【サクラマス】を食べよう!栄養&効能ガイド。旬の時期やおすすめの食べ方についてもご紹介

北海道食材の豆知識
Ayaka Izawa

Ayaka Izawa

フリーランスで管理栄養士の仕事をしながら、北海道栗山町の井澤農園で販売・営業を行い、地域の産品作りや食育などの地域おこし事業にも関わっています。 自称「農家フェチ」!

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桜の咲く時期にたくさん水揚げされることからその名が付いたといわれる『サクラマス(桜鱒)』。北海道の春の味覚を代表する魚であり、その味の良さと漁獲量の少なさから国内で水揚げされるサケ・マス類の中では高価とされ、大変人気があります。今回は管理栄養士の筆者が栄養素とその効能に注目して詳しく解説。刺身や塩焼きなどおすすめの食べ方から選び方、食べる際の注意点についてもご紹介します。

【サクラマス(桜鱒)】について詳しく知ろう

川を遡上するサクラマス

北海道や東北地方に住んでいる人にとっては、そこそこ認知度の高い「サクラマス」。逆に、関東以南の方にはあまり馴染みのない魚と言えるかもしれません。 まずはどんな魚なのか、その概要について詳しく紹介します。

◆【サクラマス(桜鱒)】とは

「サクラマス」はサケ目サケ科サケ属の中型の魚です。見た目は鮭にそっくりで、サイズは2回りほど小さめ、最大で60cmほどになる魚です。川で生まれて海に降りていく「降海型」の魚で、サクラマスの中でも河川に残って海に出ることなく一生を送るものが「ヤマメ」や「アマゴ」と呼ばれています。
背部は暗い青色をしており体側は銀白色、背面と背びれ、脂びれ、尾びれに黒点があります。まれに体高が高い個体が漁獲され、「イタマス」と呼ばれます。
秋から冬にかけて漁獲される口の周りが黒い個体は「クチグロ」と呼ばれます。

日本海、オホーツク海、北太平洋に分布しており、海洋で1年過ごした後生まれた河川の近くに戻り、6〜7月に遡上します。北海道での産卵期は9月中旬ごろで、稚魚は11〜12月に孵化し、その後1年半を河川で過ごして海に降ります。
漁獲量は全国の中で北海道が1位です。 桜が咲く頃に漁獲されることや、発情期になると体が桜色になることから「サクラマス」という名前がつけられました。とても風流で日本らしい名前ですよね。

◆旬の時期と身質や味の特徴

サクラマスの旬は春から初夏、4月〜6月にかけての海から川へ遡上するシーズンです。この時期に最も多く漁獲され、脂が乗って一番美味しいと言われています。国内で水揚げされるサケ・マス類の中でも希少性が高くて高価な種類です。身は薄いピンク色でしっとりしており柔らかいのが特徴。一般的によく食べている鮭(シロザケ)よりも体全体に脂質が多いため、焼き物にするととろける食感を楽しめます。

◆地域名・別名について

サクラマスはアイヌ語では「サキべ」、「イチャニウ」、「ナイコッチェプ」などと呼ばれています。また、岩手県ではママス(真鱒)、流通業界ではホンマス(本鱒)、その他にクチグロ、ギンマスとも呼ばれることがある魚です。

◆【シロザケ(アキサケ・アキアジ・トキシラズ)】との違いは?

シロザケ,鮭

最も一般的で焼き魚としてよく食べているシロザケ(アキサケ・アキアジ・トキシラズとも呼ばれる)との違いはどこにあるのでしょうか。
生物学上では、サクラマスはサケ目サケ科タイヘイヨウサケ属に区分され、サケはサケ目サケ科サケ属に区分される、ともに「降海型」の魚です。 どちらの魚も川で孵化し、生まれた川に戻ってくるという習性を持ちますが、明らかな違いはサクラマスは約2年間河川である程度大きくなるまで過ごした後に海に出る」のですが、シロザケは孵化するとほぼすぐに海に向かう」という点です。

サクラマスのステーキ

【サクラマス】の栄養成分とその効能

北海道産サクラマスの切り身

サクラマス100gあたりエネルギーは161kcal、タンパク質は20.9g、脂質は7.7g、炭水化物は0.1g含みます。サクラマスはサケの仲間であるため、サケと同様な栄養素を多く含みます。ここではサクラマスに含まれている栄養素とその働きについて、管理栄養士の資格を持つ筆者が解説します。

◆DHAとEPA

サクラマスにはDHA(ドコサヘキサエン酸)EPA(エイコサペンタエン酸)という不飽和脂肪酸が含まれています。魚油に多い成分なのですが、人体に有用な働きを持つことから注目されています。DHA・EPAはコレステロール値を下げたり、血栓や動脈硬化を予防する効果が期待できます。

◆ビタミンD

サクラマスには100g中に10μgのビタミンDを含みます。ビタミンDは1日の目安量として8.5μgの摂取が薦められてるため、サクラマスの含有量の多さがわかりますね。 ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨や歯の形成に役立ちます。キノコ類や魚類に多く含まれます。ビタミンDは脂溶性の栄養素であるため、脂質を適度に含んでいるサクラマスはビタミンDの補給源としておすすめの食材です。

◆ビタミンE

ビタミンEは抗酸化力の強いビタミンです。体内の細胞や食事から摂取した栄養素の酸化を防ぐ働きがあります。サクラマス100gにビタミンEを2.3mg含みます。摂取目安量は1日6.5gほどであるため、サクラマスを100g食べることで1/3日分のビタミンEを摂取することが可能です。

◆アスタキサンチン

サクラマスはサケと同様に、身にプランクトン由来の赤色の色素を蓄積する特性を持つ白身魚です。アスタキサンチン抗酸化作用が強い色素であるため、サプリメントなどにも利用されるなどして注目を浴びている成分です。

食べ方色々。魅力的なサクラマス料理

ここまででサクラマスに含まれる栄養価をお伝えしました。DHAやEPAなど体に嬉しい働きを持つということがわかりましたね。次は美味しい食べ方や料理を紹介します。

《刺身》

北海道産サクラマスの刺身

サクラマスの刺身はトロッとした柔らかい身に、ふんわりと川魚のような香りが合わさり大変美味しいです。ただし、サクラマスには「アニサキス」という厄介な寄生虫が住んでいる場合が多いため、鮮魚を購入して刺身にする際は必ずマイナス20℃以下で24時間以上冷凍してから味わいましょう。後半に紹介する北海道ならではの食べ方である「ルイベ」にしてから刺身を楽しむというのも安全でおすすめできます。

《焼き物》

北海道産サクラマスの塩焼き

サクラマスの塩焼き干物も、よく食べられている料理です。塩焼きはシンプルイズベスト、素材の味を楽しむためにはぜひ一度試していただきたい食べ方です。普段食べている鮭に比べて脂が乗っていて、ジューシーでやわらかな身の食感と強い旨みを楽しむことができますよ。干物(一夜干し)にするとさらに旨味がしっかりするため酒の肴にもぴったりです。

《ちゃんちゃん焼き》

サクラマスのちゃんちゃん焼き,北海道の郷土料理

北海道の郷土料理の一つである「ちゃんちゃん焼き」。キャベツや玉ねぎ、にんじん、キノコ類と一緒にサクラマスを蒸し焼きにし、味噌と味醂・砂糖を合わせたタレをかけて食べる料理です。蒸し焼きにすることで身がふんわり柔らかく仕上がり、とても食べやすいですよ。

《ルイベ》

サクラマスのルイベ

サクラマスの「ルイベ」は筆者が一番好きなサクラマス料理です。「ルイベ」とは、北海道に古くから住んでいるアイヌ民族も食べていたという魚料理です。魚料理と言っても、切り身を生のまま凍らせるだけ。凍ったまま薄くスライスして食べたり、スライスした後に解凍してから刺身のように味わう食べ方です。
筆者は冷蔵庫でゆっくり解凍させたルイベが好きです。サーモンより脂がくどくなく、さっぱりと食べられることが魅力です。

【サクラマス】を食べる際の注意点について

三枚におろしたサクラマス,まな板の上の北海道産の桜鱒

サクラマスは食べる際に注意が必要な魚です。以下の点に注意し、安心安全にサクラマス料理を楽しんでください。

◆未冷凍の生食は「アニサキス」に注意

サクラマスの内臓や肉にはアニサキスが潜んでいることが多いです。そのため、生食は避けるようにしましょう。「加熱調理用」や「生サクラマス」と書かれている場合は、しっかり加熱してから食べるようにしましょう。
刺身で食べたい場合は鮮度が良いものを目利きし、ルイベ(マイナス20℃以下で24時間以上冷凍)にしてから召し上がってください。

新鮮なサクラマスの選び方

目の透き通った新鮮な北海道産のサクラマス

サクラマスに限らず、新鮮な魚を選ぶポイントは弾力があって目が濁っていないこと。エラが鮮やかな色をしているかどうかも鮮度を見る基準となります。脂乗りの良いサクラマスを選ぶポイントは大きくて太ったサクラマスを選ぶこと。「イタマス」と呼ばれている体高の高いサクラマスは脂乗りに間違いありませんが、少々値が張ります。

まとめ

春の味覚「サクラマス」について紹介しました。全国1位の漁獲量を誇る北海道ではとても美味しい魚として知られており、旬の時期には小売店の鮮魚コーナーにたくさん並びます。サクラマスはルイベ(冷凍)にすることで鮮度を保ちながらいつでも楽しむことができるため、お祝い事の時にルイベを切って刺身のようにして食べることもあります。春のお祝い事やパーティーにサクラマス料理を並べてみてはいかがでしょうか!

北海道産サクラマスの刺身

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