【しらす】を食べよう!栄養と効能、釜揚げ・しらす干し・ちりめんとの違いやおすすめのレシピ

北海道食材の豆知識
Ayaka Izawa

Ayaka Izawa

フリーランスで管理栄養士の仕事をしながら、北海道栗山町の井澤農園で販売・営業を行い、地域の産品作りや食育などの地域おこし事業にも関わっています。 自称「農家フェチ」!

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主にカタクチイワシの幼魚である「しらす」は、カルシウムをはじめビタミン類やDHA・EPAを豊富に含みます。低カロリー・高タンパク・低脂質の食材としても知られ、子供の成長にはもちろん、ボディメイク中にもピッタリの食材です。今回は管理栄養士の筆者が栄養と効能のほか、生のまま・茹で・干して食べる場合の違いについても詳しく解説。栄養を効果的に摂取するおすすめレシピも紹介します。

【しらす】とは

シラスの幼魚

「しらす」は漢字で書くと「白子」になります。字の通り、白くて半透明の稚魚の総称です。イワシ・ウナギ・アユ・ニシンなどがありますが、「しらす」として流通するものはイワシの稚魚であることが多いです。

以前はほとんど産地でしか消費されない魚でしたが、冷凍技術や加工技術が発達し、現在では全国どこのスーパーでも「しらす干し」や「ちりめんじゃこ」を購入できるほど身近な食品になりました。主な産地は兵庫県、静岡県、愛知県。特に兵庫県は国内シェア約20%近くを占めています。

しらすの種類を詳しく知ろう

しらすは加工方法やその過程で呼び方が異なるため、さまざまな名称で販売されています。名称の違いは乾燥の度合いによって分けられています。

【生しらす】

生シラス,生しらす

その名の通り、生の状態のしらすのことを指します。生のしらすは鮮度が落ちやすいため、スーパーなどではなかなか取り扱いがないものの、産地では新鮮な生しらすを味わうことができます。

【釜揚げしらす】

釜揚げしらす

釜揚げしらすは生のしらすを茹でたもので、約80%の水分を含みます。釜揚げしらすも水分量が多いため、生しらすほどではありませんがあまり日持ちしません。

【しらす干し】

しらす干し

しらす干しは釜揚げしらすをある程度乾燥させたもので、50〜60%の水分を含みます。

【ちりめんじゃこ】

ちりめんじゃこ

ちりめんじゃこは釜揚げしらすをさらに乾燥させ、水分を50%以下にしたものです。もっと燥させて、水分量を10〜20%ほどにして板状にしたものをタタミイワシといいます。生しらすや釜揚げしらすと比較すると食感は固いですが、旨みがたっぷりなのが特徴です。また、乾燥している分、生しらすや釜揚げしらすよりも日持ちします。

小女子(こうなご)との違いは?

小女子(こうなご)はしらすと見た目が似てますが、イカナゴという品種の稚魚でしらすとはまったく別の魚です。小女子はしらすよりも脂がのっており、しっかり魚の旨みが強くでます。代表料理として「くぎ煮」があげられます。

しらすの栄養成分とその効能について

釜揚げしらす、ご飯、焼き鮭
Whitebait

しらす(生)は100gあたり76kcal、タンパク質15.0g、脂質1.3g、炭水化物は0.1g、食物繊維は0gです。低カロリー・高タンパク・低脂質で、身体づくりやダイエットしたい方におすすめの食品です。下記で栄養素について詳しくご紹介します。

①カルシウム

しらすは骨ごと食べられるので、効率よくカルシウムを摂取できる食材です。
カルシウムは骨や歯を丈夫に保つほか、体の筋肉の収縮に関わったり精神の安定にも必要なミネラルです。

②ビタミン類

しらすはビタミンをバランスよく含んだ食品です。そのなかでもビタミンDが61μg、ビタミンB12が6.3μgと特に豊富に含まれています。

ビタミンDは骨や歯の形成に役立ち、魚類やキノコ類に多く含まれます。ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあるため、カルシウムと一緒に摂取したい栄養素。カルシウムとビタミンD、どちらも豊富に含まれている「しらす」はカルシウムの吸収を効率的にできる食品といえます。ビタミンD自体は脂溶性で油で調理すると吸収率がアップするため、油を使った調理がおすすめです。

ビタミンB12は神経系が正常に働くようコントロールしたり、赤血球を合成する栄養素です。不足すると悪性の貧血にかかったり、肩こりや腰痛、しびれなどの神経障害を引き起こすことも。ただし、ビタミンB12は様々な食品に含まれており、また腸内細菌によっても作り出される栄養素であるため、バランスの良い食事をしていれば不足することはあまりないと言えるでしょう。

③タンパク質

三大栄養素の一つである「タンパク質」は、筋肉や内臓、髪の毛、皮膚、血液など体のあらゆる部分を作るのに欠かせない栄養素です。人間の体の15〜20%を占めているタンパク質は筋肉や内臓などの材料になるだけではなく、ホルモンを作ったり、代謝に必要な酵素を作ったり、免疫を作る材料にもなるなど、健康の維持に重要な役割を担っています。

④DHAとEPA

しらすの脂質には、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(イコサペンタエン酸)が豊富に含まれています。DHA・EPAは魚油中に多く含まれる不飽和脂肪酸です。不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられ、DHA・EPAは多価不飽和脂肪酸の中のn-3系脂肪酸(オメガ3脂肪酸)に属します。

DHA・EPAは中性脂肪を低下させて脂質異常症を予防し、動脈硬化や虚血性心疾患の発症を抑える効果が期待できます。いわゆる血液をサラサラにするのに役立つ油脂ですね。

⑤コレステロール

しらすに含まれるコレステロールは100gあたり140mg(生)、170mg(釜揚げしらす)、250〜390mg(乾燥品)です。コレステロールは脂質の一種で、良くない栄養素と思われがちですがそれは誤解です。コレステロールは全身の細胞膜や脂肪の消化を促す胆汁酸の材料になり、生きていく上で欠かせない栄養素です。そのうちよく聞くLDL(悪玉)コレステロールは全身にコレステロールを運ぶ役目、HDL(善玉)コレステロールは余ったコレステロールを回収する役目があります。LDL値が高いとコレステロールを全身に運びすぎてしまい、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めるため「悪玉」と命名されていますが、LDLもHDLも過剰摂取しなければ必要な栄養素です。コレステロールは数値が高くても低くても健康に問題を及ぼすので、定期的に検査するようにしましょう。

「生」と「干す」、それぞれの栄養成分やカロリーは異なる?

生しらすと釜揚げしらすとしらす干し

しらすはの場合100gあたり76kcal、タンパク質は15g、脂質は1.3g、炭水化物を0.1g含みます。カルシウムは210㎎、塩分は1ℊ。

微乾燥の場合は100gあたり113kcal、タンパク質は23.1g、脂質は1.6g、炭水化物を0.2g含みます。カルシウムは生と同じく210㎎、塩分は4.1ℊ。

カラカラに乾燥させたタタミイワシとなると100gあたり372kcal、タンパク質は75.1g、脂質は5.6g、炭水化物を0.7g含みます。カルシウムは970㎎、塩分は2.2ℊです。

生のまま

新鮮な生のしらすは、そのまま生しらす丼や刺身として食べることができます。ただし、生しらすは通常水揚げ後に洗われることがないため、食べる前に流水で洗いましょう。カロリーと塩分が生・茹で・干したものの中で一番低く、ビタミンB12が100gあたり4.2μg、葉酸が100gあたり56μgと豊富です。

茹でる

釜揚げしらすは、塩茹でされたものであるため塩分が生の100gあたり1gに対して2.1gと高くなります。また、水溶性であるビタミンB群は茹でることにより水に溶け出すため、生に比べると低いです。塩茹でされていて、水分量も多く柔らかいため、子どもから大人まで食べやすい食材です。

干す

しらす干しは乾燥させた分カルシウムが生の1.3倍〜2.5倍の280〜520mgとなります。コレステロールや塩分も乾燥することで増加するため、塩分量やコレステロール値を気にしている方は注意する必要があります。

気になる塩分。摂取量の目安について

釜揚げしらすしらす干しなど加工したものは、生しらすに比べて塩分が高く食べる時に注意が必要です。日本高血圧学会では一般の人の食塩摂取量について、男性は1日7.5g未満、女性は6.5g未満を推奨しています。

生しらすには100gあたり1g、釜揚げしらすには100gあたり2.1g、しらす干しは100gあたり4.2〜6.6gの食塩が含まれます。食べ過ぎには注意ですが、少量を食べる分には問題ないと言えるでしょう。

手軽に栄養補給できる「しらす」は、子どもや妊婦さんにおすすめ

釜揚げしらすをスプーンですくう

妊娠中にしらすを食べても問題はありません。カルシウムや葉酸が豊富なしらすは胎児の成長を促す食品としてピッタリ!

マグロ類や鯨類の魚には胎児への影響を及ぼすとされるメチル水銀が多く含まれる可能性があります。しかし、しらすは控える必要が特にないとされるイワシを原料としているため、安心して召し上がってくださいね。

また、しらすは赤ちゃんの離乳食初期の5〜6か月頃から使えるタンパク源です。最初はペーストから始め、離乳食が中期、後期と進んでいったらそのままの形状で食べられます。どの時期においても塩抜きが必要です。

しらすを美味しく食べるおすすめのレシピ

しらすはそのままご飯にかけて食べても、アレンジして主菜や副菜にも出来る便利な食品です。ここではしらすを使ったレシピをご紹介します。

◆釜揚げしらすとニンジンのサラダ

釜揚げしらすとにんじんのサラダ

釜揚げしらすにはほんのり塩味が付いています。その塩気が人参の甘味を上手に引き上げてくれますよ。しらすは増量してたっぷり乗せるのもおすすめ!
作り方も簡単なのでぜひお試しください。(1人前:25.7kcal、塩分0.5g)

《材料(2人前)》

  • にんじん 1/2本
  • 釜揚げしらす 20g

《作り方》

  1. にんじんの皮を剥き千切りにする。しりしり器を使うと簡単。
  2. しらすとニンジンを和える、またはにんじんの上にしらすを乗せる。
  3. お好みでレモンをかけて召し上がれ!

◆しらすのマヨトースト

しらすのマヨトースト

しらすとマヨネーズの相性もピッタリ!食パン以外にも市販のピザ生地やフランスパンで作ってもOK。(1人前:156kcal、塩分1.4g)

《材料(1人前)》

  • 食パン 1枚
  • しらす干し 10g
  • マヨネーズ 小さじ1.5
  • 玉ねぎ 少々
  • 海苔、小ねぎ 少々

《作り方》

  1. 食パンにマヨネーズを小さじ1/2分ほど薄くぬり、スライスした玉ねぎを乗せる。
  2. 再びマヨネーズを線を描くように乗せ、しらす干しをのせてトーストする。
  3. パンの耳がカリッとしたら皿に取り出し、刻んだ海苔と小ねぎを散らして完成。

北海道のしらすを食べよう!

寿都の生しらす丼

都道府県別の漁獲量を比較しても北海道は少ないです。しかし、4月下旬から5月中旬にかけ、札幌市と函館市の中間に位置する寿都町ではしらす漁が行われ、生のしらすを堪能することができます。本州でしか味わえない生のしらすが食べれるのは北海道でも寿都町だけではないでしょうか。ぜひ皆さんもこの機会に寿都町を訪れ、生のしらすをいただいてみてください♪

まとめ

しらすの栄養価から種類、摂取量の目安やおすすめレシピなどをご紹介しました。1年を通して水揚げされ、丸ごと食べれるしらすは高タンパクで低脂質の上、カルシウム補給にもぴったりです。組み合わせる食材によっては相乗効果で栄養の吸収を高めてくれます。是非毎日の食卓に取り入れてみてくださいね。

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