夏の果物と言えばスイカ!大玉、小玉、黒皮、黄肉、種なし、黄色い皮で中が赤色のスイカなど種類が本当に豊富で多種多様。さわやかな甘みとたっぷりの水分、そしてシャリシャリとした楽しい食感は暑い夏にピッタリの果物です。そんなスイカに含まれる栄養素の「体を冷やす働き」や「抗酸化作用」などについて管理栄養士の筆者が詳しく解説します。豆知識として美味しいスイカの選び方や保存方法、おすすめの食べ方、北海道で人気の品種についても紹介します。
目次
【スイカ】について詳しく知ろう!
スイカの原産地は南アフリカ中央部カラハリ砂漠周辺で、紀元前2世紀ごろよりエジプトで栽培されていました。その後、世界各地にわたり日本へ伝来したのは17世紀半ばの長崎県です。
スイカは漢字で「西瓜」と書き表します。これは、中国西域から日本に伝わったことが由来と言われていますが、現在日本で多く栽培されている品種のほとんどは明治時代になってからアメリカから伝わった品種がもとになっています。
現在では大玉と小玉の他に、しま皮系・黒皮系・赤肉・黄肉・ラグビーボール型といった種類があります。
日本国内における代表的な産地は熊本県や千葉県です。北海道の出荷量は全国の約4%ですが全国8位。道内では富良野市と共和町で生産量が多く、「でんすけすいか」で有名な当麻町がこれに次ぎます。4位は空知郡の三笠市、5位は中富良野町です。
スイカの食感を表現する際に、「シャリシャリ」「シャキシャキ」「みずみずしい」と言った表し方をします。また、その美味しさに影響を与える要因としては「味(甘味)」、次いで「シャリ感」、「多汁性」、「硬さ」、「歯切れ」といったものがあります。これらのうち「シャリ感」とは、独特のシャリシャリした食感のこと。スイカは収穫から日数が経つにつれ、肉質が劣化し、シャリ感が無くなってくるため、買ってからはすぐに冷やして早めに食べるのが一番おいしくておすすめのタイミングです。
スイカの種類について
スイカは大玉、小玉、黒皮、黄肉、種なし、黄色い皮で中が赤色のスイカなど種類が本当に豊富で多種多様!
大玉スイカの主要品種は「マイティー21」や「祭りばやし777」という高糖度品種です。どちらも6~8kgにまで育ち、シャリシャリした食感が強いのが特徴です。
小玉スイカは「マダーボール」というラグビーボール状のスイカや「ひとりじめ」という丸いスイカがメジャーです。小玉スイカは家族が少ない人でも食べやすい大きさです。
珍しいスイカで「金の卵」という皮が黄色く実が赤いラグビーボール状のスイカもあります。小玉~中玉のスイカですがシャリ感が強くて甘味も強いです。見つけたら即買いがおすすめ!ラグビーボール状のスイカは冷蔵庫に入れやすいですよ。
最近では品種改良により「種なしスイカ」という、種がものすごく小さくて黒くならないスイカもできています。この種は「ナノシード」と呼ばれており、食べても口の中で気にならないのです。
スイカの栄養価と栄養素の働きについて
スイカは100gあたり37kcal、炭水化物は9.5g、タンパク質は0.6g、食物繊維は0.3g、糖質は9.2g含みます。
水分の多い果物で、カリウムやシトルリンを多く含みます。カリウムには利尿作用があるため、体を冷やしてくれ熱中症予防などに効果があります。
果肉の赤い色はトマトと同じ色素であるリコペンとβ-カロテンによるもので、抗酸化作用やがんの予防効果があると言われています。「天然の日焼け止め」とも言われているほど美容にもよいとされていますよ。 スイカに含まれる栄養素の働きについて解説します。
①シトルリン
シトルリンはウリ科の野菜や果物に含まれるアミノ酸です。スイカの他にもメロンやキュウリなどにも含まれています。
シトルリンは血管の機能を改善したり強くする働きがあり、動脈硬化の予防に繋がったり、持久力の向上、冷え性の改善、むくみの改善、アンチエイジング、記憶力や集中力の改善にも役立つと言われています。
100g中にスイカは180㎎、メロンは50㎎、キュウリは5~10㎎、ゴーヤに2~16㎎含まれています。
②カリウム
スイカ100g中にカリウムを120㎎含みます。メロンは350㎎含むため、メロンよりも含有量は少ないです。カリウムは生野菜や果物に多く含まれる栄養素です。体内の過剰な塩分を体外に排出する際に役立ち、むくみを改善したりやこむら返りを予防する働きをします。
カリウムは水溶性であるため、水にさらしたり茹でると半減してしまうのですが、生で食べられるスイカのような果物はカリウム摂取にピッタリ!夏場、足がつりやすい…という人はカリウム摂取にスイカをおすすめします。
③リコペン
スイカは赤い実の中にリコペンという色素を持ちます。リコペンは強い抗酸化作用を持つ物質でもあります。体内の細胞を酸化(老化)から防ぐことで、生活習慣病の予防やダメージを受けた個所を回復させる働きを持ちます。具体的には、血管のしなやかさを保つ働きや、肌を紫外線から守り白い肌を保つ働き、がん予防などの働きをします。
リコペンは脂溶性のため、油と一緒に摂取すると吸収率が高まります。油っぽい食事のあとにスイカはぴったりです!
赤肉と黄肉のスイカ、栄養価はどう違う?
赤いスイカの実には「リコペン」と「β-カロテン」が含まれると述べましたが、黄色のスイカにはこれらが含まれないか、含まれても少量です。 その他の栄養素(カロリーやたんぱく質等)はほとんど変わらないです。
スイカの皮と種に含まれる栄養素とおすすめの食べ方
スイカは種類によっては皮が厚く、捨てるのがもったいないと思う人もいるのではないでしょうか。ここではスイカの皮と種の食べ方や含まれる栄養素についてお伝えします。
◆皮
一番外側にある皮の部分は硬さやえぐみがあるため食べないことが多いです。青臭く美味しいと言える部分でもないため、無理して食べなくても良いでしょう。
◆皮と実の堺の白い部分
皮と実の堺にある白い部分にはシトルリンが豊富に含まれています。甘みが薄いため、糖質は少なく、ほんのり甘いキュウリのような味です。スイカは果肉はもちろんですが、皮の部分も昔から漬物や煮物にして食べられています。浅漬けは外の硬い皮を切り取り、赤い実の部分を取り除いて少量の塩を入れて揉み、冷蔵庫で一晩おけば出来上がり!
◆種
種には抗酸化作用を持つビタミンEや食物繊維が含まれます。種は軽く乾煎りした後に塩味を付ければスナック感覚で食べられますよ。ビールや日本酒のおつまみにいかがでしょうか。
スイカは追熟不要!買ったらすぐに冷やして食べよう!
メロンはスーパーで売られ始めの状態では身が硬く、数日常温に置いて良い香りがしてくるまで追熟する必要がありますが、スイカは「追熟」不要です。スイカは収穫から日数が経つにつれ、肉質が劣化し、シャリ感が無くなってくるため、買ったらすぐに冷やして早めに食べることをおすすめします。
美味しいスイカの選び方
美味しいスイカのポイントとして、下記の項目を満たすものを選ぶと良いです。
- 形が整っていて重たい
- 表面の色が鮮やかでつやがある
- 縞模様がくっきりしている
- 打音が澄んでいる
- 叩いたときに弾力がある
スイカの頂点部にはツルが付いていた名残、またはツルが付いています。この部分があまりしおれておらず、ツルの付け根部分が少しくぼんでいるスイカが美味しいです。
カットスイカを買う場合は断面に空洞や裂け目、黄色いスジが無いスイカを選ぶようにしましょう。また、種が白っぽいものよりも真っ黒なスイカの方が適期に収穫できているため美味しいです。
スイカの保存方法
スイカは鮮度が落ちるのが早い果物です。そのため、買ったら直ぐに食べるようにしましょう。冷蔵庫に入れて冷やす際は冷やし過ぎに注意!10度前後が一番甘味を強く感じて美味しく食べられる温度なため、丸ごとの場合は冷暗所に保存し、食べる1時間ほど前に食べやすい大きさに切って冷蔵庫に入れるとベストな状態で食べることができます。
切ったスイカは切り口にラップをし、冷蔵庫の野菜室で保存し早めに食べます。
冷凍後は解凍して食べるのには向きませんが、スムージーやシャーベットにするのであれば冷凍保存もおすすめです。種をとって適度な大きさに切り、保存袋に入れて空気を抜き、なるべく平らな状態で冷凍します。
北海道のスイカを食べよう!
北海道では富良野市と共和町で生産量が多く、当麻町がこれに次ぎます。4位は空知郡の三笠市、5位は中富良野町です。
富良野市のブランドスイカは「北のすいか」、共和町は「らいでんすいか」として流通します。有名な「でんすけすいか」は当麻町のブランドスイカです。大玉で皮が深い緑色なのが特徴。
スイカは果実が大きくなる時期の夜温が低いほど糖度が上がる果物です。そのため、本州のスイカよりも北海道のスイカの方が糖度が高く育つ可能性がありますよ。
まとめ
スイカ栽培の歴史から含まれる栄養素とその働き、美味しいスイカの見極め方をお伝えしました。暑い地域で育つイメージのある作物ですが、夏の夜温が低い北海道でも美味しいスイカがたくさん育っています。
スイカ好きであれば、是非、北海道産を食べてみてほしい!大きな果物だからこそ、家まで届けてくれるお取り寄せが有り難いですよね。数種類を食べ比べてみるのも面白いですよ。