完全栄養食【卵】のすごい栄養素とその働き。生と茹で、種類による違いを徹底解説!

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Ayaka Izawa

Ayaka Izawa

フリーランスで管理栄養士の仕事をしながら、北海道栗山町の井澤農園で販売・営業を行い、地域の産品作りや食育などの地域おこし事業にも関わっています。 自称「農家フェチ」!

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豊富な栄養素をバランスよく含む「卵」は完全栄養食品として知られ、牛乳や大豆と並びアミノ酸スコア100の優れた食品です。そんな「卵」が含む栄養素の効果や働きはもちろん、黄身と白身、生のままと茹でた後、そして種類による違いについても管理栄養士の筆者が詳しく解説。普段の食生活に卵を取り入れて、美味しく健康的な毎日を過ごしましょう!

卵に含まれる栄養素とカロリー

卵を割って白身と黄身を分ける

鶏卵の全卵1個(可食部50g)当たりの栄養価はエネルギー76kcal、タンパク質6.2g、脂質5.2g、炭水化物0.2g、食物繊維は0gです。食物繊維は植物性の食品に多く含まれます。

卵は完全栄養食品と言われ、古くから滋養強壮や大切なタンパク源として重宝されてきました。

◆完全栄養食品とは

冒頭で「卵は完全栄養食品だ」と述べましたが、完全栄養食品とはどんな食品のことを言うのかを解説します。

完全栄養食品とは、人間の生命維持のために必要なありとあらゆる栄養素をバランスよく含む食品のことです。卵はタンパク質、脂質が豊富であるとともに、リン、カルシウム、亜鉛、鉄などのミネラル、ビタミンA・B1・B2・D・Eなどを含みます。 ただし、ビタミンCと食物繊維は含まれていないため、不足分は野菜や果物などから摂取する必要があります。「卵だけ食べればよい!」という訳ではないので注意してください。

◆アミノ酸スコアとは

タンパク質は「アミノ酸」という小さな単位が集まって構成されています。アミノ酸スコアとは、その食品に含まれている必須アミノ酸の種類の割合を数値で示したものです。必須アミノ酸は体内で作り出すことができない、食品から摂取する必要があるアミノ酸です。100に近づくほどバランスが良く、1種類でもバランスが崩れるとスコアはガタっと落ちてしまいます。

1食のメニューの中で様々な食品を摂取することでアミノ酸スコアを整えることは可能ですが、卵は既にアミノ酸スコアが100なのでアミノ酸のバランスを心配する必要がない食品です。

卵黄(黄身)の栄養素とその働き

卵黄,レモンイエロー色の黄身

卵の黄身1個(16g)当たりの栄養はエネルギー62kcal、タンパク質2.6g、脂質5.4g、炭水化物0.2g、食物繊維は0gです。

黄身(16g)の中にはカルシウムが24㎎、リンが91㎎、鉄が1.0㎎、亜鉛が0.7㎎含まれています。ビタミン類はビタミンAが77μg、ビタミンDが0.9μg、ビタミンEが0.5㎎、ビタミンB1が0.03㎎、ビタミンB2が0.08㎎、ビタミンB6が0.04㎎、ビタミンB12が0.5μg、葉酸が22μg含まれています。

◆ビタミン

卵の黄身にはビタミンが豊富に含まれています。ビタミン類は体の調子を整える働きを持ちます。中でもビタミンAは免疫力の向上や、視力の維持、皮膚などの粘膜を健康に保ちます。

このほかにも卵にはビタミンB群が多く含まれています(葉酸もビタミンB群の仲間)。ビタミンB群はタンパク質、脂質、糖質の代謝にかかわり、貧血の予防や正常な細胞分裂を助ける働きも持つ栄養素です。

◆ミネラル

卵の黄身には鉄、亜鉛、リン、カルシウムが含まれています。白身にはほぼ含まれておらず、卵からのミネラルの補給を期待するのであれば黄身を積極的に食べるようにしましょう。

リンとカルシウムは骨や歯の健康を維持し、鉄は血液中の赤血球を作る栄養素、亜鉛は味覚を正常に保つ栄養素です。

◆脂質

じつは、卵の黄身には脂質が多く含まれています。茹で卵にした際も、黄身だけ食べると濃厚でねっとりとした舌触りが楽しめると思いますが、それが脂質によるものです。

筋トレをしてたくましい筋肉をつけている人が卵の白身だけをがぶ飲みしているシーンを見たことがあるかと思います。あれは卵の黄身の脂質を極力摂りたくないけれど、白身に含まれるタンパク質を摂取したいから。脂質の摂りすぎは中性脂肪に響きますが、適量であれば体を動かすエネルギーとして必要な栄養素です。

卵白(白身)の栄養素とその働き

卵の白身,卵白

卵の白身1個分(34g)当たりの栄養はエネルギー16kcal、タンパク質3.6g、脂質0g、炭水化物0g、食物繊維は0.1gです。 白身(34g)の中には鉄や亜鉛は含まれておらず、ビタミン類はビタミンB2が0.13㎎含まれているもののほかの栄養素はごく微量です。

◆タンパク質

卵の白身にはタンパク質が多く含まれています。タンパク質は体を動かすエネルギーになるだけでなく、筋肉や骨、内臓、髪の毛や爪などの体の組織を作るために必要不可欠な栄養素です。タンパク質が不足するとむくみや筋肉量の低下などが起こります。

◆カリウム

カリウムは体内の塩分と水分のバランスをとり、むくみを改善する働きを持ちます。他にも神経伝達や筋肉を動かすときの信号にもかかわっています。 カリウムが不足することは少ないですが、加工食品を食べることが多い人は積極的に摂るべき栄養素です。カップラーメンやインスタントラーメンに卵を落として食べるだけでも様々な栄養価が改善されます。

◆カラザについて

 卵の白身と黄身の間にある白いひも状の物質を「カラザ」と言います。カラザは命の源でもある卵黄が傷つかないよう、卵の中心にあるようにつなぎとめる役目を持ちます。

カラザはプリンや茶わん蒸しのようななめらかな料理に入れると舌触りが悪くなるため取り除く場合もありますが、体には害は無くむしろカラザも卵同様に栄養素を含む部分であるため食べた方が良い部位です。

卵のサイズや種類による栄養価の違い

卵には小さめの卵から黄身が2つ入った「双子」の卵など大きさも様々。これは、卵を産み始めた若鳥だと卵が大きくて双子が混じる可能性も高く、年を重ねるにつれ卵を産む量も少なくなり、卵自体の大きさも小ぶりになると言われています。

また、鶏だけでなくウズラの卵や烏骨鶏の卵など、種類によっての栄養価も調べてみました。

①サイズで栄養素を含む量に違いはあるか

大小様々なサイズの卵

基本的に卵1個当たりのサイズが変わると黄身や白身も多くなり、1個当たりに含まれる栄養素は変わります。しかし、可食部1個80gの卵と、2個で80gになる卵ではほぼ栄養価に違いはないと言えます。ただし、卵の個体差で若干卵黄と卵白の量のバランスも変わってくるため、すべての卵が同じ栄養価だとも言えません。

②殻の色の違いで栄養価に違いは?

白い卵と茶色の卵

卵の殻の色では中身の栄養価に違いはありません。卵の殻の色は、親鶏の種類(品種)で決まるため、エサの種類や親鶏の栄養バランス、卵自体の栄養価では左右されません。

赤い卵の方が値段が高いことが多いため、栄養価や美味しさにも期待されることが多いのですが、栄養価には差はないです。

③無精卵と有精卵は?

無精卵と有精卵にも栄養価には差はありません。これも、同じ卵であるのだから含まれる栄養素やその量には差は出ないということです。

④黄身の色による違いは?

黄身の色による栄養価の違いは「少しある」と言えるでしょう。卵の黄身の色は、親鳥が食べる飼料によって変わります。とうもろこしやかぼちゃ、パプリカパウダーなどの色が濃い緑黄色野菜をエサに混ぜている鶏の卵は緑黄色野菜由来の「カロテン」という色素が黄身に反映され赤みを帯びます。逆に、緑黄色野菜を食べていない鶏の卵は黄身が白っぽくなります。

色素にも健康効果があるため、色素が含まれている黄身の方が栄養価は高いと言えます。

⑤ウズラの卵と烏骨鶏の卵の栄養価

ウズラの卵の場合は可食部50gあたり90kcalと鶏の卵よりも高カロリーです。タンパク質と炭水化物の含有量は変わりませんが、脂質が50g中に6.6gと1ℊ以上多く含まれています。烏骨鶏の卵も可食部50gあたり88kcalでこちらも鶏卵より脂質が多く含まれています。

脂質の含有量が高いということは、同じ卵料理でもウズラの卵や烏骨鶏の卵を使ったほうがコクが出てリッチな味わいを楽しめるということになります。

脂質以外の栄養素も鶏卵よりもウズラの卵や烏骨鶏の卵の方が多く含まれているため、鶏卵よりもウズラの卵と烏骨鶏の卵の方が栄養価が高いと言えます。

生卵とゆで卵、どちらを食べるべき?

生卵と茹で卵、どちらを食べた方が健康に良いかという質問には「どちらにも利点があるよ!」と答えさせていただきますね。

栄養価にはそれほど違いはありませんが、加熱すると熱に弱いビタミン類は減少してしまいます。ビタミンB群は熱に弱い栄養素です。

また、卵白は生のまま加熱しすぎると消化に時間がかかり栄養素の吸収率が下がります。茹で卵だと半熟くらいの加熱で消化が良くなりますよ。

食べ過ぎには注意が必要?1日何個までが適量か。

茹で卵のサラダ

「卵は1日1個まで」と言われた経験がある人もいるはず。これは昔のテレビ番組やCMの影響から、卵に含まれるコレステロールの量を気にしていたためです。

現代では、人間は自ら体内でコレステロールを作ることと、コレステロールの量をコントロールする機能が備わっていることが判明したため、卵を1日1個以上食べても健康に被害はないと言われています。ただし、極端に卵ばかりを食べる生活は健康を害する可能性があります。また、血液中のコレステロール値を気にしている人や、医師からの食事制限がある人は食べ過ぎには注意しましょう。

卵の栄養に+α

卵は脂質を含む食品なため、脂溶性ビタミンを多く含む食品との相性が良いです。脂溶性ビタミンはビタミンA、D、E、Kです。これらのビタミンを含む食品と一緒に卵を摂取することで、ビタミンの吸収率が高まります。
ビタミンAを多く含む食品は動物のレバーや緑黄色野菜、ビタミンDはきのこ類、ビタミンEはナッツ類、ビタミンKは豆製品や緑黄色野菜、海藻類などに多く含まれます。

まとめ

卵は栄養価が高くてバランスが良い優秀な食品だということが分かりましたね。

卵自体の大きさによって栄養価は変わらないのですが、鶏が食べる飼料や環境によって味が変わるため様々な種類の卵を食べ比べしてみると面白いですよ。

普段の食生活に積極的に卵を取り入れることをおすすめします!

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