日本において「餃子」は、もはや国民食と言っても過言ではないほど、私たちの食文化に深く根付いています。家庭の食卓から居酒屋のメニューまで、日本中どこでも愛されている餃子の魅力について、管理栄養士の筆者が栄養素やその効能を中心に深堀り解説。餡に使うキャベツと白菜とニラの違い、健康志向の食べ方も紹介します。この記事を読めばもっと餃子を食べたくなるはずです。
目次
【餃子】について詳しく知ろう
子供から大人まで人気のメニューである餃子。冷凍やチルドの市販品がスーパーやお取り寄せで手に入ることから、「ちょっと楽しようかな」「一品加えよう」「おつまみにしよう」と気軽に調理できる優れものですよね。一見シンプルな料理ですが、バランスの取れた栄養素がぎっしりと詰まっているのが餃子のすごいところ!日本人にとって身近な食材であるキャベツや白菜をはじめ、肉や小麦粉など、多様な食材の組み合わせが餃子を栄養面でも優れた食品にしています。
【餃子】は中華料理
日本人が日頃からよく食べている餃子は、中華料理の一つとして広く認識されています。私たちは「中華料理」と一言で表すことが多いですが、中国は広い!日本の国土は37万8千平方キロメートルなのに対し、中国は960万平方キロメートルと約25倍。人口は日本の10倍以上ということもあり、地域によって食文化も細かく分かれています。その中で代表的なものが「北京料理」「広東料理」「上海料理」「四川料理」の4つになります。
中国が餃子の発祥の国であることは間違いありませんが、庶民の生活に密接な食べ物であるからこそにそのルーツを探るのは難しいようで「中国のここが発祥!」と特定することはできないそうです。また、似たような料理でワンタンや小籠包、饅頭などもありますが、どれが最初にできたのかもわからないそうです。
長い年月をかけて他のアジア諸国に伝わった餃子は、地域ごとの特色を持つようになりました。日本では焼き餃子が特に人気で、その魅力は多くのレストランや居酒屋で見られます。一方、中国では蒸し餃子や水餃子が代表的な食べ方なのだとか。
よく知られている説ですが、日本人で最初に餃子を口にし、餃子を広めたのは「水戸黄門」と言われています。
【餃子】の種類と地域別の特徴
日本人が大好きな餃子。ただし日本列島も縦に長いので、それぞれの地域で餃子の中身やスタイル、食べ方が少しずつ異なっています。
2023年の1世帯あたりの餃子支出額では、1位が浜松市(静岡県)の4041円、2位が宮崎市(宮崎県)の3498円、3位が宇都宮市(栃木県)で3199円という結果が出ています。このトップ3の餃子の特徴を見てみましょう。
浜松市の餃子は薄皮で肉の割合が多く、大きなフライパンに円盤状にならべて焼き上げ、さらに盛り付けたときに円盤の中心にモヤシがこんもり盛り付けられるのが浜松スタイル!餃子ともやしを交互に食べ、ビールで流し込むのが最高です。
宮崎市の餃子はラードで焼き上げるお店が多く、これは養豚業の盛んな宮崎市ならでは。ラードで焼き上げることでコクや旨味がプラスされます。また、宮崎市は養豚だけではなく野菜の生産量も多く、ニラが通年で生産されている地域であることからニラを使った餃子が多いと言われています。
宇都宮市の餃子は皮が比較的厚めでもちもち食感。ニラ、ネギ、キャベツが餡に使われていて野菜もたっぷり摂取できます。さっぱりしながらも甘めの味わいで、焼き餃子だけでなく、水餃子や揚げ餃子などもよく食べられている地域です。
このほかにも博多市では通常の餃子の1/3程度の大きさしかない「ひとくち餃子」もありますが、北海道には「とうもろこし」がふんだんに入った餃子や、ふきの仲間である巨大な「ラワンブキ」という山菜を入れた餃子、「ギョウジャニンニク」というパンチの強い山菜を入れた餃子もあります。
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このように餃子には様々な種類がありますが、水餃子、焼き餃子、蒸し餃子など、その調理法によって食べ方も無限大!地域によって餡の具材や味付けが異なり、その多様性が餃子の魅力の一つです。
【餃子】の栄養成分とその効能について
餃子は焼き油なしで100gあたり215kcal、タンパク質6.8g、脂質9.7g、炭水化物25.4g、塩分1.2gです(北海道を代表する「音更ぎょうざの宝永」の冷凍餃子より)。焼き油を小さじ1使用すると、100gあたり脂質が約4g、カロリーは約36kcalプラスされます。
水餃子や餃子鍋にする場合、油を使用しないで良いので脂質摂取量を抑えられますね。餃子の皮には炭水化物が、餡にはタンパク質や脂質、野菜に含まれるビタミン類が含まれています。以下に細かく紹介いたします。
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◆炭水化物
餃子の皮は小麦粉と水でできています。小麦粉には炭水化物が多く、炭水化物は即効性のエネルギーとなります。不足すると脳にエネルギーが不足し判断力が鈍ったり、めまいが起きたりする原因に。適量の炭水化物は生命活動に必要不可欠です。
◆タンパク質
餃子の餡には豚肉が使用されています。豚肉にはタンパク質が含まれており、タンパク質は体の様々な組織を形成したり、活動のエネルギー源になる重要な栄養素です。
◆豚肉のビタミンB1
ビタミンB1は炭水化物からのエネルギー産生を助けます。炭水化物を体内で代謝する際はビタミンB1が必要になります。餃子は炭水化物とビタミンB1を同時に摂取できる食品ということで、栄養の代謝的にも理に適った料理ですね。ほかにも皮膚や粘膜の健康を維持したり、疲労回復に役立つ栄養素です。
◆野菜のカリウム
キャベツや白菜にはカリウムが豊富に含まれています。カリウムは体内の塩分濃度を調整し、不要なナトリウムを体外に排出し血圧を調整する役割があります。
餃子に使用する際は塩揉みをするのでカリウムも野菜の水分と一緒に搾り出してしまうことも。家で手作りする際は絞り出した野菜の水分をスープに利用すると、カリウムも摂取できて味も深みを増しますよ。
◆ニラやニンニクのアリシン
アリシンはニンニクやニラ、玉ねぎに含まれる刺激や臭いの成分です。豚肉に多く含まれるビタミンB1はアリシンと一緒に摂取することで体内への吸収率が高くなり、疲労回復の効果が高まります。
【餃子】は完全栄養食?
「完全栄養食」とは、厚生労働省が定める成人が1日に摂取するべき栄養素の量を1食で補えるような食事・食材・食品のことをさします。タンパク質や脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンなど様々な栄養素をカバーしなくてはいけませんが、餃子にはそれらをカバーすることができる食材がほとんど含まれています。
商品によっては欠けている栄養素があるかもしれませんが、手作りするのであれば「完全栄養食」を目指して色々工夫することも可能です。
餡に使用する野菜:キャベツと白菜とニラの特徴
餃子の中身のことを「餡(あん)」と呼びます。餡には主に豚肉、野菜、調味料が使われます。野菜はキャベツか白菜であることが多く、パンチを効かせたい場合はニラやニンニク、生姜を足すことも。キャベツ、白菜、ニラをそれぞれ使うことでどんな餃子に出来上がるかを解説します。
《キャベツ》を使った餃子の特徴
キャベツを使った餃子は甘味が出て野菜の風味をしっかりと感じられます。キャベツは白菜よりも水分が少ないため、食べ応えのある餃子に仕上がるのが特徴です。栄養価は白菜と似たり寄ったりと言えます。
《白菜》を使った餃子の特徴
白菜を使うとジューシーで柔らかい食感の餃子に仕上がります。キャベツよりも水分が多いため、手作りする場合はしっかり塩をして水分を抜かないと扱いづらい餡になってしまうことも。
《ニラ》を使った餃子の特徴
ニラやニンニクは風味が強いため、次の日に予定がある場合は控えた方が良いですが、ご飯やビールが進む味になります。ニラは緑黄色野菜であるためβカロテンが豊富。先述している通り、豚肉のビタミンを吸収しやすくしてくれる栄養素を保つため、スタミナをつけたい時にはオススメの具材です。
【餃子】と相性の良い食材・料理
餃子と一緒に食べることが多い料理といえば、同じく中華料理である麻婆豆腐や回鍋肉、油淋鶏などでしょうか。これらはタンパク質が多く、揚げ油や炒め油が多く使われているため若干重め。胃もたれの原因にもなります。中華料理の中から選ぶのであれば、バンバンジーやクラゲの冷菜、八宝菜などがあっさり系で相性も良いですよ。
中華料理にこだわらないのであれば、韓国料理のナムルやキムチ、和食の酢の物やおひたしも箸休めにもなり、餃子の油分をさっぱりさせてくれます。
「餡(あん)」に入れるとおすすめの食材
栄養価の面で餡に入れるとおすすめの食材No.1はチーズ!日本人は日頃からカルシウムの摂取量が少なめです。なるべく乳製品を多く摂取することを意識していただきたい!餃子の具材としてチーズを入れると、味もさることながらカルシウムやタンパク質をしっかり摂取することができます。ピザ用チーズでも良いですが若干脂質が多いです。モッツアレラチーズやストリングスチーズ(さけるチーズ)は脂質控えめでとろーーーっとよく伸びますよ。
おすすめNo.2はキムチ!キムチには白菜やにんじん、ニラ、ニンニクなど様々な野菜が入っています。餃子の餡が少ないなと思ったら、キムチを入れてカサ増しもできますよ。タレを使わなくても味がしっかり感じられます。
一緒に食べたいサイドディッシュ
先に述べたように、餃子は完全栄養食!単体で栄養価がある程度は満たされているためサイドディッシュには何を合わせても大丈夫ですが、フレッシュな野菜や果物を中心に合わせるとより栄養価が整います。野菜炒めや野菜サラダ、フルーツヨーグルトを添えることをおすすめします。
餃子の皮は小麦を使用しているため炭水化物です。ライスを食べ過ぎると糖質の摂りすぎになってしまうため、注意しましょう。
道産子は「カレー」と共に食べる
カレーと餃子、二つを一度に楽しみたいと思うことはありませんか?北海道には「みよしの」という道内を中心にチェーン展開している餃子カレー専門店があり、誰もが懐かしさと美味しさを感じるであろう昔ながらのカレーと、ジューシーにパリッと焼き上げた餃子が一皿になった状態で提供されています。道産子のソウルフードのひとつと言っても過言ではない料理であり、その食べ方を自宅で実践する人も多くいますよ。
ヘルシーに食べるなら
餃子をヘルシーに食べるのであれば、焼き餃子よりも油を使用しない水餃子や蒸し餃子がおすすめです。野菜と一緒に摂取できる餃子スープや餃子鍋はより健康的!
食べ過ぎのリスクと注意点
餃子を食べるときにはビールが欠かせないという人もいるでしょう。アルコールは胃の容量や摂取した食事の量の感覚を麻痺させてしまうため、飲み過ぎ食べ過ぎにつながることも多々あります。「今日はこれだけを食べ飲みする!」と、一度に飲食する量をあらかじめ決めてしまうと良いでしょう。
餃子は餡にも味付けがしてありますが、タレをつけて食べるので塩分の摂りすぎにつながることも。塩分摂取量が気になる場合、タレは使用せずに食べるか、醤油味のタレの代わりに「お酢+ラー油+白胡椒」で作る付けダレを用意してみてください。お酢は素材の味を強調してくれる上、後味もさっぱりしますよ。
まとめ
餃子の栄養からおすすめの食べ方など紹介しました。日本でもその土地の文化を吸収しながら、形や中身(餡)を変えてより美味しく愛される餃子が出来上がっているということが分かりましたね。北海道においてはカレーのトッピングにしたり、「音更ぎょうざの宝永」さんなど地域で長く愛される有名店もあります。美味しい餃子は全国各地にありますので、是非お取り寄せして食べ比べをしてみてください。
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