お寿司や海鮮丼で大人気のウニ。高級食材であり、大量に食べる機会は少ないことから栄養面に注目する人は少ないかもしれませんが、意外と栄養豊富な食材です。今回は管理栄養士の筆者が成分とその働きについて詳しく解説。種類の違いやおすすめのレシピも紹介します。美味しいだけじゃなく、身体に嬉しいウニの一面を知ることで、より身近な食材に感じられるはずです。
目次
【ウニ】について詳しく知ろう
お寿司や海鮮丼など、ちょっぴり贅沢をしたい時に「ウニを食べたい!」と思う人は多いはず。北海道にはいくらやカニなど海の幸が豊富ですが、実はウニの漁獲量も日本一。北海道にゆかりのあるウニについての知識を深めましょう。
ウニとは?
ウニは皮膚が棘状になっていて、五角形の体をもつ棘皮(きょくひ)動物です。ヒトデや海鼠(なまこ)などの動物が棘皮動物に含まれます。硬い殻とトゲを持ち、海底や砂泥など種類によってさまざまな場所に生息します。
どこの部位を食べてる?
私たちが食べている部分は、ウニの生殖巣です。雄のウニであれば精巣、雌のウニであれば卵巣を食べることになります。大抵のウニは雌雄の差を見分けることはとても難しいです。
漢字で書くと「海胆」「海栗」「雲丹」
「海胆」「海栗」「雲丹」の3つは、いずれも「ウニ」と読み、それぞれの名前の由来に明確な違いがあります。
「海栗」は生のウニで、外見が栗のように棘に覆われていることから「海の栗」と呼ばれるようになったことが由来しています。
「海胆」は生のウニの殻を取り出した生殖巣のことを指します。生殖巣が動物の胆(キモ)、すなわち「肝臓」のようであることから「海の胆」と呼ばれるようになったことに由来しています。
「雲丹」は主に食品用に加工されたウニのことを指します。「雲」は空に浮かぶ水滴のことを意味し、「丹」の字には「赤い」という意味があります。「赤い雲」とはウニの食用部分である生殖巣が赤色の雲のように見えることが由来です。
【ウニ】の栄養成分とその効能について
ウニ(生)は100gあたり120kcal、タンパク質16g、脂質4.8g、炭水化物は3.3g、食物繊維は0gです。ここではウニに含まれる様々な栄養素について詳しく解説します。
◆EPA・DHA
ウニの脂質には、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(イコサペンタエン酸)が含まれています。 DHA・EPAは体内で合成することができない必須脂肪酸であるため、食品からの積極的な摂取が必要です。DHA・EPAには中性脂肪を低下させて脂質異常症を予防し、動脈硬化や虚血性心疾患の発症を抑える効果が期待できます。いわゆる血液をサラサラにするのに役立つ油脂なのですね。
◆葉酸
ウニ100gあたりの葉酸は360μgです。葉酸はビタミンB群のひとつで、赤血球やDNAの産生を助けるビタミンです。妊娠中に不足すると胎児に異常が出る場合もあるため、順調な成長を促すためにも妊娠前からの摂取が勧められています。また、葉酸は記憶力の衰えや物忘れの予防にも役立つといわれています。
◆ビタミンE
ウニ100gあたりのビタミンEは3.61mg。ビタミンEは活性酵素の働きを抑えて老化を予防することから別名「若返りビタミン」「アンチエイジングビタミン」とも呼ばれています。また、血行を良くする働きもあるため、血流の悪さからくる冷え性の改善にもつながります。
◆ビタミンB2
ウニ100gあたりのビタミンB2は0.44mg。ビタミンB2は糖質、タンパク質、脂質の代謝を促しエネルギーにかえる作用があります。また、皮膚や粘膜の健康維持にも役立っていますよ。ビタミンB2はホルモンを生成する甲状腺の活性化にも関わりがあり、不足するとホルモンバランスの乱れが起きて新陳代謝の乱れが生じます。冷え性や便秘、むくみにつながり痩せにくい体質になるといわれているため、ビタミンB2を積極的に摂取することはダイエットにも効果的ですよ。
◆ビタミンA
ウニの特徴的なオレンジ色はビタミンAが由来となっています。このビタミンAの色素を「エノキノン」と言い、オレンジ色が濃いものほど「エノキノン」が多く、ビタミンAが豊富で甘みも強くなるのが特徴です。ビタミンAには皮膚や髪の毛などの細胞を活性化させる作用があります。また、ビタミンAは網膜で光を感じる物質、ロドプシンを作ることができます。目の機能に大きく影響するため、「目のビタミン」と言われています。
ウニを食べる際に注意した方が良い点はある?
生のウニは100g中に塩分を0.6g含み、粒ウニは8.4g、練ウニは7.1gです。日本人の塩分摂取量は1食当たり3g前後を目指して減塩するような食生活が提唱されています。このことから特に粒ウニ、練りウニは食べ過ぎない方が無難でしょう。
※生ウニに塩をして熟成加工したものが「塩ウニ」。その中で粒が残っているものを「粒ウニ」、ペースト状にしたものが「練ウニ」です。
ウニのプリン体の量は100gあたり137.3mg。痛風や尿酸値を気にしている方にはタブーな食材です。適量を心がけましょう。 コレステロール量は100gあたり290mg。コレステロールの1日の摂取目安量は300mg以下が好ましいため、食べ過ぎは禁物です。
加工されたウニの特徴について
塩水ウニ
「塩水ウニ」は生のウニに近い状態のものである為、濃厚で甘味があります。食べる時は塩水を捨て水気を切ります。箱(折)ウニと比べると日持ちがしないため、開封後は当日中に食べましょう。時々塩水が濁っているものもありますが、箱(折)ウニのようにミョウバンで固めているわけではないため、表面が塩水に溶け出してしまったことに要るものです。
塩水に浸かってる分、塩分が生のウニに比べて高いため、気になる方は食べすぎないよう気を付けてくださいね。
箱(折)ウニ
「箱(折)ウニ」は保存料としてミョウバンを使用しているため、型崩れがなく長期保存に向きます。味は塩水ウニと比べるとミョウバン独特の風味があると言われますが、実際は旬や生産者の品質管理によって味が変わることも多いようです。
塩蔵・塩漬け
ウニの塩辛とも呼ばれます。「塩蔵」には原料を崩さず加工する粒ウニと、それを練りつぶして作る練ウニの2種類に大別されます。味つけにも特徴があります。北海道においては塩蔵のまま製品として流通するものが多いですが、九州地方ではアルコールも加えるなど、地方により多少の違いがあります。食べ比べてみても面白いですね。
ウニの種類とその特徴について
日本で食べられている主なウニをご紹介。ウニの旬は種類ごとに違い、見た目や味もそれぞれに異なる特徴を持っています。
エゾバフンウニ
エゾバフンウニは5〜7mmほどのやや短めの棘が特徴のウニです。身の色は鮮やかなオレンジ色です。旬の時期は7〜9月で、太平洋では福島県以北、日本海側では山形県以北、北海道全沿岸、沿海州、サハリンに分布します。バフンウニよりもサイズはやや大きめで、甘みが強く苦味が少ない味わいです。
キタムラサキウニ
キタムラサキウニは殻が厚く強固で、棘は16〜30mmと長いのが特徴のウニです。旬の時期は9〜11月と長く、太平洋側では相模湾から北海道まで、日本海側では対馬、朝鮮半島からサハリン南部までに分布します。身が大きく崩れにくいため、寿司ネタとしても多く使われています。
アカウニ
アカウニは名前の通り見た目が赤褐色で、平たい形をしたウニです。旬の時期は9〜10月で主に佐賀県と長崎県に分布します。身がしっかりしており、何より甘みが強く濃厚な味わいです。また、収穫量が他のウニと比較して少ないことから、高級食材としても知られています。
北海道のウニは美味しい!
北海道におけるウニの漁獲量は、日本全国のほぼ半分を占めており、1年を通してウニを楽しむことができます。旬のウニは身もたっぷり詰まっており、濃厚で甘みがあります。新鮮で美味しいウニを食べに、是非一度北海道へ来てみてはいかがでしょうか。
栄養を逃さないウニの美味しいレシピ2品
ウニを使ったレシピといえば、パスタや茶わん蒸しでしょうか。自分で作るとなると少々手間に感じてチャレンジしにくかったり、そのまま食べてしまうことが多いかもしれませんね。
今回はウニを使った「簡単だけど絶品」なレシピを紹介します。
◆うにバタートースト
ウニと海苔の磯の香りがふんわりと香るハイグレードなトーストです。白ワインのおつまみにもピッタリ!温かいトーストの上に生のウニをのせることでほんのり熱が伝わり、より甘みを増します。(1人分:300kcal/塩分1.2ℊ)
《材料(1人分)》
- 食パン 1枚
- 生ウニ(塩蔵ウニでも) 30~50ℊ(塩蔵の場合は量を調整)
- バター 5ℊ
- マヨネーズ 10ℊ
- 海苔 少々
《作り方》
- 食パンに薄くバターを塗り、マヨネーズを少量のせてスプーンで広げ十字に4等分し、こんがりトーストする。
- 海苔を細切りにし、焼きあがった食パンにまんべんなくかけてウニをのせる。
◆卵豆腐の生うに&ウニソース乗せ
ただ乗せるだけ!?と思うかもしれませんが、卵豆腐を温めることでウニの甘さがより引き立ちます。生うにと粒ウニ(塩漬け)のダブル使いを是非お試しあれ! (1人分:149kcal/塩分1.2ℊ)
《材料》
- 卵豆腐 1パック
- 生うに 3~4粒
- 彩りに青しそ 1枚
- (●)粒ウニ 小さじ1
- (●)生クリーム 大さじ1
《作り方》
- (●)の材料をよく混ぜ合わせてウニソースを作る。
- 卵豆腐をレンジなどで温め、皿に出す。
- 2の上にウニソースをかけ、粒ウニをかざる。お好みで青しそを添えて完成。
まとめ
ウニの種類やその栄養価について解説しました。美味しいだけではなく、身体に嬉しい栄養素が豊富なことが分かりましたね。栄養も旨味もたっぷりで魅力的な北海道を代表する海産物。食べ過ぎに気をつけながら、堪能しましょう。