アントシアニンやポリフェノールなどの機能性成分を豊富に含む「ブルーベリー」。目に効くことでよく知られており、スマホやパソコンに長時間接する人の中には、サプリなどで日常的に摂取している人も多いのではないでしょうか。今回は管理栄養士の筆者が小さな粒に含まれる栄養素とその効能について詳しく解説。旬の時期や選び方のコツ、冷凍がおすすめの理由についても紹介します。
目次
【ブルーベリー】について詳しく知ろう
ブルーベリーは生で食べる機会はそれほど多くはないですが、ジャムとしてパンやヨーグルトに合う果物としては日頃から親しみのある果物ですよね。まずは原産地や旬、日本の主な産地について学びましょう。
【ブルーベリー】とは?
ブルーベリーは庭木にも選ばれる育てやすく身近な小果樹です。原産は北アメリカで、野生種のものをアメリカ先住民が食用にしていたと言われています。野生種の中から優良品種が育成されて栽培が広がっていきました。日本では業務用の輸入ものが先行し、栽培の本格化は1970年代になってからと言われています。
植物分類的にはツツジ科スノキ属。同じスノキ属には150余種があり、クランベリーやビルベリー、ハックルベリー、コケモモなども同属に含まれます。
熟すと濃い紫色になりますが、1本の木の中でも粒ごとに熟成度合いが異なるため、生食用の果実は手摘みすることが重要です。生のままなら冷蔵庫で1週間、冷凍なら1ヶ月ほど保存可能です。
種類について
ブルーベリーには種類があり、ローブッシュ、北部ハイブッシュ、南部ハイブッシュ、ラビットアイに分かれますが、北海道での栽培に適しているのは北部ハイブッシュの品種です。もし、庭木にブルーベリーを植えようと考えている方がいましたら、ご自分の住んでいる土地の気候に合う品種のブルーベリーの苗木を手に入れるようにしてください。北海道で品種選定をする場合は、厳しい寒さにも耐えられる耐寒性が重要になります。
ハイブッシュブルーベリー、ラビットアイブルーベリーが2大栽培種。ローブッシュブルーベリーは別名「ワイルドブルーベリー」ともいわれおり、粒が小く栽培に適していないと言われていますが栄養価がぐんと高いのが特徴です。
旬の時期(出回り時期)
ブルーベリーは九州から北海道に至るまで全国的に栽培できる小果樹です。東京都内でもブルーベリー狩りができる観光農園もあると聞きました。ブルーベリーの旬の時期は大体6、7月〜8月です。本州では6月ごろと早めに始まり、北海道の産地では7月の下旬から収穫が始まります。
主な産地
ブルーベリーの日本国内での主な産地は関東以北で、長野県での栽培が最も多いと言われています。北海道内での主な産地は果物王国として有名な余市町や仁木町、壮瞥(そうべつ)町です。北海道産のブルーベリーは冷涼な気候のもとで栽培され収穫期に降雨が少ないため、酸味が程よくありながら甘味もあって食味が良く、果肉が締まっていて日持ちが良いのが特徴と言われています。
【ブルーベリー】の栄養成分とその効能について
ブルーベリーは100gあたりエネルギーを49kcal、炭水化物を12.9g、食物繊維を3.3g含みます。βカロテン等量は55μg、ビタミンEを1.7mg、ビタミンCを9mg、鉄を0.2mg含みます。眼精疲労や視力回復に有効なアントシアニンも含みます。
ここからは管理栄養士である筆者が、ブルーベリーに含まれる栄養素の中で特筆すべき栄養素とその働きについて解説します。
◆アントシアニン
アントシアニンは眼精疲労や視力の回復に働く栄養素です。ブルーベリーには15種類のアントシアニンが含まれると言われています。目を酷使することの多い現代人には嬉しい情報ですね!
アントシアニンはポリフェノールの一種なのですが、ブルーベリーに含まれるポリフェノール類には、アントシアニンの他にクロロゲン酸、フラボノイドなどがあります。ブルーベリーのポリフェノールは、43種類の野菜・果物類の中で最大の抗酸化力があると確認されています。 ブルーベリーに含まれているアントシアニンは一般的に100g中に90mgです。
◆ビタミンE
ブルーベリー100g中に1.7mgのビタミンEを含みます。ビタミンEは脂溶性ビタミンで、強い抗酸化作用を持つビタミンです。体の内外の細胞が老化することを防ぎ、アンチエイジングや生活習慣予防に役立つ栄養素です。 ゴマやナッツ類にも多く含まれるビタミンE。アントシアニンもビタミンEも抗酸化作用の強い栄養素であるため、「ブルーベリーはアンチエイジングにぴったりのパワーフード」とも言われています。
◆食物繊維
ブルーベリーには100g中3.3gの食物繊維が含まれています。果物類の中では最高位の食物繊維含量な上、皮から種子まで丸ごと食べられることから摂取効率が良いと言えます。食物繊維の中には水溶性食物繊維の「ペクチン」の割合が多く、腸内の不要なものを絡め取ったり、糖質の吸収を緩やかにすることで血糖値の急上昇を抑えてくれる働きや、発酵に関わり腸内環境を整える働きを持ちます。
プルーンやハスカップとの違い
ブルーベリーと似ている果物として、プルーンとハスカップが挙げられますが、実際どうでしょうか。
プルーンはバラ科のサクラ属の果物。8〜10月に収穫されます。ハスカップとブルーベリーの旬はよく似ていますが、ハスカップはスイカズラ科のスイカズラ属、ブルーベリーはツツジ科のスノキ属と植物学的にはあまり似ていないと言えます。 また、原産地はプルーンがヨーロッパ、ブルーベリーは北アメリカ、ハスカップは北海道やユーラシア大陸北部とバラバラです。
【ブルーベリー】は冷凍がおすすめ!
ブルーベリーは旬が6〜8月と短く、限られた収穫時期しか国産ブルーベリーを生で食べることができません。また果皮も果肉も大変柔らかい果物なので通常の流通方法ではなかなか流通しない果物です。
冷凍しても栄養価が損なわれることがないため、入手困難な生果実より、いつでも手に入る冷凍品を食べることをおすすめします。
食べる際の注意点
ブルーベリーは健康に良い食材だというイメージが強いですが、食べる際の注意点があるかも気になりますよね。体に害をもたらすような成分は含まれていないので、食べることで健康を損なうようなことはありませんが、やはり食べ過ぎには注意しましょう。
ブルーベリーには食物繊維が100g中3.3g含まれます。食べ過ぎると便が柔らかくなりすぎて下痢を起こす場合があるため一度に大量に食べることはおすすめできません。 ここからは筆者の経験談ですが、特に小さなお子様の場合、ブルーベリーは一口で食べやすく甘い果物であるためたくさん食べてしまうことがあります。ブルーベリーの中には小さな黒い種がたくさん入っているのですが、その種は消化されずに便に出てくるため、保育園などで先生にびっくりされたこともありました…笑
【ブルーベリー】の美味しい食べ方
ここからは、自宅でもブルーベリーを趣味程度に栽培している農家の嫁である筆者がブルーベリーの美味しい食べ方をお伝えします。
①生でそのまま
ブルーベリーは生のまま、冷凍のままパクッと食べることができる果物です。一番手軽で素材の味を楽しむことができる食べ方ですね。完熟で収穫することにより、ブルーベリーの甘さと風味を最大限楽しむことができます。室温のまま食べるよりも、冷蔵庫で1時間ほど冷やしたほうが甘く感じます。
②料理系のおすすめ
ブルーベリーは料理に使うこともできます。主に、肉料理のソースに使われることが多く、ポークソテーやラムチョップグリルのソースとして、肉汁にブルーベリー、塩、胡椒、ワインなどを合わせて甘酸っぱいソースを作り、お肉をつけて食べます。ブルーベリーの酸味と風味がお肉をさっぱりさせてくれますよ。
他にはサラダのドレッシングの酸味や甘味として、生のブルーベリーを潰して使うこともおすすめです。
③デザート系のおすすめ
ブルーベリーはジャムやソースに加工することも多い果物です。ジャムに加工してしまえば保存も効きますし、ヨーグルトやカップケーキ、パンやデニッシュなどにアレンジすることもできます。美味しいクリームチーズやリコッタチーズにブルーベリージャムを添えるだけでチーズケーキのように楽しむことも。生のままレアチーズケーキやデコレーションケーキ、タルトに使ってみるのもおすすめです。
④その他
ブルーベリーは生のままでも冷凍のままでも、スムージーに簡単に入れることができます。切る手間もなく、栄養価も高いブルーベリーはスムージーにピッタリ!冷凍品を常備している方も多いのではないでしょうか。
収穫時期に出会ったら。選び方のコツ
ブルーベリーを選ぶコツとしては、生の場合は果肉が大きく皮の色がすっかり濃い青黒色に変わり、花粉のような白い粉(ブルーム)がよくついているものが完熟です。また、腐敗したりつぶれたりしていないもの、蟻などの虫がついていないものを選ぶようにしましょう。
針でついたような穴があり、周辺が柔らかくなっているような果実は蠅などの害虫が食べた後の果実なので注意しましょう。摘み取り体験の際は穴が空いていないかどうかをよくみてみてください。
長く楽しむための保存のコツ
ブルーベリーの保存についてのコツをお伝えします。傷みやすい果物であるため、生で食べるときは洗ってすぐに食べ切ることをおすすめします。食べきれない量がある場合、早めにジャムやシロップ、砂糖とお酢で漬け込んでフルーツビネガーなどに加工すると長く楽しめますよ。
《冷蔵保存》
ブルーベリーの生の果実は冷蔵庫で1週間程度保存できます。水で洗うと鮮度が落ちやすいため、洗わずに冷蔵庫に入れることがポイントです。また、熟しているブルーベリーは皮が柔らかいため自重で潰れないようになるべく重ならないようにしましょう。
《冷凍保存》
ブルーベリーを洗い、実の表面についているゴミやヘタを取り除きます。水分をキッチンペーパーなどで拭き取り、フリーザーバックになるべく重なり合わないように入れます。平にならして冷凍します。ジャムにしてから冷凍保存をしても良いですよ。
まとめ
筆者も庭先で育てている、身近な果物ブルーベリーの解説でした。北海道で育つブルーベリーは冷涼な気候が美味しいブルーベリー栽培に適しているため、酸味と甘味のバランスが取れており美味しいですよ。栄養価も高く、冷凍でも使い勝手が抜群なブルーベリー。旬の時期には新鮮な生果実を食べてみていただきたい!それ以外の時期は冷凍で健康のために役立てていただけると嬉しいです♪