切り込み」は鮮魚(主にニシンや鮭)を細切りにし、塩と米麹に漬け込んだ発酵食品です。北海道や東北地方に伝わる伝統的な郷土料理で、厳しい冬を乗り切るための保存食の一つでした。
米麹によって熟成がすすむとトロトロになり、魚の身はプリッとした独特の食感が生まれます。旨みとコクがあり、まろやかな口当たりが特徴で、昔ながらの辛口のものと食べやすい甘口のものが販売されています。
“辛口”タイプは塩分が相当強い(100当たりの食塩相当量が6gとか8gとか色々あります)ため、食べ過ぎには注意が必要です。大根おろしと合わせるのが定番であり、日本酒とは相性抜群。イカ塩辛にもよく似ているため、ごはんのお供はもちろん、アンチョビ代わりにパスタに使ってみるのもおすすめです。
“甘口”タイプの塩分は少し控えめですが、濃いめの味であることに変わりありません。お酒のつまみや炊きたてごはんのおかず、お茶漬けの具にしても美味しいですよ。
北海道で製造販売されている切り込みは「ニシン」を使ったものが一般的で、「鮭」を使ったものは稀です。
井原水産の『鰊(ニシン)の切込み』を食べてみた。
北海道留萌市に本社のある「井原水産株式会社」さんは“数の子”生産日本一の水産加工会社として知られています。2018年に発売となり今や大ヒット商品となった『カズチー』の会社としてご存知の方も多いと思います。
今回購入してみたのは『鰊(ニシン)の切込み250g』。
100g当たりの塩分相当量は4.7g。切り込みの中では“甘口”タイプになるでしょうか。蓋を開けるとご覧のように数の子が丸ごと1本乗っていました。数の子生産日本一の会社が作るだけあって、他にはないとても豪華な商品になっています。
5mmほどの薄切りになったニシンの切り身。糀と塩を加えて発酵熟成が進むことで表面はトロトロに。甘みが増して、マイルドな口当たりになっています。
数の子は中にもゴロゴロ入っていて、そのプチプチとした食感とニシンのプリッとした食感を同時に楽しめますよ。
ドロッとした見た目から苦手に思う方もいるかもしれませんが、魚の生臭さもなく一度食べるとやみつきになる人も多い珍味です。
代表的な麹漬けである「三五八漬け(さごはちづけ)」や「べったら漬け」がお好きな方は抵抗なくいけるはずですので、ぜひ味わってみてください。
日本酒をはじめとしたお酒のつまみにはもちろん、炊きたてご飯と相性抜群。ニシンの旨みと米麹の甘み、濃いめの塩味でご飯がすすみます。美味しいからといって食べ過ぎは注意してくださいね。少しずつ長く、その味を楽しんでください。
まとめ
北海道の伝統的な保存食であり、酒の肴にもご飯のおかずにもなる『鰊(ニシン)の切り込み』をご紹介しました。昔ながらの“辛口(塩分濃いめ)”タイプもおすすめですが、今回の井原水産さんの商品は食べやすくて数の子がたっぷり入った贅沢な一品。ぜひ味わってみてください。クセになりますよ。
◆商品詳細
品名 | 鰊の切込み(数の子入り) |
原材料名 | 鰊(アメリカ産)、数の子、米糖化液、糀、食塩、発酵調味料、、ブドウ糖果糖液糖、唐辛子/調味料(アミノ酸等)、トレハロース、増粘多糖類、甘味料(甘草、ステビア) |
内容量 | 250g |
製造者 | 井原水産株式会社 北海道留萌市船場町1丁目24 https://www.yamani.com/ |