リコピンたっぷりのトマトについて管理栄養士が詳しく解説

北海道食材の豆知識
Ayaka Izawa

Ayaka Izawa

フリーランスで管理栄養士の仕事をしながら、北海道栗山町の井澤農園で販売・営業を行い、地域の産品作りや食育などの地域おこし事業にも関わっています。 自称「農家フェチ」!

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生でも加熱してもおいしいトマト。世界中で愛されるトマトは栄養価が高く、毎日食べたい野菜の一つです。

βカロテン、葉酸、ビタミンCも豊富なトマトですが、トマトに含まれる栄養素の代表格として有名なのが「リコピン」です。リコピンは強い抗酸化作用を持つトマトの赤い色素です。リコピンはちょっとした工夫でより吸収率が上がるため、トマトの栄養素を無駄なく摂取できるポイントも紹介します。

トマトの種類

大玉・ミニサイズなどカラフルなトマト

トマトには大きく分けて「ピンク系」と「レッド系(赤系)」の2種類があります。あまり聞き慣れないかもしれませんが、果肉の色の濃さでこの2種類に分かれるのです。

ピンク系は主に大玉トマト。完熟で収穫するときには赤くなりはしますが、輸送中に傷んでしまったり柔らかくなりすぎてしまうため、緑色にややピンク色が出てから収穫され、スーパーに並ぶまでに赤くなります。果肉の色も真っ赤まではいかずにやや薄い赤色で、レッド系よりも栄養価が低いです。

レッド系はミニトマトや中玉トマト、調理用トマトのように真っ赤な状態で収穫する小ぶりなトマトです。比較的、果肉や皮がしっかりしているため柔らかくなりすぎる心配が少ないトマトです。木に成っている間にしっかり栄養を蓄えることができるため、ピンク系よりも栄養価が高く、レッド系の方が甘みや旨味が強いのが特徴です。

トマトジュースに加工されるトマトのほとんどが加工用のレッド系なため、トマトジュースは真っ赤なことが多いですが、まれにやや色の薄いピンク系のトマトジュースもあります。レッド系は旨味が強いためゴクゴク飲むには飲みづらいものもあるのですが、ピンク系のトマトジュースは爽やかな甘さで青臭さも少なく飲みやすいですよ。

トマトの栄養価

輪切りにカットした大玉トマト

・大玉トマトは100gで19kcal、タンパク質は0.7g、脂質は0.1g、炭水化物は4.7g、食物繊維は1.0g。
・ミニトマトは100gで29kcalタンパク質は1.1g、脂質は0.1g、炭水化物は7.2g、食物繊維は1.4g。

大玉トマトよりもミニトマトの方が栄養価が高い野菜ですが、含まれる栄養素の種類はほぼ同じです。トマトに含まれる栄養素の働きを紹介します。

栄養素①体を若々しく保つ《リコピン》

トマトの栄養素リコピン

リコピンはトマトの赤い色素で、強い抗酸化作用を持つ物質でもあります。体内の細胞を酸化(老化)から防ぐことで、生活習慣病の予防やダメージを受けた個所を回復させる働きを持ちます。具体的には、血管のしなやかさを保つ働きや、肌を紫外線から守り白い肌を保つ働き、がんの予防などの働きをします。
より赤いトマトの方がリコピンを多く含むため、ピンク系よりもレッド系の方が含有量が多くなります。
リコピンは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に摂取すると吸収率が高まります。また、加熱するとより吸収されやすい形に変化し、玉ねぎやニンニクに含まれる硫化アリルも吸収を助けます。ニンニク入りの魚介とトマトのパスタや、玉ねぎ入りの鶏肉のトマト煮などにすると無駄なくリコピンを摂取できますね。

栄養素②免疫力を高める《β-カロテン》

トマトの栄養素βカロテン

β-カロテン(ベータカロテン)は免疫力のアップや粘膜の健康を保つ働きをします。
β-カロテンが100gあたり600μg以上含まれる野菜を特に「緑黄色野菜」と分類し、栄養価が高い野菜といえます。大玉トマトは100gあたり540㎍、ミニトマトは960㎍含むことから、ミニトマトはしっかり緑黄色野菜の仲間です。かといって大玉トマトは緑黄色野菜ではないかというと、β-カロテンの摂取食材としては一度に食べる量が多いことから、緑黄色野菜と定義されることが多いです。

栄養素③胎児の成長に必要な《葉酸》

トマトの栄養素「葉酸」

大玉トマトには100g中22㎍、ミニトマトには35㎍の葉酸が含まれています。
葉酸は成人で1日240㎍摂取することを推奨されており、妊婦はその倍の量、妊娠を望む女性には400㎍の付加摂取が推奨されています。妊婦や妊娠を望む女性に葉酸が多く必要な理由は、胎児の神経管の発達に必要と言われているためです。
また、葉酸は正常な血液を作るために必要な栄養素で、不足すると貧血の原因にもなります。

栄養素④美容を保つ《ビタミンC》

トマトの栄養素ビタミンC

大玉トマトには100g中15㎎、ミニトマトには32㎎のビタミンCが含まれています。
ビタミンCは成人で1日100㎎の摂取を推奨されている栄養素です。
美容のためにコラーゲンを摂取している人もいるかもしれませんが、コラーゲンは一度消化されアミノ酸に分解されてしまいます。そのままだとコラーゲンはアミノ酸として体内で消費されてしまうのですが、ビタミンCがあることでコラーゲンの肌や軟骨付近での再合成が可能になります。 他にも、抗酸化作用や免疫力を高める働きを持つ栄養素です。

トマトは1日どれくらい食べると良い?

たくさんの真っ赤なミニトマト

トマトは薬ではないので、1日に食べるべき量、食べ過ぎになる量は定まってはいません。しかし、トマトは夏野菜でカリウムがそこそこ多く含まれているため、食べすぎると体を冷やし過ぎてしまうこともあります。

冷えが気になる人は、生姜や根菜などの体を温める働きを持つ食材と組み合わせて食べたり、体質や気温・体調を考えて食べ過ぎには注意しましょう。

まとめ

トマトの栄養価について詳しく説明しました。ピンク系とレッド系、栄養価が高いのはレッド系ということがわかりましたね。大玉トマトのみずみずしさやさっぱりとした甘さと酸味、ほんのり香る青いトマトの香りも捨てがたいですが、より多くの栄養素を補給したいならミニトマトがおすすめです!

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