【いちご】を食べよう!栄養&効能ガイド、“ビタミンCの女王”といわれる果実は生食がおすすめ。品種ごとの特徴や選び方についてもご紹介

北海道食材の豆知識
Misato Watanabe

Misato Watanabe

調剤薬局で事務兼管理栄養士として従事していました。その後お菓子メーカーに勤め、現在は苫小牧市で1歳児子育て奮闘しながら、鮮魚店で日々新鮮な魚をお客様にお届けしています!

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鮮やかな赤色と爽やかな酸味でケーキやデザート、ジャムなどの加工品として大人気の「いちご」。近年は品種改良で果実が大きく甘いものから白い見た目のものまで出てきて、日常だけでなく特別な贈り物としても楽しませてくれる果実です。今回は管理栄養士の筆者がいちごの栄養素とその効能について詳しく解説。特に「ビタミンC」に注目し、効率的に摂取できる食べ方や選び方、保存方法についてもご紹介します。

【いちご】について詳しく知ろう

いちご畑,完熟イチゴ

いちごは、日本でも昔から親しまれている果物の一つですが、その起源はアメリカ大陸にあるとされています。また果物なのか野菜なのかで話題になることもしばしば。最近は大福やフルーツサンドが人気になり、食べる楽しみがどんどん増えてきましたね。詳しい栄養素とその働きを紹介する前に、まずはいちごの歴史や豆知識についてご紹介します。

いちごの起源とは?

「いちご」はバラ科オランダイチゴ属の植物です。野生種としての原産地はアメリカ大陸とされていますが、現在において私達が食べている栽培いちごは、18世紀中期のオランダで野生のバージニア種(北アメリカ東部原産)とチリー種(南アメリカ西海岸原産)が交雑したものが起源といわれています。日本では平安時代に執筆された「枕草子」に野生種イチゴの利用についての記述がありますが、栽培種は江戸時代末期の1850年にオランダ人から伝わり、1893年頃から外国品種を使った営利栽培が始まったと推定されています。真っ赤で甘酸っぱいいちごは世界中で愛されており、生でそのまま食すのはもちろん、デザートやケーキに使われたり、冷凍・缶詰・ジャム・ジュース・ゼリーといった幅広い加工品に利用されています。

いちごは野菜?それとも果物?

いちごは農林水産省の作物の統計調査において「野菜」に含まれています。ただし、実際は果物と同様に食べられていることから「果実的野菜」とも呼ばれています。果実的野菜はいちごのほかにメロンスイカも該当します。

国内の栽培品種は300種類以上!

いちごは世界各国で食べられていますが、生食での消費量は日本が世界一だとも言われております。日本のいちごは品種改良が重ねられ、現在300種類もの品種が登録されており、世界全体の品種の半分以上が日本のものだという説もあります。日本のいちごは海外でも人気が高く、輸出も増加傾向にあります。

【いちご】の栄養成分とその効能について

美味しそうないちご,苺の断面

いちご(生)100gあたり34kcal、タンパク質0.9g、脂質0.1g、炭水化物は8.5g、うち食物繊維は1.4gです。ビタミンCが豊富なほか、葉酸、ポリフェノール、食物繊維のペクチンなど体に嬉しい栄養素がいちごには含まれています。

◆ビタミンC

いちご100gあたりビタミンCは62mg。いちごは果物の中でも特にビタミンCが豊富で、「ビタミンCの女王」とも言われてます。いちごのビタミンC量はみかんやグレープフルーツの約2倍。レモンにはビタミンCの含有量は及びませんが、いちごは食べる直前に水洗いをするだけで食べることができ、5〜6粒食べると1日の必要量を摂ることができるため、手軽にビタミンCを摂取するにはもってこいの食材です。ビタミンCはタンパク質から皮膚を丈夫にするコラーゲンを合成し、美肌作りに必要不可欠な栄養素です。その他にも免疫力を高めたり、鉄の吸収を助ける効果も期待できます。ビタミンCは水溶性で熱に弱く、2〜3時間で排泄されるため、毎食補うことが大切。生のまま食べることがメインのいちごは、ビタミンCを摂取するのに適した食材と言えるでしょう。

◆葉酸

いちご100gあたり葉酸は90μgと、果物の中でも特に多く含まれています。葉酸はビタミンB群の一種で、ビタミンB12と協力して赤血球を作ったり、タンパク質やDNAを合成し、体の発育を促します。特に妊婦は赤ちゃんの成長に必要な栄養素であるため、成人の摂取量の2倍は摂るよう心がけましょう。

◆アントシアニン

いちごの果肉にはポリフェノールの一種であるアントシアニンが含まれています。含有量は品種によって差がありますが、強い抗酸化作用があり、活性酸素の害から細胞を守る働きが備わっています。アントシアニンは青紫色の色素で、目の働きを高めて疲れ目や視力を回復する効果が期待できます。

◆ペクチン

いちごには食物繊維の一種であるペクチンが豊富に含まれています。ペクチンは腸内環境をよくして、便秘予防や大腸ガンの予防効果もあります。また、糖質の吸収を緩やかにする、コレステロール値の上昇を抑えるなど生活習慣病予防にも役立ちます。 いちごに砂糖を入れて煮詰めるととろみがつくのは、このペクチンが作用するためです。

【いちご】に豊富に含まれる「ビタミンC」を逃さない食べ方

いちごを水洗いする,水の中の新鮮なイチゴ
Fresh strawberry

①水洗いはヘタを取る前にする

いちごに含まれるビタミンCは、ヘタの部分に一番つまっています。ビタミンCは水溶性で水に溶け出してしまうので、水洗い後にヘタを取ることでビタミンCの流出を防ぎましょう。

②脂肪分を含む食材と一緒に食べる

ビタミンCは脂肪分を含む食材と合わせて摂ることで吸収率が高まります。そのため、脂肪分を多く含むヨーグルトや練乳と合わせると効果的です。さらに、プルーンなど鉄分が多いものを合わせることで貧血予防の効果も期待できます。

③ジャムは美味しいけどビタミンCを摂るなら生食が一番!

いちごに含まれるビタミンCは、加熱するとそのほとんどが失われてしまいます。イチゴを加熱したジャムなどの加工品は美味しいですが、栄養面を考慮すると生で食べることをおすすめします。

加熱したジャムには栄養がないの?

いちごジャム作り,フライパンに入った苺を加熱

いちごに含まれるビタミンCや葉酸、カリウムは加熱過程で失われますが、食物繊維の一種であるペクチン、アントシアニン、炭水化物などの栄養素は、生のいちごとほぼ変わらず摂取することができます。さらに加熱することで糖が変化し、メラノイジンという成分が生まれて強力な抗酸化作用を発揮してくれます。いちごジャムの食べ過ぎは砂糖の過多で健康面には注意が必要ですが、加熱することで得られる栄養成分があるということも覚えておくと良いでしょう。

“赤い”いちごと最近流行りの“白い”いちご、栄養に違いは?

赤いイチゴと白いイチゴ,白いちご

白いちごは品種改良の過程で偶然生まれたもので、果実が赤くなることなく完熟したものです。2009年に品種登録された「初恋の香り(山梨県)」という品種のほか、「天使の実(佐賀県)」や「淡雪(鹿児島県)」など現在10種類ほどが市場に出回っており、1粒200円〜1000円と普通の赤いちごの倍以上の値がつく高級品です。赤いちごと栄養に違いはほとんどありませんが、色素の素であるアントシアニンが含まれない、もしくは極少量であるため、眼精疲労の効果は期待できません。

美味しい【いちご】の選び方とおすすめの保存方法

畑で採れたての苺を両手で持つ

《選び方》

ヘタの色が濃く、鮮やかで萎れてないものが新鮮ないちごの証です。また、色がヘタの根本から先端まで均一に色づいており、艶と張りがあるものを選びましょう。

《保存方法》

いちごは日持ちしないため、なるべく早く食べきりましょう。冷蔵する場合は水洗いをすると傷みやすくなるので、ヘタをつけたまま洗わず、いちご同士が重ならないよう野菜室で保存しましょう。量が多くて食べきれない場合は冷凍がおすすめ。水洗いしてからへたを取り、水分を拭き取った後にフリーザーバックに入れて保存します。冷凍したいちごはジャムやスムージーにすると生のいちごで作る時より滑らかにできておすすめです。

代表的な品種の特徴を知ろう

日本で栽培されているいちごの品種はおよそ300種類。ここでは代表的な品種の紹介をいたします。

《あまおう》

あまおう,福岡県のいちご

「甘い。丸い。大きい。うまい。」の頭文字から名付けられたあまおう。「甘いいちごの王様」になれるように」という意味も込められております。サイズが大きいのが特徴で、丸みがあり、1粒20gを超える大粒のものがよく見られます。品質が低下しないよう、あまおうの栽培ができるのは基本的に福岡県内の生産者のみと限られています。

《紅ほっぺ》

紅ほっぺ,静岡県産のいちご

紅ほっぺは静岡県内で育成されてる品種です。果肉が綺麗な紅色であること、ほっぺが落ちそうなほど美味しいという意味が込められています。果肉はやや硬めで、甘味と酸味がどちらも強く、いちご本来の甘酸っぱさを体感できる品種です。

《とちおとめ》

とちおとめ,苺

とちおとめは栃木県を中心に生産され、平均15gの食べやすい大きさ、果肉は真っ赤で甘味と酸味のバランスが良いのが特徴です。スーパーなどによく流通しており、手に入りやすい品種です。香りが強く、断面が綺麗なため、ケーキなどにもよく使われています。

《さちのか》

さちのか,苺

2000年に品種登録されたさちのかは、濃い赤色で光沢があり、サイズがやや大きめの円錐形で食べ応えがある品種です。果肉が硬めで輸送性も良好です。また、他のいちごに比べてビタミンCの含有量が100gあたり80mgと多く、栄養面でもメリットがあります。

《さがほのか》

さがほのか,苺

さがほのかはその名の通り佐賀県で生まれた品種です。果実はやや大きめで、甘みが強く酸味が控えめな品種で、日持ち性に優れたいちごです。イメージキャラクターとして「リカちゃん」を起用したことでも有名です。

《初恋の香り》

初恋の香り,白いイチゴ

初恋の香りは白いちごの先駆けとなった品種です。山梨県の種苗会社「三好アグリテック」と福島の育種者によって共同開発され、1989年から20年の歳月を経て2009年に品種登録されました。熟しても赤くならず、果皮は白色〜淡いピンク色で、甘みがあり酸味穏やかです。生産量が他の品種と比較するとあまり多くありません。

北海道の【いちご】も食べよう

いちごは周年供給可能な果物ですが、北海道では燃料費の関係で、本来の旬である5〜6月の時期のいちご栽培が一般的となっています。道内の品種では「けんたろう」が主力ですが、北海道産夏の生食用いちごとして、「夏瑞(なつみずき)」が2016年から生産開始されるなど、注目が集まっています。
また、北海道にはエゾヘビイチゴという野生種が自生しています。いわゆるワイルドストロベリーで、多年草のハーブです。鮮やかな果色とフルーティな香りが特徴的で、果実はジャムに、葉はハーブティーにもなり、今後北海道の特産品としての利用が期待されています。

まとめ

いちごの歴史、栄養素とその効能、品種ごとの特徴についてお伝えしました。美味しいだけでなく、ビタミンCを手軽に補給できることが魅力的ないちご。品種も豊富なので、食べ比べもおすすめです。普段不足しがちな栄養素を豊富に含むため、旬の時期はお菓子などの代わりにいちごを食べるなど、日々の食習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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