北海道の郷土料理として知られる「ザンギ」。道産子にとっては朝昼晩のご飯のおかずだったり、お弁当に入れたり、定食屋さんで注文したりと、食べる機会がとても多くて昔から愛され続ける名物グルメです。
スーパーのお惣菜コーナーにも100%並んでいたりするこの料理、え?唐揚げじゃないの?と思った方は多いはず。
そんな唐揚げや竜田揚げとの違いはもちろん、料理としての由来や発祥、おすすめの作り方までたっぷりご紹介します!
目次
あらためて北海道の郷土料理「ザンギ」とは
ザンギとは、ニンニクや生姜、スパイス、醤油などで下味をつけた後、片栗粉や小麦粉をまぶして揚げたもののことを言います。主流は鶏肉ですが、魚介類や野菜も同じように調理すれば「ザンギ」に含まれます(「たこザンギ」「鮭ザンギ」など「~ザンギ」といった感じで)。
また、骨なしと骨ありに分かれていますが、最近は骨なしのザンギを提供する飲食店の方が多いそうです。
◆ザンギの歴史、発祥のお店や名前の由来について
発祥地は釧路市にあった焼き鳥屋「鳥松」と言われています。鶏肉は元々高級食材でしたが、戦後にブロイラー(食用の若鶏)がアメリカから入ると、「鳥松」では1960年頃に骨付きの鶏肉に粉をまぶして唐揚げにして提供し、他の飲食店にも広まりました。北海道以外でも、唐揚げ発祥と言われている愛媛県や山形県でも「ザンギ」と近い名前で呼ばれ、よく食べられています。
名前の由来は諸説あります。
- 中国で“鶏の唐揚げ”を意味する「炸鶏(ザーギ)」から、縁起の良い言葉「運(ウン)」が足されたとされる説
- 中国の唐揚げ「炸子鶏(ジャーズー)」のなまり説
- 函館の中華料理店「八宝園」で出された豚肉の唐揚げ「ザリージ」説
- 愛媛県今治地方の郷土料理「千斬切(せんざんき)」※骨付き肉の揚げ料理
◆料理としての特徴
ザンギは食材をしっかり調味料に漬け込んだ濃いめの味付けが特徴です。
最近では、ザンギに甘辛いタレをつけて食べる進化系ザンギ「ザンタレ」も広まっています。もともと道東の釧路で食べられていましたが、今では北海道内の様々なところで食べられます。 タレは甘辛いのが特徴ですが、唐辛子でピリッとさせたり、野菜を入れてボリュームを増したり、創意工夫されたザンタレを提供する店も増えています。
◆ご当地メニューとして
“ザンギで北海道を元気にしたい”と2010年に北海道ザンギ連盟が発足し、「ご当地ザンギプロジェクト」がスタート。鶏肉だけでなく、野菜や魚介類など食材王国の北海道で観光コンテンツとして名物にしたいと様々な取り組みをしてきました。例えば、ローソンで「からあげクン北海道ザンギ味」や湖池屋「ポテトチップス北海道ザンギ味」など企業とのコラボレーションも実現しています。
飲食店でも定番メニューとなったザンギですが、近年人気なのが「タコザンギ」。衣の中に新鮮なタコのプリっとした食感が感じられる一品です。他にも「鮭ザンギ」「ラムザンギ」「鹿肉ザンギ」など土地柄に合わせたご当地メニューも出てきています。
美味しいザンギの作り方
ザンギのおすすめレシピを紹介します。みりんでほんのり甘めにするのが北海道流。みりんが無い場合は砂糖小さじ2と酒大さじ2を入れてみてください。 本レシピで作った場合、1人前のカロリーは1/4量で550.2kcal、塩分は1.7gとなります。
材料(3~4人分)
- 鶏もも肉 500g
- (●)醤油 大さじ3
- (●)みりん 大さじ2
- (●)おろし生姜 小さじ1
- (●)おろしにんにく 小さじ1
- 小麦粉 大さじ4
- 片栗粉 大さじ4
- 卵 1個
- 揚げ油 適量
作り方
- 鶏肉を一口大に切り、ボウルへ入れ、(●)の材料を良く揉み込み10~20分漬ける。
- 1に割りほぐした卵、小麦粉、片栗粉を入れてよく混ぜ合わせる。
- 180℃に熱した油に2を1つずつ入れ、全体がこんがりきつね色になるまで揚げたら完成。
アレンジして楽しもう
ザンギは鶏のから揚げと似通っているため、から揚げのアレンジ方法と似たものを試すと良いですよ。おススメはザンタレ丼と、カレー風味!
①ザンタレ丼
ザンタレ丼はザンギを甘辛いたれにくぐらせ、ごはんの上に盛り付け、刻んだネギを散らしたどんぶりです。
たれは、みりん・酒・しょうゆ・酢を大さじ1ずつ、砂糖を小さじ1入れて煮立たせれば完成です。ネギは長ネギでも万能ねぎでもOK。北海道では長ネギが主流です。
②スパイスやチョイがけでアレンジ無限大!
ザンギを味付けするときに、カレー粉を入れてから揚げるとカレー味に!
また、食べる時に山椒や一味、マヨネーズ、ケチャップなどをかけて食べる人もいますよ。
ちょっと衝撃的かもしれませんが、甘党は「ザンギにはちみつとマヨネーズをかける」という人もいるんです。
唐揚げとどこが違う?竜田揚げとの違いは?
ザンギと唐揚げとの違いは以下に分類されます。
《部位》
ザンギ:様々な部位を骨付きでぶつ切りにして使用
唐揚げ:骨なしのもも肉・むね肉を使用
《下味》
ザンギ:食材に下味をしっかりつけるので味が濃いめ
唐揚げ:下味なしで粉だけまぶして揚げるので味が薄め
《衣》
ザンギ:片栗粉、小麦粉や卵にくぐらせた衣で揚げるので衣は厚いがサクッと軽い口当たり
唐揚げ:食材に粉類を軽くまぶして揚げるので衣は薄いがカリっと歯ごたえがいい
両者ともに地域や家庭で作り方が異っていたりするため、厳密な違いはなく境界は曖昧です。近年では「同様のもの」という考えも出てきている事から、“呼び方に差がある”くらいに考えたほうが良いでしょう。
ちなみに類似料理として知られる「竜田揚げ」は、食材に下味を付け片栗粉をまぶして揚げたものです。下味という観点ではザンギと同じですが、竜田揚げは片栗粉を使うという定義があり、ザンギ・唐揚げとは異なります。
まとめ
濃い味が特徴のザンギは、おかずにも酒のつまみにもぴったりです。今では道内外問わず「ザンギ」専門店も多くあり、店でもテイクアウトでも気軽に食べられる料理となりました(筆者もキッチンカーのザンギ屋さんを見かけたことがあります)。ぜひこの記事を見て、いつもの唐揚げをザンギにアレンジしてみたり、自由に美味しく食べてみてくださいね。